1999年2月10日

埼玉県知事  土屋 義彦様

所沢産野菜ダイオキシン汚染報道による被害に対する緊急の要望

さいたま西部公害調停をすすめる会  前田俊宣

 2月1日、テレビ朝日「ニュースステーション」の報道をきっかけとして、所沢周辺の農産物に対して取り扱い中止の動きが広がり、農家の方々が、精神的にも、金額的にも大きな被害を受けています。

 ニュースステーションの報道によれば、所沢産の野菜のダイオキシン濃度を測定したところ、0.6〜3.8pg/gという高濃度の汚染が見られた、ということです。これは、厚生省調査による全国平均値の約10倍に達する、と指摘されました。

 これらの汚染原因は、所沢周辺に極端に集中して立地する焼却炉群である、とも指摘されました。

 これまで、私たちは、この焼却炉群に対して、対策をお願いし続けてきましたが、焼却施設の実態調査も実施されず、抜本的な対策がとられることはついにありませんでした。

 今回の問題の対応について、県では、野菜の調査に取り組まれることを発表されましたが、肝心の灰をまき散らしている焼却炉についての対策への取り組みについて全く触れられていません。周辺環境に灰を降らせるような、違法な操業状態を許してきた県の責任は大きく、緊急対策が必要であることは明白です。

 さらに、この、林立する焼却炉へは、大量の県外産廃が運ばれ、燃やされている事実があります。これらの廃棄物を排出し、業者に焼却を委託している排出者がこの事態を招いているといっても過言ではありません。県では、事前協議制を検討されているところではありますが、検討案を見る限り、実効性のあるものとは思えません。

 また、この地域で新たな焼却炉の操業の許可申請や、現在休止中ではありますが、これまで不適正処理を繰り返してきた業者の更新許可申請もなされています。これ以上、農家の方々を、そして私たちを苦しめる汚染を許さない、という断固とした態度でこの問題の抜本的な対策をとることを切に願います。

 さらに、所沢市西部では、過去に12000ngのダイオキシンが出ていた西部清掃事業所のこれまでの操業により、甚大な汚染が発生し、放置されている恐れもあります。

 300年の歴史がある所沢の農業は、次の世代に伝えていくべきわたしたちの地域の大切な財産です。この地の農業を守り、私たちの暮らしを守るために、以下のことを緊急に要望いたします。

1 所沢周辺焼却施設全ての操業停止

2 県外産業廃棄物の流入規制を早急に実施すること

3 焼却炉を使用した廃棄物処理業の新規及び更新許可、及び焼却施設の設置許可を、所沢周辺に於いて、今後一切出さないこと

4 早急の農作物被害額の算定とその被害補償

5 焼却施設による汚染実態を明らかにするための焼却施設実態調査及び早急な原状回復措置

6 西部清掃事業所による汚染実態調査と原状回復措置