14:00〜 ラーシュ・マグヌソンさん(環境検察官)のお話
内容:環境検察官の役割
スウェーデンでは、環境犯罪を専門に扱う、環境検察官がいます。
彼は93年から検察官となり、環境法典施行の99年に環境検察官となる(全国で当時12人、現在20人/700人)
98年から環境法典の行政担当者たちへの教育が行われた
監視機関には違法の疑いがあるとき、訴えを提起する義務があること(告発義務 26章2条) 訴えの提起の仕方、告発書類の書き方から。。。→事件の数が増える!
98年秋 40事件→2000年 260事件/1人
警察にも環境専門官が4人ほどいる(ウーメオ)
告発→案件のうち、14%起訴or 簡易罰金 Or扱わない
→起訴した2/3有罪(1/3無罪)
有罪でも罰金刑が殆ど (最新の確定申告額から計算される)
通常の裁判所で審理される。
事例の紹介
違法な有害廃棄物の保管、川のしゅんせつ、等
無罪になった例。。。
環境へ有害な影響をあたえたことの要件があいまい!
彼は、有害な行為を犯した時点で判断すべきだ、と主張していた。
そうでないと、有害か否かを判定するのは非常に難しいグレーの案件となる。
訴えを提起する義務、違法な疑いがあるときは予備調査をする義務、告発する義務、がある、と午前中のヨールンさんも言っていたし、検察官も言っていた。この点についての「義務感」はすばらしい、と思った。違法であることが明らかなのに、見逃し、見ない振りをし、一生懸命優しく効果のない指導を行うばかりの日本の環境担当者に聞かせてあげたいと思いました。監視する人々はこの義務感があるべきだ。。。、そうでなければ、環境に有害な行為がどんどん行われていく、という認識が根底にあるようだった。
16:00〜 レーナ・ニルソンさんウーメオ地方環境裁判所の環境裁判官(環境アドバイザーの立場で)
内容:環境裁判所の役割
環境地方裁判所 5カ所→環境高等裁判所 1カ所 上告→ 最高裁判所
環境裁判所の構成
裁判官(法律家)
環境アドバイザー
専門家(案件ごと?) 調査官(全案件を受け付け事前準備、調査を行う)
これらのメンバーは公募、委員会(環境省や自治体、連合産業界代表などでリストアップされた委員)にて審議され、案を決定→政府が任命する 委員会の議事録は公開され、不服申立もできる。
環境裁判所で審理される案件環境に有害な事業の許可審理
例えば、製紙工場、しゅんせつ事業、橋を造る等水域に関する事業許可、影響が大きいもの
県の許可決定等についての不服申立
環境に関する賠償案件
年度毎の案件数と持ち越し数
審理には4ヶ月〜6ヶ月ほどかかる?
許可案件では、事前調査を行い、現地に裁判官らが出向いて審理を行う。全て公開で、現地の住民らが直接参加できる。(公聴会のようなイメージだった。)審理は集中して行い、1回ですませる(何日間か連続して行われることもある)
環境地裁の決定に対しては、高等環境裁判所へ上告する
さらに、上告するには、最高裁(通常の)へ、となる。
重大な許可案件を裁判所で審理するとは、とてもよいアイデアだと思った! また、住民の声を直接聞いて判断する、というのもいい。
県に対する不服申立も環境裁判所で審理される。環境に関する専門家、アドバイザーも参加した裁判で客観的に判断を下すという制度。但し、それだけに、判断を下す側の知識、理解力、力量が問われる制度でもある。だから、その任命について、公募、人事決定の議事録を公開し、不服申立もできる、というシステムが準備されているわけか、と理解。よく考えられていると思った。
日本では、許可は行政の独断。利権がからんだりする。利権がなくたって、知識の欠けた担当者が無責任に簡単に許可を出す。許可判断の経緯は全く不透明。大体、申請があったことや、許可したことすら、知らされない。許可取消訴訟は通常の裁判所。原告適格のハードルも高い。また、裁判官は環境に関する知識を持っていないから、専門家は原告側が自費で探し、お願いしなければならない。原告側に立つ専門家は希少。原告側の立証手段は限られているし、許可に関する資料の収集もやらなければならない。本当に大変!
17:15〜 自由行動、のはずが、講義が長くなり、結局45分ほどしか残っていなかった。悲しい。けれど、少しの時間で、と木彫りのお店へ行きました。とても素朴な感じのよいお店だったけど、とても高くて、ボタンだけ購入。でも、初めてのお買い物と町を少し歩いたのとで満足。その後、夕食のレストランへ行く途中で、マーラー村での寒さ対策のためにマフラーを50クローネで購入。とても安くて大満足。
ウーメオの市街地。。。
19:00〜 元刑務所を利用して作った喫茶店で、日本料理宅配の日本人の女の子が作ってくれた日本食を食べました。とてもおいしかった。刑務所を案内してもらい、個室はまさに、刑務所、という感じで、でも、独房は日本と比べて広いそうでした(背が高いからか)。
両脇に独房がある喫茶店内
日本料理の宅配をしてくれた彼女は、スウェーデン人の彼と日本で知り合い、結婚、こちらで暮らしているそうです。娘が一人だったかな。スウェーデンは教育がよくて、全部大学までただ。英語も小学校からレベルが高いそう。テレビも英語の番組が多いし、だから、みんな英語が話せるそう。また、第2外国語も中学になるととれるし、と国際的。学費がただ、っていうのはいいなあ。その分、税金は高いのだけれど。日本食はストックホルムなどで人気があるそうで、ウーメオではまだ彼女のお店だけ。だから、独占状態でうまくいってるらしいです。中華もあるけど、インド系の人が作っている中華なので、インド中華になってるそうです。これは、後で実際にそのレストランに行ってみて納得。スウェーデンのお料理は基本的に味付けは塩だけだそうで、単調。だから、いろんな各国料理はすぐに人気が出るみたいでした。
また、ここで、参加者の一人、高橋さんの台風による飛行機遅延行程次第のお話を聞き、悪いけど、爆笑してしまいました。ほんと大変だったみたいでした。
ホテルまで歩いて帰って就寝。明朝は川沿いに散歩することにしました。
今回のツアー企画準備をしてくれたエーサム社の社員と一緒に食事。
創始者と若き社長。
エーサム社は環境関連の仕事、環境教育、環境ツアーなどの仕事を手がけているそうです。