10/15 とうとうツアーもあっという間に最終日。この日はストックホルム自治体へ行き、市が取り組んでいる環境対策の話を聞きます。
7:45ストックホルム市の環境行政事務所へバスで向かいました。この日はバスや地下鉄等の公共交通機関の1日フリー券をもらい、移動しました。バスは車両が2連でつながった長い大きなバスでした。人がたくさん利用していました。渋滞があるかも、と言っていましたが、殆ど渋滞はありませんでした。
8:30 ストックホルム自治体環境監視専門家 ターゲ・ヨンソンさんのお話
大気環境品質基準に従うためのストックホルム市の対策プログラム
大気環境品質基準がEU指令に基づき設定されているので、その測定と監視システムを説明してもらいました。
大気規制 排出規制 自動車の排ガス対策
大気へ排出する事業の許可基準による規制
大気環境品質基準目標達成プログラム
Sox, Nox, PM10(浮遊粉塵)、Benzen, Ozone, Metals, BaP 時間値、平均値をマッピングしてHPで公開している。 上記図
Air Quality Indicator nitrogen dioxide (NO2)
for Stockholm County urban area.
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The indicator is based on hourly urban background monitoring and is automatically updated on the www every hour. The hourly values are raw data. The EMMA scale is proposed in the EC project EMMA as a common scale for air quality indicators. The limit between good and average air quality represents annual mean concentrations in Stockholm urban area. They are well below the EU limit value for health protection. Near roads with high traffic intensity the limit value can be exceeded. |
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NO2のその日の状況が基準値と比べてどうなのかが一目で解るようになっている。。。
MILJOKVALITETSNORMER FOR
INANDNINGSBARA PARTIKLAR, PM10 (<10μm)
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Tunnel ( 100-500 μg/m3 ) |
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> 50 μg/m3 |
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39 - 50 μg/m3 |
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27 - 39 μg/m3 |
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< 27 μg/m3 |
大気環境品質基準 自治体が監視し、守らせることとなっている。
PM2.5について(より細かい浮遊粉塵)規制についても現在EUで検討がされている。NO2、PM10については下がる傾向はなく、環境品質基準達成が難しい状況であり、対策をプログラム中である。
道路沿いではNO2についても超えている
(日本では道路沿いは環境基準の対象外として、対策すらあきらめているのと対照的)
EU指令では、一般市民に対し情報を公開していくことがもとめられている。
オーサ・ヒルさんの話 環境品質基準に従うためのストックホルム自治体の対策プログラム
EU指令を守るための計画をストックホルム自治体がたてている、ということでした。
(NO2(2006.1達成目標)については2003.6月に政府へ提出、SPM(2005.1達成目標)については2004.1月に政府へ提出)
NO2についての対策プログラム(Action Plan)
2006年までに (2006年までに、というのはスウェーデン独自の規制)
1時間値 90マイクログラム/m3を超える時間は年間175時間まで
日平均値 60マイクログラム/m3 を超える日は年間7日まで
年平均値 40マイクログラム/m3
2010年までに (EU指令)
1時間値 200マイクログラム/m3を超える時間は年間18時間まで
年平均値 40マイクログラム/m3
例えば、Hornsgatan では、
2003 83マイクログラム/m3
Normal 2006 75マイクログラム/m3
With action2006 59マイクログラム/m3( 22%削減)
とアクションプランにより、目標を達成させようとする計画が建てられている。
環境基準達成へ期限を切って真剣に守ろうとしている姿勢が印象的でした。(日本では車道付近などあきらめている。。。)また、既に基準を達成している所でも、常に減らしていく努力を行うということになっています。
(後で調べると、日本のSPM規制よりも2倍厳しい基準であることが分かりました。。)
対策として、自動車の使用削減 燃料費に高い税金(70〜80%)
公共交通手段の利用
都市計画
また、排出源となる工場などの許可申請の際に、この状況をふまえて、審理されると言うことです。水質についても2012年までに、というEU指令が来ているので、順次対策をたてていくところだ、と言っていました。
EU指令の規制値(1996)
SO2
人間の健康のための1時間値レベル 1時間値 350マイクログラム/m3を超えるのは 年間を通して24回まで(2005年1月までに)
人間の健康保護のための日平均値レベル 24時間平均値125マイクログラム/m3を超えるのは年間を通して3回まで(2005年1月までに)
生態系保護のための規制値 年間及び冬季(10/1から3/31)平均値 20マイクログラム/m3
* 日本では1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ1時間値が0.1ppm以下であること(マイクログラム換算中。。。)
NO2
人間の健康のための1時間値レベル 1時間値 200マイクログラム/m3を超えるのは 年間を通して18回まで(2010年1月までに)
人間の健康保護のための年平均値レベル 年平均値40マイクログラム/m3を(2010年1月までに)
植物のための規制値 年間平均値 30マイクログラム/m3
* 日本では1時間値の1日平均値が0.04ppm〜0.06ppmのゾーン内又はそれ以下であること
SPM(PM10)
Stage1
人間の健康のための24時間値レベル 24時間値 50マイクログラム/m3を超えるのは 年間を通して35回まで(2005年1月までに)
人間の健康保護のための年平均値レベル 年平均値40マイクログラム/m3を(2005年1月までに)
Stage2
人間の健康のための24時間値レベル 24時間値 50マイクログラム/m3を超えるのは 年間を通して7回まで(2010年1月までに)
人間の健康保護のための年平均値レベル 年平均値20マイクログラム/m3を(2010年1月までに)
* 日本では1日平均値が100マイクログラム/m3、1時間値200マイクログラム/m3と緩い。それでも2003年度達成率92.8%、自排局77% 達成か否かの判断では、上端2%値は評価から除外される=年7回超過しても達成となる(ただし、上端2%値が2日間連続して超過した場合は超過と判断される)
年間平均値として、2003年度 一般局26、自排局33(マイクログラム/m3)としているが、これは、全国平均値であり、測定局毎の年平均値の資料ではないので比較できない。)
鉛
人間の健康保護のための年平均値レベル 0.5マイクログラム/m3
(2005年1月までに 2005年1月までに達成できない地域についてはEU委員会に通知した上で、2010年1月までに達成する。その場合、2005年1月までに1マイクログラム/m3を達成する)
* 日本には規制なし
ベンゼン
人間の健康保護のための年平均値レベル 0.5マイクログラム/m3 (2010年1月までに)
* 日本では 年平均値3マイクログラム/m3
CO
人間の健康保護のための年平均値レベル 10mg/m3
* 1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること
オゾン
短期的目標
人間の健康保護のためのレベル 8時間平均値が120マイクログラム/m3を超える日が年間25回を超えない(3年間平均)
植物のための規制値 5月〜7月までの1時間値の合計(80マイクログラム/m3を超える場合) (マイクログラム/m3×時間数)が、18000マイクログラム/m3・hを超えない(5年間平均)
長期的目標
人間の健康保護のためのレベル 8時間平均値が120マイクログラム/m3を超えない
植物のための規制値 5月〜7月までの1時間値の合計(80マイクログラム/m3を超える場合) (マイクログラム/m3×時間数)が、6000マイクログラム/m3・hを超えない
* 日本では オゾンなど光化学オキシダント 1時間値が0.06ppm以下であること
その他として、以下の評価基準が提案されている。
ヒ素 6ng/m3
カドミウム 5ng/m3
ニッケル 20ng/m3
ベンゾピレン 1ng/m3
* 日本では規制無し
騒音対策について マリー・カールソンさんのお話
ストックホルム自治体 150万人 人工の1/5が騒音を感じている
騒音に関する規制値
Indoor 30db(平均)、45db((Max
Outdoor 55db(平均)、 70db(Max)
65db以上では対策補助金を市で出している 窓を2重にする対策90%
騒音状況地図 ネットで公開
道路沿いで高いことがわかる。
道路沿いでは70db以上
交通量の多いところでは基準をクリアできない
(日本では道路沿いでは特別の基準を設けて対策をとっていないことと対照的)
* 日本の規制値
昼間 50〜60db 夜間 40〜50db
(地域ごとの規制値を都道府県知事が指定)
道路に面する地域
昼間 60〜65db 夜間 55〜60db
幹線交通道路に面する地域
昼間 70db以下 夜間 65db以下
indoor 昼間 45db 夜間 40db
さらに、環境基準は、航空機騒音、鉄道騒音、建設作業騒音には適用しない
この後、外に出て、騒音対策実施状況を視察
車道はあまり交通量も多くなかった(日本と比べて!)。私の家の前のバス通り(所沢駅から2kmくらいの町の片側1車線道路)くらいか。。。
道路沿いに建設計画があるときには、建物がなるべく騒音被害を受けないよう計画させる。
バルコニーや寝室は道路側にさせない、建物が防音の役目を果たすように
道路の摩擦を少なくさせる。。
市で騒音対策を指導したマンションの前で説明を受ける。
環境監視担当官の資格について … 説明をしてくれたマリーさんも環境監視官の資格を持っています。これまで、現場を監視する人は皆、有資格者だと言っていました(女性ばかりだったけど)。この資格はどういうものなのかを聞いてみました。
資格をとるには。。。 まず、大学で専門科目の単位をとらなければなりません。これには、環境関連の科目、法律関連の科目などがあります。これらの単位を取った後、企業や地方行政等で研修を受け(5週間の研修、と5ヶ月の研修)、この後、資格試験を受験することができます。
試験に受かったら、研修期間を過ぎてから、環境監視官として行政で仕事をすることになります。有資格者は全国で3000人ほど(正確な数字はわからなかった)? ストックホルム自治体では150人ほどが働いています。現場が多いので、これでも数は足りない、とのことでした。
日本では、環境監視の現場が軽視されていることを実感しました。これに対して、スウェーデンでは現場を重視しています。環境法典の理念を実現するには現場が大切なことをよく理解しているように思いました。汚染を防ぐのは現場であり、汚染を防ぐための監視官を資格制にし、法典が飾りとならないようにしているところがとても参考になりました。また、立証責任は業者側にあります。業者の立証が怪しいときの対処は? との質問に対して、何度も測定を求めたり、業者の負担で行政が調査をすることもある、と応えていました。
寒い中咲いていた街中のひまわり。。。
12:45 昼食後、地下鉄で移動、ストックホルム地方裁判所へ
歴史を感じさせる古い建物のストックホルム地方裁判所。
中も大変重厚な造りで、通された広間の壁には歴代の王様の肖像画や古い街並みの絵が掛かり、机の上に置かれた砂糖壺もとても古そう。そこで、裁判所の仕組みの説明を聞きました。
メモが残っていないので、全然、おぼえていない。。。
その後、できれば、法廷を見たい、との希望に応えてくれ、開いている法廷へ。
法廷は日本の法廷と違って、裁判官席も原告被告席も同じ高さ。で、会議室のようでした。傍聴席を仕切る柵もありませんでした。