現在工事ストップしている焼却炉。ユンボがまるまる入る炉の大きさから、これが4.8t/日の能力しかないとする県の許可は余りにもおかしい、、、と住民は考えている。

2001年5月2日
(株)新明焼却炉工事・操業差し止め訴訟に関して

1、 当事者と請求の趣旨
原告・・・(株)新明(所沢市南永井の産業廃棄物焼却施設)周辺の住民(所沢市・三芳町)、周辺事業所勤務者、農家など計45名
被告・・・(株)新明 所沢市南永井
請求の趣旨・・・周辺住民に対する被害を防ぐために(株)新明が計画している産業廃棄物処理施設の設置(改善工事)とその施設操業の差し止めを求める
2,訴えの理由
これまでひどい操業状態であった業者の焼却続行を認められない。
 (株)新明はこれまで黒煙を出す、煙突から灰を撒き散らす、焼却灰を5m以上の高さに野積みする、許可外の廃プラスチックを分別せずに燃やす、暴力団がらみの事件の死体を気が付かないで燃やす、などのひどい操業状態だった。周辺住民は、生活環境の悪化を訴え、業者、県に焼却停止の要望を繰り返してきたが全く改善されることはなかった。ところが、1999年10月には、県から、「彩の国環境創造資金」制度の融資を受け、バグフィルター(排ガス処理設備)を付け、焼却を続ける施設の変更許可を受けた。
これまでひどい操業状態であった業者が排ガス処理設備を備えただけで、今後きちんとした適正処理をするようになるとは考えられず、手続き上も納得できない点が多々あるため、周辺住民として、許可処分を取り消すよう求める行政訴訟を2000年2月に既に提起している(訴訟継続中)。
 その後、(株)新明の焼却炉工事はストップしている状態が続いているが、いつまた工事が始まるかわからず、周辺住民は大変不安に思っている。地域に煙害をもたらす煙突をなくし、よりよい環境を取り戻すために、新明の焼却施設工事及び操業の差し止めを求める民事訴訟を提起することとした。

3,これまでの経緯
★1986年頃〜 ・・・(株)新明の操業は、1986年から始まります。焼却炉2基を日夜を問わず稼働させ、その煙と、煙突から撒き散らされる灰に、周辺住民の健康は脅かされ続けました。
★1999年・・・・(株)新明は、焼却を続行するため、施設の変更許可申請を行います。炉の能力600kg/hと過小評価され(実際はその何倍も燃やす能力を持つ大きさです)、これまでのひどい維持管理状況から、適正な処理が行われるとは考えられず、住民は、県に対し、許可を出さないよう要望し続けました。しかし、埼玉県は、1999年10月、ついに、この焼却続行を認める、施設の許可を出してしまいました。しかも、工事費には「彩の国環境創造資金」という名目の低利融資の斡旋さえしたのです。(5000万円の融資が実施されたと聞いています)

★2000年・・・周辺住民で、「新明問題を考える会」をつくり、新明の焼却続行に対して反対を進めることとしました。法的手段を検討し始め、「新明弁護団」も結成されました。
★2000年1月・・・施設の許可取り消しを求める行政訴訟を提起しました。
★2000年2月・・・新明周辺の粉塵、土壌中の深刻な重金属汚染調査結果が明らかになりました。
★2000年3月・・・新明の焼却の処分業許可の期限(5年毎に更新を受けなければならない)が切れ、施設の改善工事が未だ進んでいないことから、県は更新の許可を留保しました。これにより、業の許可がない状態となり、新明は焼却を停止します。

★2000年4月・・・住民の申立により、新明に対して裁判所が立入、「証拠保全手続き」がとられました。
★2000年7月・・・新明が帳簿を付けていなかったことは、廃棄物処理法違反であり、罰則も設けられています。これについて埼玉県警に「告発」をしました。
★2000年11月・・・新明の廃棄物処理法違反について、埼玉県警が捜査の結果、確認、地検に書類送検されました。
★2001年3月・・・新明施設許可取消訴訟の第6回公判が行われました。
施設許可の取消を求めていますが、埼玉県は、今回許可に問題はないと主張しています。私たちは新明の操業が周辺住民に深刻な被害を与えてきたこと、今回の許可には、大きな問題があることを主張しています。

4,(株)新明の事業概要
焼却許可品目
 1号炉4.8t/日 木くず、紙くず、繊維屑、動植物性残さ、廃油 
 2号炉4.8t/日 木くず
保管積み替え許可品目
 廃プラスチック、金属くず、ゴム屑、ガラス屑及び陶磁器屑