北田18回石坂10回裁判報告

2時間の三好先生の証人尋問は、燃焼とは、から始まり、北田商事焼却炉の問題点を一つ一つ復習して、これまでの原告側主張の補強をする、とても、分かり易い尋問でした。
原告側弁護士の釜井先生が一つ一つていねいに質問を重ね、三好証人が的確に答え、問題点が浮き彫りになりました。主な尋問内容は、最後に。

印象的だったのは、県の人たちが一生懸命聞いてメモしていたことです。全員とても熱心に聞いていましたが、少し勉強してくれたかな。みんな素直に?うなずいてたりしていました。三好証人は、埼玉県の小型焼却炉対策の専門委員も務めたことのある、焼却炉の専門家です。その専門家が北田焼却炉の大きさ(処理能力を偽っていること)、また、それを過小評価しているための、様々な問題点を指摘しているのですから、埼玉県としては、大変、苦しい展開となった様です。

尋問終了後、裁判長が、原告側が指摘している北田商事の無許可営業(廃棄物処理法違反)についての「調査の件はどうなっているんですか?」と聞き(現在、埼玉県では、この無許可営業が事実かどうかの調査をしているという)、埼玉県代理人弁護士関口さん
が、「現在調査を終了し、聴聞の手続にはいるところです」と答えていました。
不利益処分をする前の、「聴聞手続」のことを指すようです。
裁判の進行が不利になってきたと思っている節のある(これは私の主観的印象です)関口さんも、ひたすら「許可取消」に希望を持っているよう?ですが、どうなるでしょうか。

 次回反対尋問は、三好先生の都合で、10月1日(水)1時半から、と間が空きま
す。

尋問内容

1燃焼とは

1)廃棄物の燃焼は・・・
 ディーゼルの燃焼と似ている
 本質的に黒煙・有害物質が出やすい←空気との混合が難しいため
  →燃焼管理が非常に重要
2)燃焼管理とは
 温度・滞留時間、撹拌(3T)の管理によって、完全燃焼をさせる
 (完全燃焼ではCO2と水が生成物となる。(有害物質が出ない))
  これらの管理が廃棄物焼却では難しい(特に撹拌?)
 酸素濃度は12%程度がよい
 ←空気量が多すぎると冷えて不完全燃焼(黒煙が出る)。少なくても不完全燃焼
3)不完全燃焼
 不完全燃焼は、酸素が不足したり、温度が低い状態で起こり、完全燃焼ではCO2と水が生成物となるが、不完全燃焼ではCO2ではなく中間生成物のCOが発生(CO→CO2となるには、温度が高いことが必要=活性化エネルギー)、 様々な有害物質が発生する
4)廃棄物の不完全燃焼で発生する有害物質は
  ベンゼン、アルデヒド、シアン、ダイオキシン類、炭化水素(ベンゾピレン、ニトロピレン)等様々な発ガン性物質 (汚泥では、微生物が不完全燃焼することにより、シアンが発生することが知られている)
 
→完全燃焼の目安はCO濃度。
CO濃度を100ppm以下(法規制)にするためには、(廃棄物の燃焼では数千ppmが普通)
→2次燃焼室で高温で空気とよく混合して撹拌させることが重要

2 焼却炉について
1) 焼却炉のタイプ
 火格子
 ロータリーキルン
 床燃焼炉 →小型焼却炉
 流動床炉(80%水分以上の汚泥)・・・燃焼が早すぎるという問題点
2) 二次燃焼室
 温度を安定させる役割→燃焼室熱負荷が重要。大きすぎても小さすぎてもよくない。
25万kcal 程度がよい。

焼却能力の考え方
1) 焼却能力を問題にするのはなぜか?(なぜ焼却能力が重要なのか?)
 廃棄物処理法では10%の焼却能力の変化でも、許可が必要となっている。
 燃焼室の大きさ、滞留時間、温度管理、集塵装置の能力等が焼却能力によって決まってくるから
2) 焼却能力の考え方
 燃焼室熱負荷・・・25万kcal/m3h(環境省通達?)経験値。(戦前からの)工学
          15〜30万kcal/m3h (埼玉県)
 15万というのは、耐用年数を延ばすため少し低めに設定されたもの(都市ゴミマニュアル)
 燃焼室熱負荷の出し方(式)
 火格子(床)燃焼率・・・100kg/m2h 経験値
 大防法の規制 200kg/h or 火格子面積 2m2以上で規制しているのも、このため

本件焼却炉について
1) 焼却能力が大きい
2次燃焼室が過大であること→各種焼却炉資料から明らか
 その問題点 温度が上昇しない
 2次燃焼室出口温度が800度以上になっているとの被告の主張について
 →バーナー火炎温度を測っている
 火格子で乾燥し2次燃焼室で燃焼するような仕組みとなっている
 ブロアーの存在
2) 乾燥炉能力が大きい
 ブロアーの能力→客観的に決まるはず
 偏流が起きるとの主張について→バーナー周辺の?空気が吸引されるようなことはない→偏流は起きない。
3) 電気集塵機の問題点
 集塵板の腐食が起きている→黒煙発生
 排ガス温度が低い→ばいじんの水分が凝縮して、水分がつく→電気抵抗が低くなり、集塵効率が著しく低くなる→有害物質の飛散

被告のダイオキシン類濃度測定結果が低いことについて。。。

なにも燃やしていない時の濃度