3月20日、いつもより早く桜の咲く中、北田石坂公判期日が開かれました。北田については、これまで、原告準備書面で、北田商事の焼却炉が許可手続を逃れた脱法の無許可施設である旨主張してきましたが、それを裏付ける専門家意見として、「小型焼却炉」の著者であり、埼玉県のダイオキシン対策検討委員会の委員でもあった、三好康彦氏の意見書を提出しました。三好氏は、意見書の中で、北田商事の炉が5t/日の処理能力を超えるものであることが明らかであると、詳細な計算、施設設計の検討から専門家としての意見を述べられました。県側も、三好氏の著書をひいて、北田の炉を許可対象外の小規模施設であると主張していましたが、今回、その当の三好氏自身に明確に否定されることとなり、今後の訴訟の行方を大きく左右する意見書です。県も裁判所も「よく検討して」ということとなりました。

 石坂産業について...
埼玉県は、これまで、石坂の焼却施設は、平成9年みなし許可を得るまで、規制対象施設ではなく(それは法の不備ではあったかもしれないが、しかたがない、とまで述べています)、私たちが無許可で行ったことで違法としている大規模変更工事も許可は要らなかった、だから適法な施設である旨主張してきました。さらに、この大規模変更工事は、「改善」であり、周囲への影響も減じさせるものだったのだから、よいのだ、としています。
 これに対し、原告側はこの「変更工事」の実態がまさに新設ともいえる大幅な規模の増大をもたらしたものであることを、変更前の写真と変更後に出来上がった2倍以上の大きさの施設規模を示して、工事の実態を明らかにしていきました。排ガス量も工事後倍増し、「改善」どころか、近辺へ撒き散らされるガス量が大幅に増え、周辺住民に対しての影響は減じるどころではありません。

 さらに、これまでの石坂産業の法手続の遅延、無許可工事、無許可の廃プラスチックの焼却、維持管理基準違反などさまざまな違法事実を、大部の証拠と共に指摘し、これらの事実が、業の不許可対象である「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由があるもの(おそれ条項)」にあたることを主張しました。

 県側は、これらに対して、次回期日までに、反論を準備するために、かなり検討を要する旨述べて、次回期日は6月5日11時から、と少し間があくこととなりました。けれど、調べていくうちに次々に明らかになっていく、県の許認可審査のでたらめさと石坂、北田の実態のひどさにあきれ果てます。繰り返し勝手に工事をし、許可申請・届出を怠り、遅延し、それについて、罰則も適用せず、遅延理由書を繰り返し提出させて黙認する県と業者とのもたれあい。その施設の排煙を受け続ける住民からすると、ろくな審査も受けずに大量に焼却する施設がそばにあることは許せません。
埼玉県と業者の実態を明らかにし、今後このようなことを繰り返させないためにも、今後も引き続き、実態調査に取り組んでいきたいと考えています。