11月19日午前10時半より、埼玉県に対する石坂産業の産廃処分業更新許可取消請求の第2回公判、北田商事の許可取消請求第10回公判が「さいたま地裁」にて行われました。
 被告側は、埼玉県の代理人である関口幸男弁護士が出廷し、原告側は、釜井英法弁護士他代理人6名と原告9名が出廷しました。

石坂産業の許可処分に対しては、
 まず、原告適格について(県は、原告側の訴状に対して、「廃棄物処分業の許可は県と石坂産業だけの問題であり、住民には訴えの利益がなく原告適格がない」としています)
 最高裁判所判例を援用し、廃棄物処理法が周辺住民の生活環境の保全をはかる趣旨をもっており、施設自体、あるいは施設の事故がもたらす災害や悪影響により直接かつ重大な被害を受けることが予想される周辺住民の生命、身体、生活の安全などに関する個々人の個別的利益を保護しようとしているのであるから、本件の許可処分の取消を求める訴訟の原告適格を有することは明らかである、としています。

また、石坂産業の設置する施設について、

 石坂産業の施設は、15.4t/日(紙くず、木くず、繊維屑、動植物性残さ、ゴム屑)、31.2t/日(紙くず、木くず、繊維屑、動植物性残さ)、1.28t/日(汚泥、廃アルカリ、廃プラスチック類、ゴム屑、感染性産業廃棄物)を処理する3基の焼却炉、廃酸( pH2以下含む)、廃アルカリ(PH12.5以上含む)の中和施設(中和後、焼却炉にて炉内噴霧)、12t/日の廃プラスチック溶融施設、木くず112t/日の破砕施設、がれき類320t/日の破砕施設、金属くず、ガラスくず及び陶磁器くず320t/日の破砕施設、焼却炉にて使用する廃油(メタノール等含む)のバーナー、と各種多岐に渡る。当地域最大規模の施設であり、処理される廃棄物の種類も多種多様、そして大量である。
 各焼却炉からは1日当たり総量では約50万Nm3以上の排ガスが排出され(届出量で
あり、実際にはそれ以上の焼却がなされる恐れもある)周辺に撒き散らされる。(ま
た、中和後焼却炉内噴霧される廃酸、廃アルカリには、特別管理産業廃棄物である、
強酸、強アルカリが含まれる)煙の中には様々な有害物質が含まれる。また、その悪
臭は日によって塩素臭、薬品臭、ゴミ臭など様々であり、日によっては受忍限度を超えるものである。
 木くず、金属くず、ガラス屑及び陶磁器屑、がれき類の破砕は、すさまじい騒音を発生させる。また、破砕の際に出る粉塵の量は大量であり、周囲の植物が真っ白く粉塵をかぶっている様子が観察されるほどである。とし、

 これらの諸事情に照らして原告らは全て原告適格を有すると主張しています。

 また、県が、当時の石坂の炉は「産業廃棄物処施設ではない!?」から施設の変更許可はいらないと主張していることに対し、法文上、明確に「産業廃棄物処理施設」として、1日当たり5tの処理能力を超える焼却施設は「産業廃棄物処理施設」に指定されており、また、実質的にも、県のように解釈することは新設に著しく近い「変更」まで許可を不要とすることとなり、脱法行為を奨励するに等しく、許されるものではないと主張しています。

北田商事については、
平成13年8月9日、所沢市が北田商事敷地境界の2地点において悪臭物質の測定を行ったところ、2地点とも硫化水素が規制基準を大幅に超えた。硫化水素の規制基準は0.02ppmであるところ、汚水溜め場脇では、0.042ppm、ごみ貯め場脇では0.086ppmの測定結果が出たこと。所沢市長が明確に「周辺の生活環境が損なわれている」と指摘していることを、挙げ、
 これまで、悪臭はない、としてきた埼玉県に対して、現在も悪臭が発生し続けていることが真実であることが立証されました。悪臭の主要な発生原因である古い廃棄物の撤去がなされないまま、許可処分を出した埼玉県の違法を主張しています。この安易な許可処分が住民の健康被害をもたらしたといっても過言ではないのです。

 以上のような主張を原告側からし、これに対する県の反論を次回期日までに出すよう裁判官が指示し、公判は終了しました。次回期日は、1月23日午後4時半からとなりました。