2000年1月25日
(株)新明行政訴訟に関して
1、 当事者と請求の趣旨
原告・・・(株)新明(所沢市南永井の産業廃棄物焼却施設)周辺の住民、周辺事業所勤務者、農家など計18名
被告・・・埼玉県知事
請求の趣旨・・・埼玉県が平成11年10月27日付けで出した(株)新明に対する産業廃棄物処理施設変更許可処分の取り消しを求めるもの
2,訴えの理由
これまでひどい操業状態であった業者に対し、焼却続行を認めるものである。
(株)新明はこれまで黒煙を出す、煙突から灰を撒き散らす、焼却灰を5m以上の高さに野積みする、許可外の廃プラスチックを分別せずに燃やす、暴力団がらみの事件の死体を気が付かないで燃やす、などのひどい操業状態だった。周辺住民は、生活環境の悪化を訴え、業者、県に焼却停止の要望をしてきたが全く改善されることはなかった。ところが、県はこの業者に対して「彩の国環境創造資金」制度からの億単位の融資により、バグフィルター(排ガス処理設備)を付けさせ、焼却を続ける事を認める判断を示した。県は10月27日には施設の変更許可、11月4日には1億もの融資斡旋を実施した。
これまでひどい操業状態であった業者が排ガス処理設備を備えただけで、今後きちんとした適正処理をするようになるとは考えられず、手続き上も納得できない点が多々あるため、周辺住民として、許可処分を取り消すよう求めることになった。
処分取り消しを求める理由として・・・
(1) 現在工事中1号炉は、炉体が全て取り払われ、地下式炉の穴が残るのみである。これを、変更とし、新設の許可手続きを免れており、手続き上、違法である。
(2) 新明の炉は600kg/時間が2基とされているが、その大きさから、実質能力は3倍以上は持つと見られ、許可審査が適正に行われていない。
(3) 新明は、所沢市に対し、平成7年に施設の変更(600kg/時2基→2000kg/時,2500kg/時)を届け出ているが、埼玉県は、全く把握しておらず、依然として600kg/時2基としてとらえており、所沢市の変更届によれば、廃棄物処理法上の手続きを全くとっていない無許可施設である。
3,(株)新明のこれまでの経過
1997(H9)頃より、周辺住民の苦情が多く寄せられる
1998(H10).8.3〜(埼玉県立入調査結果より)
燃え殻は以前よりかなり減少したが、まだ塀の高さを超えている
廃プラの混入がかなりある、燃焼室と蓋の隙間から燃焼ガスが出ていた。
1998(H10).8.27 埼玉県より産業廃棄物の適正処理について勧告
燃え殻の適正保管、廃棄物の保管、廃プラスチックの分別の徹底について
9.14煙突から火の粉が出るとの苦情あり。パトロール時、スクラバー故障。
9.22燃え殻搬出中だったが、まだ高さ5m程ある。
1998(H10).12.1(埼玉県立入調査結果より)
構造基準に適合しないため休止。
1998(H10).12.21(埼玉県立入調査結果より)
2号炉改善工事完了の確認調査→稼働へ。
助燃バーナー、温度記録計、散水設備設置。
投入口周囲の隙間を鉄板でふさいであった。
1999(H11).2.12(埼玉県立入調査結果より)
2号炉稼働中、温度記録では燃やしきりが不十分 蓋に隙間あり。
1号炉工事中。
燃焼室が取り払われ、巨大な穴を残すのみの状態となる
1999(H11).7.23 暴力団がらみの死体を燃やしていた(H10.11.22)ことが新聞報道により明らかになる(新聞報道から、県に問い合わせ、新明であることを確認)
1999(H11).7月〜 住民で新明の施設の許可を取り消すよう要望
1999(H11).10.27 埼玉県 新明の産業廃棄物処理施設変更許可
1999(H11).11.4 埼玉県 新明の改善工事に対して「彩の国環境創造資金」による融資斡旋
4,(株)新明の事業概要
焼却許可品目
1号炉4.8t/日 木くず、紙くず、繊維屑、動植物性残さ、廃油
2号炉4.8t/日 木くず
保管積み替え許可品目
廃プラスチック、金属くず、ゴム屑、ガラス屑及び陶磁器屑