地域でPRTRデータを使おう。。。(2006テスト版)

PRTRデータ2001〜2003年度に更新しました。
1,所沢周辺のPRTRデータ届出MAP

2,MAP対応事業所別排出化学物質種類・量の表(所沢・狭山・川越・三芳町・新座市・大井町・入間市)

3,所沢市事業所届出データ多量排出事業所順表

4,所沢市事業所届出データ化学物質種類集計データ

4,埼玉県事業所届出データ多量排出事業所BEST20

PRTRについてのお勧めサイト
1、有害化学物質削減ネットワークが運営するTウオッチウェブサイト
 事業所届出データ(全国)の検索、市区町村データ、化学物質毒性情報などが検索できるサイト。国により開示されたデータをもとに事業所名、企業名、業種、住所、
化学物質名等を入力することで、個々の事業所の届出データを検索できるデータベースがあります。また、化学物質ごとに排出量の多い順位も検索できます。また、化学物質の毒性を加味した潜在危険度データを市町村別に公開しています。
市民が無料で利用できる日本で唯一のものです。

2,PRTRの概要について(環境省ホームページ)
http://www.env.go.jp/chemi/prtr/8/8index.html

3,PRTR指定化学物質データ検索(環境省ホームページ)
http://www.env.go.jp/chemi/prtr/8/8index.html
表中に出てくる化学物質の有害性データを調べることができます

 2003年3月21日、日本でもPRTRデータ(事業者など化学物質排出移動情報データ)が公開されました。市民はこの膨大なデータをどのように使えるのか、また、どのように使えば、地域の化学物質による環境汚染の削減に役立てていくことができるのでしょうか。。。未だ試行錯誤の段階ですが、当会でデータをマップに落として、事業所別のデータ表を作りました。今後、より分かり易いように、改良していこうと考えています。。。ご意見をお寄せ下さい。

1,環境省のホームページでは。。。
まず、環境省のホームページでは、化学物質や業種、都道府県毎の集計結果等、を載せています。それぞれ、自分の興味のある分類での集計結果を選び、地図やグラフで見ることもできるし、ダウンロードすることもできます。
 しかし、ここで提供される情報は、あくまでも「集計結果」であり、あまりにも多種多様で、漠然としていて、化学の専門家でもない一市民としては、日常的で身近なリスクとしてデータを見ることができないというのが正直な感想です。
 「私の住む地域」では、どこに、どのような「排出源」があり、そこからどのような「化学物質」が「どのくらいの量を排出している」のか、その「危険性」はどの程度なのか、といった具体的かつ地域的な情報が、環境省のページでは全く解りません。この様な地域情報を住民が手にすることにより、地域の負荷を知り、排出源企業に地域住民が働きかけ、その結果、排出量が低減していく、というPRTR情報の使い方はどのようにしたらできるでしょうか。

3,事業所データを使って
 環境省は、以上のデータを含む事業者排出源データについては、開示請求手続を必要とさせています。全国の事業者排出源データは一枚のCD-ROMに納められ、開示費用は1090円。(1枚のCD-ROMに納められるデータならば、なぜ、ホームページで公開しないのか?)郵送でも受付ける、とされているので、早速、開示請求手続を取ると、3日後には、CD-ROMが郵送されてきました。
そこで、このデータを使って、早速、私の住む埼玉県所沢市周辺のデータを集計してみました。
 所沢市の中での、排出量の多い事業者、排出上位化学物質を、並べてみたり、埼玉県の排出量の多い事業者を調べることもできます(表参照)。住所データがあるから、地図に落とすこともできました(地図参照)。地域の川に排出される化学物質データを見ることもできます(届出があるもののみ)。
地域の人たちが、自分たちの地域の情報をより簡単に入手し、その環境リスクを知り、疑問を排出源事業所にぶつけ、地域の環境をよりよくしていこうとする動きにつなげることができればと考えています。


3,届出外の事業所排出状況について

 所沢周辺には産業廃棄物処理業者が約50以上立地(内、6業者は焼却炉設置事業者)していますが、これらは、全てデータを報告していません。産業廃棄物処分業は報告対象事業所に指定されており、そのうち、焼却施設は、特定用件施設とされ、ダイオキシン類の報告をすることとされています。埼玉県では産廃処分業者約335事業者のうち、報告をしているのは11業者のみ。そのうち、10業者は焼却施設のダイオキシン類のみの報告です。この報告状況は実態をあらわしているのでしょうか。報告数が少ない理由としては、報告を要する事業者の従業員数が21人以上という、「裾切」を理由として報告していない小規模産廃処理事業者が多いこと、次に、廃棄物中に含まれる化学物質が把握されていないこと、が考えられます。

4,廃棄物中に含まれる化学物質が把握されていない?
 全国の業種別届出事業所排出量・移動量集計を見てみると、全業種から、「移動」として届けられる内、その殆どが「廃棄物」として、事業所外へ移動したと報告されています。その総量は21万9千t(全体報告の42%を占める)。まさに、多種多様な化学物質が含まれます。ところが、それらの第一の受け入れ先(移動先)と考えられる、「産業廃棄物処分業者」の届出データは、といえば、移動・排出量合計1162tにとどまる。「廃棄物」として移動した量の、0.5%。各業種で「廃棄物」として扱われ、移動した後、それらに含まれると報告された化学物質が消えてなくなってしまうわけはありません。それらは、廃棄物として、焼却、圧縮、破砕、等の減容処理や、埋立等の処理をされる間にも、様々な形で地域にばらまかれているはずです。ところが、製造者から離れ、「廃棄物」になった段階でそれらの化学物質情報が、途切れてしまうために、把握されない「未知の情報」となってしまう。
焼却はもちろん、破砕、圧縮などでも、私の地域の廃棄物処理施設は屋外で粉塵をもうもうとたてながら、操業を続けている。それらの処理されている「廃棄物」には、どのような化学物質が含まれ、その処理によって、どの程度の量のどのような種類の化学物質が地域に排出されているのか、全く把握されていないのは本当に問題です。
今後、これら「廃棄物」の移動先での環境リスクも把握できるようなシステムが必要ではないかと実感しています。
 また、廃棄物排出TOPの建設業が、対象業種とされていないことも、問題です。建設業から排出される大量の廃棄物中にはアスベストを始めとする様々な有害化学物質が含まれるはず。しかし、これらも、全く把握されていません。

5,今後への期待
 以上、公開された後の短期間での、簡単に取り組める範囲でのPRTRデータの活用ですが、これらの膨大なデータをどのように活かすことができるかは、地域住民の各地域での取り組みにかかっていると感じています。地域住民と排出企業とのリスクコミュニケーション、行政への働きかけ、等を積極的に行っていくことによって、地域の環境リスクを低減していくことが期待できます。これまで、例えば隣の事業所がどのような化学物質を使用し、排出しているかを全く知ることはできなかったことを考えれば、この化学物質排出情報を使うことによって、地域住民の地域環境リスクに対する改善への取り組みは随分と力を得るでしょう。