今年1月21日、埼玉県化学物質対策専門委員会が開かれ「クマクラのダイオキシン類による土壌汚染の対策完了について」県からの報告がありました。一昨年の10月に、私たちが、三芳町の焼却炉業者クマクラの汚水垂れ流しによる隣接地土壌のダイオキシン類汚染を明らかにして以来、埼玉県の追調査による確認、指導を経て、汚染土壌、汚染物の処理が完了したとの報告です。
県の資料によれば、結局、最高で12000TEQpg/gの汚染が検出された汚染土壌16トン(ドラム缶81本)を撤去し、嵐山の民間焼却処理業者にて「焼却処理」した、とのことです。焼却処理については、その安全性が疑問視されますが、県と業者との間の「行政指導」により、処理方法が決められてしまいました。県は、汚染土壌焼却処理の際に、排ガス、ばいじんのダイオキシン類測定を実施し、基準値以内であり、安全に処理された、としています。
私たちは、汚染土壌浄化対策については、公開の場で、と要望してきましたが、結局、非公開の行政指導によ終始したことは、今後に大きな課題を残すものとなりました。さらに、心配な事は、汚染源と目されたスクラバー汚泥=46000pg-TEQ/g(焼却の煙を水で洗うことにより生ずる汚泥)の処理についてです。クマクラは調査結果の出る前に処理を行い、他の産業廃棄物処理施設(県内)で、他の廃液と混合後、中和脱水処理、処理水は蒸発処理!させた、というのです。その後このスクラバー汚泥は46000pg-TEQ/gに汚染されていたことが明らかになりました。当初から汚染源と目されていた汚泥についてこのような処理を許した責任は重大です。汚染を他所に広げてしまった恐れがあります。なぜ、調査結果が出るのを待って、万全の処理をさせることができなかったのでしょうか。埼玉県のあまりにも無責任な「行政指導」に対して、問題を追求していく必要があると考えています。
次の世代に汚染を残さないために、そして、汚染が広がることを防ぐために、汚染浄化を徹底しなければなりません。そのために公開の場で、様々な批判・意見を取り入れ、浄化対策を決定していくことが必要です。不透明な行政指導が、如何に安易で、不十分なものを生むか、ということが示されました。私たち自身も、行政に対して、常に関心を持ち行動していかなければならないことを思い知らされました。