● 子どもたちにきれいな水と土と空気を手渡し、いのちとくらしを守るために−−−

第0号 創刊準備号 1999年2月21日発行

◆編集・発行所
さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会
発行人:事務局代表・前田 俊宣
〒359-0041 所沢市中新井5-1-3-201 Tel 042-943-0295
E-mail ekitaura@tk.airnet.ne.jp
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ダイオキシン公害調停の調停委員決定!
しかし,調停日程未だ決まらず!


 昨年の暮れも押し迫った12月21日、埼玉県公害審査会に対し、公害調停申請書を提出してきました。第1次申請人は3415名! たくさんの人たちの、きれいな空気と安心して暮らせる街を取り戻したい、という思いとともに、ずっしりと重い代理人選任書も手渡しました。
 埼玉県もこれまでにない大規模の公害調停申請、ということで、慎重に、誠実に対応していきたいと答えています。また、新聞報道によれば、提出当日、埼玉県産業廃棄物協会の会長である鈴木勇吉氏が記者会見を開き、誠実に対応していきたい、よい業者と悪い業者を区別して考えて欲しい、等の意見を表明したということです。
 私たちの街にある、たくさんの焼却炉とゴミの山。毎日毎夜ふきだし続けるたくさんの煙、ゴミの山からとんでくる塵、埃。わたしたちの暮らしは、子供たちは、このままでは、守れない。これまで、わたしたちは、埼玉県にいろんなお願いをしてきました。けれど、状況は全くよくなりませんでした。調停申請では、次のことを求めていきます。

 被申請人は「所沢市周辺に焼却炉を持つ(持っていた)47社」とそれらに対する許可権限と監督権限を持つ「埼玉県」です。また、ゴミを出し続ける排出事業者に対しても、話し合いの場に参加するよう、求めていきたいと考えています。

◆調停委員決定!
 調停委員が決定しました。公害審査会の会長でもある新井毅俊弁護士、そして苦田文一弁護士、内山俊一先生(埼玉工業大学工学部教授)の3名の方々です。私たちの思いを伝え、理解していただけることを期待します。

◆調停日程未だ決まらず!
 申請書提出後2ヶ月が過ぎましたが、2月20日現在、埼玉県から、調停日程などの連絡は未だ来ていません。あまりにも遅すぎるこの対応に、弁護士の方にお願いして、調停日程を早急に決定するよう、求めることにしました。埼玉県では、「重要な案件でもあり、これまでにない、大規模の申請人、ということで、慎重に対応している」としていますが、先延ばしにすればするほど、被害が大きくなる、という事実を直視するべきです。一日も早い誠実な対応を望みます。


昨年12月21日、埼玉県公害審査会に対し、公害調停申請書を提出してきました。第1次申請人は3415名! 全国紙をはじめ、TVニュース等、各報道が大きく報じました。

■読売新聞 
1998年12月22日付記事


所沢の農業を守るためにも!

焼却炉と農家は、共存できない、と農家の方が悲痛な声をあげています。

 2月1日、ニュースステーションの特集、“野菜とダイオキシン”で、所沢が取り上げられたことをきっかけとして、所沢の野菜に対して取り扱いを中止する動きが広がり、農家の方々が大きな被害(額としても、そして精神的にも)を受けています。
 所沢周辺には、この地で300年、誇りを持って農業を代々受け継ぎ、畑を守り続けてきたたくさんの農家の方々がいます。
 所沢の焼却炉が問題になって以来、農家の方々は、県や市に対策をお願いし続けてきました。それなのに、これまで行政は抜本的な対策をとることはありませんでした。そして焼却炉は依然操業を続け、野焼きさえなくならない現状があります。焼却施設の実態の調査すらされていないのです。行政は、なにもかもあいまいにしたまま、その場しのぎの対応を繰り返してきたのではないか、そのことが、今回の騒ぎを誘発した大きな要因となったのではないか。目を転じれば、煙突から、煙が立ちのぼっているのが見えます。この煙が農家の方を苦しめているのです。農家の方が本当に困っているのに、産廃業者はそ知らぬ顔で煙を依然として出続ける……。こんなことがなぜ許されるのか。

 行政の方に、そして、全ての人に、大きな声で言いたい。300年続いてきた、この地の農業を、みんなで守ろう。守らなければならない。それは、とても大切な、私たちの地域の、次の世代に伝えなければならない、素晴らしい財産なのです。

 道路を一本隔ててサラリーマンが主体の住宅街があります。そこに住む人々は、たった一本の道路を隔てただけなのに、多くの市民はこの畑のことを、農家のことを知らなさすぎたのではないでしょうか。

 焼却炉を止めるために、公害調停に望みをかけ、申請人となっている多くの農家の方がいます。
 私たちは、焼却を止めるために、この地の農業を守るために、(そしてそれは全ての人の生活を守ることになるのです)力を合わせていかなければなりません。

会の対応と今後の動き

 公害調停をすすめる会では、2月10日、埼玉県知事、所沢市長に対し、今回の野菜騒動に対する緊急要望書を提出しました。要望事項は以下の通りです。

 今回の騒動を解決するために不可欠なのは、早急な発生源対策です。これまでもずっと求め続けてきた発生源対策。目に見える被害が出なければ、全く動こうとしない行政の体質が今回もまた露呈しました。
 2月15日、埼玉県は、所沢周辺の焼却炉群に対し、焼却自粛の要請をしました。けれど、それは、単なるお願い、であって、焼却炉設置業者がどのような対応をするのかは不透明です。また、自粛の期間がどの程度になるのか、も全く分かりません。自粛の要請があった15日も、各施設から、もくもくと大量の煙が吐き出されていました。今後、業者がどのような対応をするのか、しっかり監視していかなければなりません。
 また、最も大切なのは、さらにさかのぼった、これらの業者に大量の産業廃棄物の焼却処理を委託している排出者に対する対策です。
 たくさんのごみを満載したトラックが、東京方面から押し寄せてきています。このごみを減らしていかない限り、問題は解決できません。
 今回の騒動でも全く顔を出さない、排出企業を巻き込んだ対策こそが今必要なのです。
 はからずも、今回の野菜騒動で現れたのは、消費者が、いかにダイオキシンに対して敏感であるか、という事実です。この意識に対して、行政や排出企業、焼却炉設置業者は、これまでの対応の遅さを猛省するべきです。「ダイオキシンの毒性は未だ明らかになっているわけではない」などと答えることは、もはや許されません。行政はダイオキシン対策がここまで遅れてしまったことに対して責任をとり、資源循環に向けた実効性のある対策をとるべきです。排出企業は、自らの責任において、ごみ減量と資源化を早急に実現させるべきです。私たちは、それをしっかりと監視していかなければなりません。

第2次申請分,ひきつづき募集中です。

 昨年12月提出の「公害調停」第1次申請では3415名の方が申請人となって下さいましたが、「すすめる会」では、ひきつづき第2次申請分を募集しています。4月の統一地方選挙を前にして、公害調停運動が、特定の政党や個人に利用されないよう、第2次申請は3月21日(日)で締め切り、それ以降は公害調停そのものに力を注いでいく予定です。参加希望の方がいらっしゃいましたら、ぜひ3月21日までに、事務局までご連絡ください。

 

◆「すすめる会」が提出した「調停申請書」については、県側が非公開の原則をかたくなに主張し、広報やインターネットへの掲載に反対しています。当会としては、とりあえず非公開原則に応じ、「調停申請書」を申請人に実費で販売するという方針をとりました「調停申請書」の実費は300円です。ご希望の方は、事務局までご一報ください。

◆「きれいな土と空気」は、公害調停の経過と結果を、ダイオキシン公害調停に関心のある方々に広くお伝えすることを目的に、調停の日程や進行にあわせて、発行していく予定です。現在の限られた予算では、郵送による配布を行うことは不可能ですので、申請人による手渡しネットワークの「POST BOX」をできるだけ活用して広報を配布したいと考えています。
 (次号・第1号は、調停に関する通知事項がありますので、申請人全員に郵送でお送りいたします。ただし、第2次分に申請中の方には、郵送されません。悪しからずご了承ください)


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