● 子どもたちにきれいな水と土と空気を手渡し、いのちとくらしを守るために

HTML版第9号 2001年1月28日発行

◆編集・発行所
さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会
発行人:事務局代表・前田 俊宣
〒359-0041 所沢市中新井5-1-3-201 Tel 042-943-0295
E-mail HZE03164@nifty.ne.jp
URL http://www3.airnet.ne.jp/dioxin/


一般カンパも随時、受け付けております.振込先は
郵便振替00530-0-40224「公害調停をすすめる会」宛


◆第13回ダイオキシン公害調停◆

2月3日(土)午前10時から さいたま共済会館
4F402会議室 申請人のみ *会場は下の地図をご参照下さい

 


●21世紀にまたがって考えたこと

公害調停をすすめる会代表 前田俊宣

 明けましておめでとうございます。98年の12月に申請した私たちの公害調停が 3年目に入りました。改めて、今年こそは一日も早い解決をと、決意を新たにしています。

 昨年の暮れ、第2回目の報告集会の後、うれしいニュースが入ってきました。くぬぎ山地区で、私たちのダイオキシン自主調査の影響もあって、産廃業者クマクラが焼却炉の廃炉届けを出し、焼却を止めました。運動を続けてきて良かったと思いました。

 4000人を越える申請人に支えられた公害調停ですが、目覚ましい成果がなく、この2年間、いらいらさせられる事がありました。ですが、振り返ってみると、昨年頃から、次第にはっきりしてきた、素晴らしい成果が出てきていることに気づきました。

 47社を対象とする広域的な運動と平行して、個々の焼却施設の周辺住民による、特定業者を相手にする周辺の住民運動が、次第に増えてきたことです。一番深刻な被害を受けるのは、やはり、焼却炉の近くで暮らしている近隣住民です。しかも、業者にとって最もいやな相手も周辺住民です。実際に、この2年間だけでも、周辺住民が立ち上がったことによって、焼却やRDFなどの産廃中間処理を断念した業者は、いくつもあります。今なお運動が続いていて、業者を追いつめているところもあります。

 肝心なときになると意外と行政は、住民の為に動いてはくれません。業者側の代理人ではないかと思うことすらあります。そんな時やはり、自分たちの環境は自分たちで護るしかないという民主主義の根本理念に目覚めます。自覚的な、環境に鋭敏な問題意識をもつ住民が、自ら立ち上がり始めたこと、もしかすると、これが私たちの運動の最大の成果になるかもしれないと思います。
広がりつつある周辺住民の方々と共に、さらに一つでも多くの焼却施設をなくするために、知恵と力を合わせて、がんばって行きましょう。よろしくお願いします。


 ◆第12回調停期日報告◆

  昨年11月29日、ダイオキシン公害調停第12回期日が開催されました。今回は、各被申請人業者1時間、申請人30分、県30分、と、それぞれ時間をわけて、調停委員が個別の意見聴取をする、という形で行われました。

 申請人に与えられた時間は30分と、かなり短く、あわただしく感じましたが、調停委員が、その前に行われた被申請人からの事情聴取の内容を簡単にこちらに伝えたうえで、申請人側の意見を聞く、というものでした。

 まず、私たちが求めている汚染調査実施について、公害紛争処理法に基づき、調停委員会としてやれること、やるべきことを列挙し、より積極的に、汚染実態調査実施に取り組むよう求めました。この汚染実態調査は、焼却をやめた業者に対しても、これまでの操業による汚染がなかったか否かを調査した上で、調停成立ができるのだ、調停成立上、欠くことの出来ないものである旨を主張しました。

 また、ごみ山撤去についても、これらのごみ山を積み上がるままに放置してきた行政の責任を明らかにした上で、各ごみ山の質、量の調査、撤去方法の慎重な検討の必要性をあげ、措置命令、代執行手続等による、早急なごみ山の撤去を求めました。また、費用については、第1次的には放置した業者、何らかの事情で業者が負担できない場合は、県及び委託者などに負担させるべきであると主張しました。

 以上2点について実施の鍵をにぎるのは、集中立地を放置し、汚染が心配される状況を放置してきた県であり、県が真摯に調停に対応するべきである旨を訴えました。調停委員会からは、調停進行上、被申請人をグループ分けしてほしい、との要請がありました。

 次回期日も、個別に3者の意見を調停委員が聴取する、という形で行われることとなりました。そもそも、公害紛争処理法は、公害被害に関する救済の円滑な実施、訴訟で求められる被害者の被害立証負担の軽減、公害被害予防手段としての利用、等々を目的として、整備されました。それを実施する責務を持つ調停委員会は自らの使命を自覚し、今後、積極的に調停を進めていく姿勢を明確にするべきであると深く感じました。


●運動の成果と課題

クマクラが焼却炉廃止!(広報紙発行後に県の調査結果が発表されました。詳細は次号にて報告します)

 前号でお知らせしました、住民自主調査による、くぬぎ山業者クマクラ施設直近土壌汚染5000pg発覚についての続報です。

 暮れも押し迫った昨年12月20日、県からの連絡により、クマクラが、1号炉に続いて、2 号炉廃止届を提出したことがわかりました。これで、クマクラは今回の汚染原因として疑われた、焼却施設を全て廃止、焼却をやめることとなりました。

 住民の苦情が絶えなかった施設2炉が操業をやめたことは地域住民にとってこの上ない朗報です。汚染が発覚して以来、県に働きかけ、また、調停の場で業者に対しても、事実を突きつけ、釈明を求めてきました。これらの一連の働きかけが、廃炉へとつながったのは間違いありません。

 しかし、この5000pgという深刻な汚染原因の解明、汚染範囲を調査した上での原状回復措置、困難な課題が未だ残されています。また、クマクラは、焼却はやめましたが、破砕の業を今後も続けていきます。汚染問題の追求を引き続き、続けていきたいと考えています。そして、クマクラの施設以外にも、同じような状況があるかもしれません。最近、施設の隣の土壌が掘り返され、どこかへ持っていってしまった、といった状況が見られます。汚染土壌が闇へと運ばれ、何食わぬ顔を出来ると思っているのかもしれません。でも、そんなことをし続けて、ごまかし続けることは出来ません。汚水も灰も、流れるところへ流れるのを防ぎようがない施設に限って、そんなことをしているのですから。

所沢市の焼却炉、4業者(大空リサイクル、木下フレンド、大進興業、佐久間工務店)6炉が昨年12月1日より焼却を停止

 今後、所沢市焼却炉撤去事業により、補助金をもらい、焼却炉を撤去する予定です。浦和所沢線を通るたびに、煙の出ていない煙突を眺めては、ほっ、とする日々です。けれど、能勢の撤去作業員のダイオキシン類汚染が大きく報道されましたが、煙突撤去の際の 2次汚染がないよう、十分に注意して作業が行われるよう、厳しい監視の必要があります。

(所沢一市民の感想:今回、ダイオキシン類住民自主調査費25万円で、2炉が廃炉となったということか。かたや所沢市はこれまで、1炉に最高で8000万円(業者に対する補助金です)かけて、施設を廃炉に……。なんかおかしくないかなあ。)

廃炉にしたからといって……

昨年暮れ、三芳町の田中メディカルシステム(清算会社)の工場跡地で、9500pgTEQ/gのダイオキシン類土壌汚染が検出されたことが報告されました。1978年まで使用していた小型焼却炉からの残灰を地表下0.5m付近に埋立ていたことが原因と発表しています。また、重金属の鉛の濃度が最高で1,140mg/kg(土壌に係る含有量参考値600mg/kg)、トリクロ、テトラエチレンの地下水汚染(原因は不明)も発覚しました。20年以上前の汚染が残されていることに、ずさんな焼却汚染の恐ろしさを思い知らされます。

 田中メディカルは、汚染土壌の除去、浄化対策に引き続き取り組むとしています。さて、廃炉にした業者もありますが、残された汚染はチェックされたでしょうか。跡地となった後に発覚した汚染は、どうなるのでしょうか。操業している脇で灰を敷地内に踏みならしているのを目撃しました。崩れた焼却灰ブロックが積まれていた業者もありました。雨で流された灰は、どこへ溜まるでしょうか。突然、土を掘り返し、どこへ持っていったのでしょうか。移動し、目に見えなくなれば、汚染がなくなると思っているのでしょうか。だから、私たちは、汚染実態調査が必要であると主張しています。ここは、わたしたちの地域で、私たちの子どもたちに、汚染を残したくないからです。


裁判ルポルタージュ
北田、新明行政訴訟第2回目

 北田商事と(株)新明の許可取り消しを求める行政訴訟の第5回公判が1月15日、浦和地裁にて行われました。この冬一番の厳しい寒波にもめげず、両裁判にかかわる原告12名が列席、傍聴者も20名を越え、狭い法廷に熱がこもりました。

 まず最初に、前回陳述を許されなかった北田商事の維持管理能力の欠如について、久保田弁護士が口頭で述べました。産業廃棄物処理法7条に基づき、北田商事が「その業務に関し、不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足る相当のある理由がある者」に該当する法律違反であるというもの。適正な保管積替えを行わずにゴミ山を3年以上も放置し、排水処理をおこたって汚水をたれ流し、さまざまな原因から周囲にものすごい悪臭を放っていること。公道を不正に占有していることなどが挙げられました。

 次に秋山弁護士から我々には訴えの利益があるという反論。(当たり前ですよね。県の言い分は、許可は業者と県の問題だから住民には関係なく、私たちには訴えの利益がないというものです。こんな裁判に勝っても利益がないのは県のほうでしょうに)。最後に釜井弁護士が北田の炉の処理能力の届け出が虚偽であることを計算に基づいて述べました。

 (株)新明については、小原弁護士より(唯一の女性弁護士です)原告適格の立証がおこなわれました。新明のひどい焼却状況から周辺環境にどのような有毒物質がばらまかれたか、それによって原告であるある近くの住民がどのように被害を受けたかが細やかな表現でなされ、説得力のあるものでした。

 これに対し県は次回までに書面で反論してくると言っていますが、せっかく同席しているのだから、県顧問の関口弁護士の弁論を聞きたいもの。

次回公判は3月19日(月)
午前10時30分より浦和地裁にて。

北田のごみ山がさらに大きくなっていました。
埼玉県西部環境事務所が、厳しく?「口頭で」注意しました。
といっていたけど、相変わらず効果なし。(2001.1.11)


お金がまだまだ足りません!!◆

4人の弁護団の方々は難しいこの案件に骨身を惜しまず打ち込んで下さっています。少しでも私たちのお礼の気持ちを伝えるために引き続きご協力をお願いいたします。

 また、大手焼却業者のクマクラを焼却業廃業にまで追い込んだきっかけとなったのは、すすめる会が実施したダイオキシン調査でしたが、かかった費用は1検体約26万円です。26万円で今まで苦しんでいた煙を減らす大きな原動力になるのです。自分たちで調査を実施し、声を上げる機会を少しでも今後増やしていきたいと思いませんか? 一人でも多くの私たち自身の力で煙を少しでもなくしていきましょう!!引き続きご協力をお願いします。

◆振込口座◆ 郵便局 
公害調停をすすめる会 00530−0−40224


●事務局より

たいへんです!! 予算がありません!
調停成立のために、ぜひ維持賛助金の協力をお願いします


1 調停維持賛助金について

 前ページ会計報告にもありますように、今年度の賛助金についての会計は赤字決算となっています。予算はマイナスですが調停はまだ終わっていません。調停成立に向けて来年度も活動を続けていくために、申請人のみなさんの多数の維持賛助金がどうしても必要になっています。ちなみに4人の弁護士さんへの費用は半期分で合計100万円となりますが、これは賛助金500口分です。今年度は335口の賛助金が集まりました。来年度も弁護士さんたちに安心して動いていただけるよう、引き続きご協力をお願いします。

(なお、申請人としての権利は、支払いの有無にかかわらず調停が終了するまで、どなたも変わりはありません。)

  ●2001年度調停維持賛助金   
  一口 2000円
(送付は同封の郵便振込用紙でお願いします)


2 一般カンパも受付けています 

 調査などのために一般カンパも受け付けています
 同じ振り込み用紙でカンパを受け付けています。今回のクマクラのダイオキシン自主測定のように、住民が積極的にきちんとした調査をすることが、県や業者を動かす具体的な成果につながります。ただ、そのためには多額の費用がかかります。みなさんの一人一人の厚意が集まってこの調査を実施することができました。引き続き調査活動を続けるためにも、協力をよろしくお願いします。申請人以外の賛同してくださる方にも声をかけていただければ幸いです。

●一般カンパ 一口 1000円
(「一般カンパ」と明記の上、お振込ください)


3「公害調停をすすめる会」について
 調停の中心的な推進力となる「公害調停をすすめる会」の会員を引き続き募集します。毎月1回の定例会を開いて調停の方向を決めていきます。入会ご希望の方は、同封の振り込み用紙に住所・氏名・連絡先と「すすめる会入会希望」と明記の上、年会費(3000円)を振り込んでください。登録会員は来年度の会費(3000円)をお振り込み下さるようお願いします。


● FAXネット募集!! FAXで広報誌が送信されます。

 事務局では広報誌配布をポストボックス及び手配りボランティアに頼っていますが、作業軽減のため、FAXやE-mailによる通信ネットを利用していきたいと考えています。
 FAXやE-mailをお持ちの方は、住所、氏名、FAX番号を、以下宛FAXにてお知らせください(もしくは、振込の際に同封の振込用紙にご記入ください)。

042-943-4095 高橋まで


◆ボランティア・スタッフ募集!

●事務局では、広報発送、配布、資料収集、印刷、施設見学、ホームページの管理、その他、様々な作業を行っています。
 興味のある方、簡単なお手伝いなら……という方、ホームページのデータのチェックのできる方、自分の近所の焼却施設の見学がしてみたいという方、何でも結構です。ぜひ事務局までご一報ください。

一般カンパ、調停維持賛助金、「すすめる会」入会等
随時受け付けます。

振込先は
郵便振替00530-0-40224「公害調停をすすめる会」宛