● 子どもたちにきれいな水と土と空気を手渡し、いのちとくらしを守るために

Internet版第19号 2002年12月30日発行

◆編集・発行所
さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会
発行人:事務局代表・前田 俊宣
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本年度の調停の歩みについて
代理人弁護士 秋山 努

 昨年11月、自社処分で焼却を停止しているグループ(調停では「第1グループ」と呼んでいました。)との間で調停が成立しました。そこで本年度は、次に、廃棄物処理業者で焼却を停止した「第2グループ」の検討から始まりました。

 しかし、第2グループは焼却を停止しているといっても、廃棄物処理を事業として行っている者です。申請人側が求める情報公開、立ち入り調査等について強く抵抗しました。 調停委員会は、第2グループとの調停は容易でないとみて、その折衝を一通り終えてから、県やその他の被申請人会社の調停にコマを進める意図でしたが、4月に新明のごみ山火災で隣接していた工場が延焼するという大事件が起きてしまいました。

 さすがに、この火災によって県も失態を意識し始め、ごみ山については、申請人側の求釈明・要望にある程度応じるようになり、ごみ山全般につき、撤去に向けた指導を行うことなどを表明するようになりました(ただし、それが言葉だけでないかどうかは、今後の対応次第です。)。

 第2グループの調停が難航していることは先の通りですが、さておき、調停委員会は、その他の業者(自社処分か処分業者か、焼却の操業の有無、ごみ山を積み上げているかどうかでグループ分けしています)また県についても、ここで調停の成否をみるべき時期と判断し、申請人側に調停案の提出を求めました。

 調停案の検討は非常に難しい課題でしたが(4年もかけた以上、きちんとした実効性のある約束を取り付けたいところですが、あまりに強硬な案だと、被申請人側が応じる余地がない。まるでハムレットの心境です。)、申請人側としては、最低限、所沢周辺における焼却は止めさせるという本調停申立の骨子を維持した調停案を提出しました。
 年末から年明けにかけ、これに対する被申請人側の対応が明らかになる筈です。つまり、公害調停は今、まさに大詰めを迎えました。

 振り返ると、調停開始時には47社も焼却をしていたのが、今や一ケタです。その意味で、本調停には運動としての大きな成果があったと考えています。しかし、申請人側の求める目標はもっと高い筈です(破砕、溶融など焼却以外の処理方法全般に論点が移行しています。)。本当に大事な時期です。調停への積極的な参加をお願いします。


◆第25回調停期日報告◆

 10月17日(木)さいたま共済会館で、第25回公害調停が開催されました。まず第2グループ(2000年までに焼却はやめたが、破砕・保管積替等を行っている産業廃棄物処理業者10社)との調停が行われ、調停委員会より、以下の「申請人意見書に基づき修正した場合の調停案」が提示されました。概略は以下の通りです。

1. 焼却炉廃止の確認
2. 被申請人は申請人に対して、敷地及び処理施設を見学すること並びに若干量の土壌や焼却灰、保管廃棄物をサンプリングすることを認める。
3. 被申請人は申請人に対して、保管積換え等の廃棄物処理業を行うに際し、法令に定める諸基準ならびに所轄庁に対する届出事項を遵守することを約束し、同基準に違反していた場合は、直ちに是正処置をとる。

 被申請人からは「持ち帰って検討する。」という回答しかありませんでした。これに対して調停委員会から「既に調停も回を重ねている。被申請人に積極案があれば出して欲しい。話を詰める余地はあるのか。なければ調停委員会としては打ち切るしかない。」と言う指摘がなされました。

 続いて、第1,2グループ以外の23社との調停の話し合いが行われました。調停委員会は、私たちの要請に基づき、あらかじめ「調停参加の意思、焼却施設の現状、申請人の見学やサンプリング、焼却以外の廃棄物処理業、規模拡大の予定、法令に定める諸基準等に違反していた場合の是正処置」についてのアンケートを実施し、15社から回答がありました。
この中で新たに(株)ビーエフ所沢工場・(株)不二家が焼却を廃止した事等が判明、公害調停を申請した時に焼却を行っていた47社(64炉)が、年内には8社(9炉)になる見込みとなりました。今後、各社に対する調停案を提示することとなりました。

 最後に、埼玉県との調停が行われました。県の回答を見て和解案を検討する為に申請人から、下記の「県への質問・要望事項」を提出し、内容を説明しました。埼玉県は「1ヶ月以内に回答する。」と答えました。この回答を待って、申請人側から県との調停案も提示していくこととなります。
1, ごみ山の把握状況と今後の撤去及び調査対策について
2, 焼却から破砕へと転換する業者が多く、破砕施設が集中立地する状況となっている。破砕施設の現状把握状況とその対策について
3, 産業廃棄物の流入規制と当地域への流入集中とその是正について

 今後、調停も終盤を迎え、各社及び県との最終の調停案に向けての話し合いが行われます。脱焼却と廃棄物処理の集中の状況の改善を求め、安易な妥協をすることはできません。調停決裂もやむなしとなるような厳しい話し合いとなることが予想されます。引き続き申請人の方々のご支援をお願いいたします。


◆くぬぎ山は、いま……◆

 くぬぎ山の中に林立していた産業廃棄物の焼却炉は、この11月末をもってすべて停止することになりました。1955年に汚染の現状が発覚して以来、林の中で悪臭と有害物質をまき散らしながら黒煙を上げ続けた煙突との戦いは、これでひとまず終わりました。12月からはじまる新しいダイオキシン排出基準をクリアできない三芳町の老朽化した一般廃棄物焼却炉も、時期を同じくしてくぬぎ山から姿を消す予定です。

 焼却炉のなくなったくぬぎ山は、これから静かで美しい林に生まれ変わることができるのでしょうか。
 今年9月、焼却を断念した(株)石坂産業に日量125tの廃プラスチック類などの圧縮梱包の許可が下ろされました。既存の750tもの破砕に加え、石坂産業に運び込まれるゴミは結果的に増えました。林の奥にある日榮興産は、他業者より一足先に焼却を止めた後、施設を拡大して大がかりな破砕業に転じています。高濃度の土壌汚染のために焼却を止めたクマクラでも、現在破砕と圧縮が行なわれています。医療ゴミなどの廃プラを低温で燃やし、激しく黒煙を上げていたアーバンリサイクルは、くぬぎ山で唯一、県から処分業許可取消処分を受けました。しかし、そのストーブのような炉はそのままで、周りには当時と同じく得体の知れないゴミ山が積まれ、雨のあとは道路に気味の悪い赤や緑の水たまりができます。違法操業で検挙された常盤土木も巨大なゴミ山を積み上げたまま、ゴミ山の上にはセイタカアワダチソウが黄色い花を咲かせています。以前として林道は、ゴミを積んで行き交うダンプに踏み荒らされ、ディーゼル車の排ガスで木の葉は黒ずみ立ち枯れが目立ちます。相変わらず監視の目を盗んで、塀の中では野焼きが行われていますし、家電製品などの不法投棄も毎月あとを断ちません。

 しかし、さらに気になるのが、今年あらたに浮上してきた大がかりな残土の不法投棄です。以前のように、ただ林を伐採して残土を積み上げて放置するパターンではなく、地下水脈にも達するほどの深くて巨大な穴を掘り、そこへガラ混じりの建設残土を投入し、巨大な山にするという悪質なものです。一人の地主の所有する何千平米もの林をぎりぎりまで垂直に掘り下げる乱暴なやり方で、近くで農用林として落ち葉を掃く農家にとっては、たまったものではありません。これによる地下水汚染も危ぶまれます。

 狭山市は、くぬぎ山の佐藤建設と埼建の2社の敷地を数億円で買い取り、跡地を植林して林に戻す計画を立てていますが、これは根本的な解決にはなりません。その2社で処理していたゴミが、すぐ傍の業者に運ばれるだけなのです。
 住民と行政がこのような林の惨状を直視し、連日運び込まれる大量のゴミの流れを変えていかない限り、くぬぎ山から破砕の煤塵と騒音、ゴミの山をなくすことはできないでしょう。


◆裁判報告◆

 (株)石坂産業の更新許可の取り消しを求める行政訴訟について2001年6月に原告152人で提訴して以来、この10月までに7回の公判が開かれました。その甲斐あってか5月15日に石坂産業は、3炉あった焼却炉の廃止届けを提出し、炉が撤去されました。その後の7月の原告団会議で、残された日量総計752tの破砕業についても周辺環境への影響が大きいため、裁判を続けていくことを確認しました。ところが8月12日、石坂産業は3つの廃プラスチックの破砕減溶施設の変更と124,8t/日の紙くず・繊維くず・廃プラスチック類の圧縮・梱包業の追加申請を県に提出。これに対し県は、直近の住民に対する説明もなく、1ヶ月も経ない9月6日、スピード許可を下ろしました。今回下りた許可の取り消しを求めて、あらたに裁判を起こさなくてはなりません。現在、弁護団では12月2日の提訴に向けて訴状を作成中です。引き続き原告も募っていますので、どうぞご支援をお願いいたします。(カンパ受付中「石坂産業の煙をとめる会」郵便振替口座0120-0-43009)同じく、くぬぎ山南にあるM北田商事の許可取消訴訟も15回目の公判を迎えます。

 処理能力を偽り許可手続を逃れたことを専門家意見書等で主張しています。裁判外でも、6月に証拠保全手続をとり、廃棄物管理票等の書類撮影、汚泥の採取、重金属測定等を実施、これ以降、北田商事は操業を停止しています。しかし、悪臭を発生し続ける排水処理施設等、焼却以外の施設もあり、今後も気を抜かず、取り組みを続けていきます。こちらも引き続きご支援をお願いします。


◆石坂/北田裁判報告◆

 8月7日、夏真っ盛りの中、石坂第6回、北田第14回の公判がさいたま地裁にて開かれました。

 石坂については、破砕の業について、石坂が侵している数々の許可手続における書類上の欺瞞、届出遅れ等を指摘し、このような許可は、取り消されるべきであることを主張ました。さらに、破砕による粉塵の飛散が、周辺住民に対していかにひどい被害を及ぼすかを、写真資料などと共に主張しました。

 破砕は何の被害も及ぼさないかのように、業者の言いなりになり、破砕機の確認さえもいい加減にされたまま、下ろされた許可です。いったん下ろされた許可によって、業者は大手を振るって操業を続け、規模を拡大していきます。ゴミは大量に持ち込まれ、もうもうとほこりを出しても、何の規制も受けない、というのが、今の現状です。細かな粉塵は周辺の人の肺に吸い込まれ、蓄積されていき、呼吸器系疾患の発病の原因となるかもしれません。周辺の人はそこから逃げ出すわけにはいきません。そこから、もうもうとほこりが立つのを目にしても、その大気を吸い込み、暮らしを続けていかなければならないのです

 北田商事については14回を数え、焼却炉の能力などについて、ようやく県側から反論が出されてきました。今後、こちら側から再反論を出し、証人尋問などを行っていく予定です。
裁判の方も、今後も気を抜けないやり取りが続きます。皆様のご支援をお願いいたします。


◆ゴミ山問題◆

 4月に大火災を起こした所沢市南永井の新明のゴミ山については、(株)新明だけでなく、効果のない口頭指導を行うのみで危険なゴミ山を容認してきた埼玉県と、違法操業を繰り返した新明に廃棄物の収集・運搬を委託していた排出事業者の責任が厳しく問われています。後述するように、火災によって被害を受けた近隣住民による「ごみ山火災被害救済訴訟」が起こされました。新明の違法操業の実態は、これまでの操業差し止め訴訟の中でも詳細に明らかにされており、被告業者だけでなく、排出事業者と、操業を許可した埼玉県の責任を明確化させるという、一歩踏み込んだ内容の訴訟となっています。

 一方、所沢市城の柳瀬中学校前には25年以上にわたってゴミ山が積まれ、現在も放置されています。あまりに長く放置され続けてきたため、学校前に巨大なごみ山が積まれているという異常な状態が日常にとけ込んでいました。これまで、多くの人がこの状態に疑問を持ち、県や市に被害を訴えて来ましたが、まったく状況は変わりませんでした。4月に県と話しあったときも、このゴミ山は明らかに違法ではあるが、周辺の環境に悪影響を及ぼしているとはいえない(!?)というのが、県の見解でした。毎日中学生が目と鼻の先の所で、体育や部活をし、授業を受け、給食を食べ、学校生活を送っているのに、悪影響はないというその発言に怒りと不信感はつのるばかり。もし県庁の目の前にゴミ山が放置されても、県の担当者は平気なのでしょうか。

 しかし、これ以上ゴミ山は許さない、という地域の機運が高まり、ゴミ山をなくすための地域一帯となった運動が始まっています。柳瀬区長会が中心になって、埼玉県知事、所沢市長あてに、ゴミ山をなくすための要望書を提出する準備が進められており、現在柳瀬地区で要望署名が集められています。
 新聞報道などでは、今夏以来、埼玉県は危険なゴミ山に対し、撤去のための措置命令を出し、またゴミ山対策のための補正予算を組む方針を出しました。でも、その成果が問われるのはこれから。久喜市のゴミ山については、埼玉県は7月に産廃撤去の措置命令を出したものの、業者が行方不明のため、廃棄物処理法に基づく行政代執行を行う方針を示しました。ただし、産廃とともに放置された残土の処理は行政代執行の対象外とされ、全面撤去にはまだいくつものハードルがあります。問題の原因と責任の所在を明らかにしたうえで、すべてのゴミ山をなくし、適正に処理されるよう、今後も声をあげ続けていかなければ、と思います。とはいえ、ゴミ山に対する近隣住民の怒りの声と行動は、行政の重い腰を少しずつ動かし始めており、今後のゴミ山撤去について、大きな期待が持たれています。そして、自分の生活を足元から問い直すことも同時にしていかなくてはならないと思います。


◆私たちの地域の産業廃棄物処理施設の現状は?◆

 わたしたちの地域に集中して操業をしていた47社64炉の焼却炉の操業停止を求めて公害調停を98年12月に申請して4年が経とうとしています。
4000人の申請人の願いは、この間、業者を行政を大きく動かし、2002年12月には焼却炉は6社7炉!と、大幅に減る見込みです。法規制の強化、調停外の裁判などの取り組みなどと合わせて、公害調停は一つの大きな成果を上げました。被害が顕著にならなければ容易には動かない行政を業者を、たくさんの住民の声が動かした、大きな一歩です。今後の環境対策は、予防原則のもとで住民とともに行っていかなければならないことを示しました。
けれど、今尚、8社9炉は操業を続けています。これらの環境への影響は?・・・そして、焼却を止めた業者は今? 押し寄せる廃棄物の行方は?

●焼却から破砕、圧縮減容……7000t/日!

 焼却を行っていた事業者が、焼却をやめた後、どうしているかといえば、破砕や圧縮などの業の許可を新たに得て操業をしているところが殆どです。以前よりも多量の廃棄物を扱う許可を得たところも多いのです。これらについて、周辺環境への影響について全く考慮されることなく、許可が多発されています。まるで、焼却をやめたご褒美のよう………このことは、野焼きをしていた業者が、続々と許可施設対象以下の「小規模」焼却炉を立地させていった90年代前半の当地域の状況を思い起こさせます。
 当時は、焼却炉は野焼きよりも環境影響が「殆どない」とされ、次から次に焼却炉が建っていきました。ところが、実際には焼却によりダイオキシン類をはじめとする有害物質が発生することが周知の事実となるにつれ、その集中立地の危険性が問題となりました。
 では、破砕や圧縮とはなんでしょう。環境への影響はないの?
 焼却をやめた後、廃プラスチック類の圧縮・減容などの許可を得たところが幾つもあります。
「杉並病」で一時有名になりましたが、杉並区のゴミ圧縮施設は、廃プラスチック類などを、運びやすくするため、コンプレッサーで、圧力を加え約1/2程度に圧縮した後、積み替えるものです。この作業時、いろいろな化学物質を含む廃プラスチック類が剪断、圧縮される際の熱発生等により、多種多様な化学物質が発生することが指摘されています。ここから発生した化学物質が排気口から排出されることによって周辺住民が頭痛、めまい、喘息様症状などの被害を訴えました。いわゆる化学物質過敏症とよばれる多様な症状です。

 2002年6月には、国の公害調整委員会により、これら周辺住民の健康被害は「ごみ中継所から排出された化学物質が原因である」と認定されました。例えば、東京都の調査では149種類の化学物質が排気口から検出されており、環境ホルモンや重金属類などの有害な物質が含まれます。ホルムアルデヒドやシアン化合物、ベンゼン、クロロホルム、芳香族炭化水素など様々です。また、排水からは総水銀が基準を越えて検出されていました。
 気が付けば、所沢周辺ではこのような廃プラスチック類の圧縮施設が多数操業しています。杉並の施設は地下屋内に設置され排気は活性炭フィルターを経て排出されていましたが、所沢周辺ではゴミの持ち込み、保管、圧縮設備などが全て屋外に設置され、発生したガスはそのまま周辺に撒き散らされてしまうのですから、その影響が心配です。場内で発生する汚水の処理も不明確です(施設内にて再利用、排水なし、などと記載される例が殆どです)。

 さらに、がれき類等の破砕施設も大規模なものが目立ちます。コンクリートガラなどを、粉状に粉砕する施設です。コンクリートガラに含まれる重金属類や混入したアスベストなど様々な有害物質を含むおそれのある多量の粉塵を発生させます。これらの施設も全て屋外に設置され、粉塵の飛散防止が不十分です。1960〜70年代に建設された都内のオフィスビルが解体時期を迎え、今後コンクリガラの破砕は増加していくことが予想されています。この時期の建物はアスベストが大量に使用されていた時期と重なります。

 埼玉県は、破砕や圧縮施設を用いる廃棄物処分業の許可を次から次へと与えています。所沢周辺に立地する破砕・圧縮などを含む産業廃棄物処理施設はざっと調べても34社85施設に及んでいます。その日量の処理量は合計7000t以上!!その大半がインター周辺とくぬぎ山周辺に極端に集中しています。(地図参照)ゴミ保管施設を加えれば、ゴミ関連施設は延べ200近くになるようです。なぜ、そんなにたくさんの施設が集中してこの地に立地しなければならないのでしょう。

なぜ、この地域に集中するのか……
 埼玉県は首都圏産廃を最も多く受け入れている自治体です。 H11年度の首都圏産廃移動状況調査(環境省)によれば、中間処理目的で埼玉県に流入する首都圏産廃は368万t。2位の神奈川県147万tを大きく引き離しています。この大量の廃棄物が流入し、当地域で処理されることによって、数多くのごみ山、粉塵、悪臭、等様々な有害物質の発生による環境汚染を引き起こしているのです。
 埼玉県は平成11年9月から、流入規制に代わり、事前協議制度を導入し、地域ごとに建設系廃棄物が県外から県内へ持ち込まれる際に、事前に届出をすることを指導しています。このデータによれば、所沢周辺地域への届出件数は県内他地域を圧倒し、その半数以上を占めています(H12年度3849件/6525件、H13年度3217件/5797件)。

 また、ゴミの排出者が報告した廃棄物持ち込み量についても、H12年度で県内の52.4%、H13年度では52.5%と毎年ほぼ半分を占めています。このデータから分かることは、最も多く産廃を受け入れる埼玉県のなかでも、大幅に偏って、当地域に廃棄物の流れが集中している!ということです。なぜ、こんなにたくさんのゴミを受け入れなければならないのか、環境への影響ははかりしれません。これらの大量にやってくるゴミが、私たちの廻りにごみ山を作ったり、火災を起こしたり、悪臭を発生させたり、処理に廻され、粉塵や様々な化学物質を発生させたり、しているのです。
 
 大量に押し寄せる首都圏のごみ。わたしたちの地域を便利なゴミ受入場とされてはたまりません。この地域に集中して押し寄せるゴミ、たくさんのごみ山、各種の施設。残念ながら、焼却炉が少なくなって一安心というわけにはいきません。現状をしっかりとみつめて、引き続いて対策を求めてくことが今本当に必要になっています。


◆ごみ山火災被害救済訴訟のご支援を!◆

 2002年4月3日、所沢周辺のごみ山の一つ、南永井の産業廃棄物処理業者(株)新明が保管場に高さ約15mに積み上げた「ごみ山」から出火、大規模な火災を起こしました。敷地いっぱいに積まれた大量のごみ山が燃え上がり、消火活動は困難を極め、有害物質を含んだ大量の煙、灰が周辺に飛散し続け、19日間にわたり、くすぶり続け、周辺環境に甚大な被害を及ぼしました。
 この火災の延焼により、隣接工場有限会社 三王精密ネジ製作所(本間峯雄社長)が全焼。工場内の製造機械数十台も焼け、使い物にならなくなるという、多大な被害を受けました。(株)新明は火災保険に入っていなかったため、今後の工場再建に要する費用回収の目途は全く建っていません。また、新明敷地に残るごみ山は、排出者により、撤去されましたが、三王精密ネジ製作所では、未だ工場再建の目途もたたず、火事跡場を片づけることもままならない状況です。
 今回、有限会社 三王精密ネジ製作所では、火災を引き起こしたM新明を始めとする原因者に対し、11月25日、被害の補償を求める損害賠償請求の裁判を提訴しました。相手方は、M新明、埼玉県、排出企業6社です。

●(株)新明
(株)新明は、ごみ山を積み上げるだけ積み上げ、火災を起こしました。その2ヶ月前に、既に会社は倒産状態。ゴミを受けるだけ受けたお金はどこへ行ったのか、不明のままです。
● 埼玉県
M新明は、埼玉県の許可を受けて、ここにごみ山を積み上げました。2年程前からそのゴミはあっという間に増え、蠅やネズミの発生、悪臭、ゴミの飛散などはひどく、住民の苦情は何度も申し立てられていました。しかし、ごみ山は増え続けました。埼玉県はこの2年間何をしていたのでしょうか。
● 排出者
悪質な業者新明に対してゴミを委託し続けた排出企業は大手企業の日本通運、オリンピック、和光堂など6社でした。和光堂のベビーフードが封を開けられた状態で放置され、そこから大量に蠅が発生し悪臭を放ち腐敗していました。大量の廃プラゴミが山と積み上げられた状態が続きました。この間、排出企業は自分たちの出したゴミがどのように処理されているのか一度でも確認したのでしょうか。

 新明、県、排出事業者らの行為によって、本間さんらは工場再建の目途がたたないという重大な損害を受けましたが、救済の目途はたっていません。この被害について、これまで新明の悪質な操業を見てきた周辺の住民らでホームページやチラシなどでカンパを呼びかけ、訴訟の準備をすすめてきました。引き続き訴訟支援のためのカンパを募集していますので、皆様の暖かいご支援を心よりお願いいたします。

郵便振替口座 口座番号 00580-3-76145 口座名 「ごみ山被害対策市民の会」
連絡先:北浦恵美042-943-7578

 私たちは、埼玉県と各企業の責任を問い、2度とごみ山が積み上がることを許さない地域にしていきたいと考えています。


◆会計からのお知らせとお願い◆

 賛助金とカンパのお願い目標300万円です!!《弁護団へのお礼がまだ下半期未払いです。

 上半期の弁護団へのお礼は賛助金と寄付、さらにすすめる会からの寄付をあわせることにより、無事7月25日にお支払いできました。
 しかしながら、その後残高は厳しい状況が続き、今回ご送付する振込用紙、すなわち本来であれば2003年分の資金集めをもって、2002年下半期のお礼に当てるという自転車操業的状況です。
 いよいよ公害調停も大詰めで、弁護団の方は難しい最終的判断と調整を余儀なくされ、集まりの回数も増えています。
 私たちの環境を守るためには自らお金を惜しむことなく出資し、弁護団の方にも正当なお礼をお支払いしたいと願っていますが、実際には手弁当で交通費もなく、使命感に駆られ、精力的に活動していただいているのが実態です。
 また、行政の環境調査はどうしても安全宣言を出すための結果が先にありきという面が否めず、市民が自ら調査をし行政に知らせていく必要があります。そのためにも、少しでも調査費を集め、環境調査を実施していく必要があります。一昨年度私たちがクマクラの隣接地の土壌調査をしなければ、くぬぎ山での第2大手であった当業者の焼却炉の廃止はおそらくなく、最大手であった石坂産業の焼却炉の廃止も引き起こすことがなかったのではないでしょうか。
 とりあえず、熱意を持って活動してくださる弁護団の方々には年内にはなんとか2002年度下半期の御礼をしたいと思います。お知らせするように大口の寄付をしてくださっている方もいらっしゃいます。本当にありがとうございます。しかし、基本的には少しでも多くの方の1口の賛助金や寄付でもって、4000人の力を積み上げて支えていきましょう。
一人でも多くのご協力をお待ちしています。

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