次回調停は、調停委員会、申請人、被申請人企業および県が出席して行われます。
調停委員会が被申請人企業各社の今後の方針を尋ねていますので、それについての何らかの答えが出されると予想されます。ぜひご参加ください。
1) 7月5日発表のごみ山対策に関する資料の公開。
2) ごみ山が及ぼす周辺環境への被害を明らかにする為に土壌汚染・悪臭・ゴミ質・量等の調査の早期実施と、これまでの実施状況の公開。
3) ゴミの成分、量、撤去方法、費用、ごみ山が含む有害物質による周辺環境汚染状況等、ごみ山の実態を解明する事。ごみ山を堆積する事業者などに対しあらゆる法的処置を講じる事。費用負担の方法など、ごみ山撤去の具体的方策について。申請人、埼玉県、専門家らを構成員とする専門委員会を設置し、ごみ山に関する徹底的な調査を行い、撤去方法を検討する事の、申請人のこれまでの提案に対する見解。
前回の広報では、この5月にくぬぎ山の最大手の業者である三芳町の(株)石坂産業が焼却を止め、3炉を撤去したことをお伝えしました。これで林の中に集中していた煙突は、おおかた姿を消し、近隣の農家もとりあえずは一段落したものと安心し、残っている破砕業についての対策を考えはじめていました。ところが、8月の半ばに(株)石坂産業があらたな業の許可の計画書を県に提出していることが判明しました。
現在やっている日量総計750ォの瓦礫、木屑、コンクリート、プラスチック破砕に加え、プラスチックの破砕を10トンと圧縮梱包を124トンをはじめたいというものです。
新しい業の許可にあたっては、今まで周辺の自治会同意を必要としていましたが、現在は200メートル以内に居住する住民の同意のみを必要としています。そこで、9月12日、近隣の住民2名と鍛冶弁護士とともに県に話を聞きに行きました。道路をはさんで石坂産業の施設の向かい側で農業を営む住民に、何も知らされていないことが納得できなかったのです。
ところが何と、私たちの話を聞き終わるなり「すでに許可は9月6日におりています」との返答です。許可内容についての審査期間は、通常1〜2ヶ月かかるはず、しかし、この許可は周辺住民を無視し異例のスピードで下ろされてしまったのです。
なぜ、向かい側の住民に知らせなかったのかという質問には「200メートル以内に住居が建っていなかった」「宅地、敷地があることは無関係である」(庭や畑は200m以内であっても、住居が建っている地点が200m以上であったため)とのこと。「十分な審査を行ったのか」に対しては「書類上問題がない」の一点張りでした。
いったい、県のいう、くぬぎ山自然再生事業とは何なのでしょう。なぜ、このような業者優先で住民を無視した許可を行うのでしょう。現在、周辺の農家と裁判で争われている業者に、あまりにも無神経に下ろされたこの許可は、埼玉県のゴミ行政に対する姿勢をはっきり象徴するものです。
埼玉県は石坂の例のとおり、焼却をやめた業者に対して、ごほうびのように、次から次へ破砕やその他の業の許可を下ろしています。では、破砕とは安全で、周辺の環境への影響もなく、集中して立地していても何の問題もないのでしょうか。
焼却に伴うダイオキシンが一種のブームのように大きな社会問題となったために、危険なものである、との認識が一般的となり、行政も、焼却についての規制を強化し、許可手続にも慎重になっています。ところが、同じゴミを処理する別の方法である破砕については、全くためらうことなく許可を出しています。
しかし、破砕に伴い発生する細かな粉塵は、ぜんそくの原因とされており、大気を汚染することは間違いありません。そして、所沢周辺の施設は全て屋外に設置され、粉塵防止措置もほとんどとられていないような所が多いことも事実です。また、ゴミの中にどのような物質が含まれているかは全く明らかにならず、どのような粉塵がどの程度の量発生するかのデータも不明です。建設解体時に問題となるアスベストや、杉並病で有名になった多種多様な化学物質などが発生する恐れがあります。
焼却の集中立地がようやく緩和された所沢周辺ですが、依然として破砕等の廃棄物処理施設が集中して立地しています。もともとあったもの、さらに、焼却からの転業として規模を増やしたもの、新たに許可を得たものなどもあります。
例えば、コンクリ破砕に限っても、5000t/日を越える能力の破砕施設が周辺で許可されています。他の破砕施設を合わせると周辺で60以上が立地。さらに、ゴミ保管施設は市内だけで40以上。これは、明らかに環境に負荷を与えるものではないでしょうか。
東京のゴミ処理場となり果てている埼玉県にため息です。
調停申請時に、47社64炉あった焼却炉は、2002年9月現在、13社14炉を残すのみとなりました。また、そのなかで、3社3炉が年内に焼却を停止することをすでに表明しています。12月の規制強化時には、10社11炉となります。
調停申請時の一番の懸念であった、焼却炉の集中立地はかなり緩和されました。4000人を越える申請人の思いが形になってきた結果です。さまざまな形で協力をしていただいている皆様に深く感謝します。
また、今後は、いまだ残る焼却炉に対するために、近隣住民の焼却反対の強い意思表示が示されることが必要となってきます。
いまだ残る焼却炉を設置する企業に対しては、調停委員会を通して、今後の焼却炉操業について停止あるいは、続行するかの意志の確認、焼却以外の廃棄物処理業についての計画などについて聞くことにしました。あくまでも焼却を続ける企業との話し合いは成立しえない、との前提で、交渉をすすめていくことになります。
調停も大詰めを迎えます。申請人の皆さん、ぜひ、調停期日に足を運び、企業や埼玉県の姿勢を直接見て下さい。
8月7日、夏真っ盛りの中、石坂第6回、北田第14回の公判がさいたま地裁にて開かれました。
石坂については、破砕の業について、石坂が侵している数々の許可手続における書類上の欺瞞、届出遅れ等を指摘し、このような許可は、取り消されるべきであることを主張ました。さらに、破砕による粉塵の飛散が、周辺住民に対していかにひどい被害を及ぼすかを、写真資料などと共に主張しました。
破砕は何の被害も及ぼさないかのように、業者の言いなりになり、破砕機の確認さえもいい加減にされたまま、下ろされた許可です。いったん下ろされた許可によって、業者は大手を振るって操業を続け、規模を拡大していきます。ゴミは大量に持ち込まれ、もうもうとほこりを出しても、何の規制も受けない、というのが、今の現状です。細かな粉塵は周辺の人の肺に吸い込まれ、蓄積されていき、呼吸器系疾患の発病の原因となるかもしれません。周辺の人はそこから逃げ出すわけにはいきません。そこから、もうもうとほこりが立つのを目にしても、その大気を吸い込み、暮らしを続けていかなければならないのです
北田商事については14回を数え、焼却炉の能力などについて、ようやく県側から反論が出されてきました。今後、こちら側から再反論を出し、証人尋問などを行っていく予定です。
裁判の方も、今後も気を抜けないやり取りが続きます。皆様のご支援をお願いいたします。
4月に火災を起こし、その燃えかす(ごみ山)を敷地内に放置している南永井の事業者M新明に関する続報です。
新明にゴミを委託していた排出事業者6社が協力して新明敷地内に残されたごみ山全量を撤去、処理することとなりました。既に8月5日から作業が開始され、作業予定期間は3ヶ月半。処理事業者は、Mエコ計画(さいたま市)とM山一商事(川越市)で、再焼却された後、最終処分場で処分されるとのこと。
排出事業者は、全て東京の事業者で、Mオリンピック、和光堂M、日本通運M、Mインテリア・タマ、Mノバ・マネキン、五光産業Mの6社。この事業者らの報告によれば、この2年間で6社総計で約6000m3を新明に委託していました。なお、埼玉県では現在残された廃棄物を調査中であり(ゴミの中から判明した事業者名は約30社)、新たな排出事業者が判明し次第、撤去事業に参加するよう指導する、としています。
排出事業者とはM新明にゴミの収集運搬を委託していた事業者です。新明がゴミを処理に廻さず、敷地内に積み上げていたことを、排出事業者は知り得たはずです。M新明の現地を見れば明らかであり、マニフェスト(廃棄物管理票)からも、自分の出したゴミがきちんと処理業者にまわされ、処理が行われたかどうかを確認することがすでに法律で義務付けられています。
新明は処理にまわす意志のないまま、自社敷地内にゴミを受け入れるだけ受け入れ、ゴミ山を積み上げ、その後、会社を倒産させました。そのような事業者にきちんとした適正処理を確認することなく委託した排出事業者の責任は大きいと言えます。ごみ山が放置される事によって悪臭、汚水の流出、ハエ、ネズミなどの発生、再火災の恐れがありました。今回、これらの不安を地域住民が訴え、早期の撤去対策につながりました。
作業による粉塵の飛散などが最小限に押さえられるよう、適正な処理がなされるよう、今後も注視していく必要があります。
また、跡地が、再びゴミ保管施設等になることはあってはなりません。今後も地域で反対の声を上げていくことが歯止めとなります。ご協力下さい。
これに先立ち、県は新明に対し、産業廃棄物処理業の許可の取消を行いました。許可の取消を受けた事業者は今後5年間は新たな許可を得ることは出来ません。また、他の地方自治体で得た許可も取消を受けることになります。しかし、集めるだけ集めた大量のゴミを受け、手にしたお金はどこへ行ってしまったのか、責任をきちんと追及していくこともまた必要ではないでしょうか。
一方、所沢市・城の柳瀬小・中学校の校庭に隣接して、収集保管業の免許保持者が死亡したために放置されているゴミ山に関して、地元で「これ以上の放置を許さない」という声が高まり、柳瀬区長会を中心に8月20日、「柳瀬小・中学校の前のゴミ山をなくす会」が発足しました。
産廃業の許認可、指導は県の権限であり、業を許可したからにはきちんと監視する義務があるのにも関わらず、ゴミ山を放置させておくのは、まさに行政の不作為にほかなりません。
県内各地のごみ山に対する住民の怒りに押された県側は、行政代執行の可能性も含め、具体的解決へ向けて、従来より踏み込んだ方針を示しつつあります。