第2グループ(焼却をやめた産業廃棄物処理業者)との3回目の調停です。第2グループは、クマクラ、木下フレンド、大進興業、新明、東明興業、東明企業、大空リサイクルセンター、サニテック、佐久間工務店、クリーンサービスです。
第2グループ(焼却をやめた産業廃棄物処理業者)との調停は今後、大詰めに入ります。
予想されたこととはいえ、かなり困難な話し合いとなってきています。私たちの大きな柱であった「焼却停止」については、自ら応じた業者のグループですが、「焼却を停止しさえすればいい」との構えが感じられるのは大変残念なことです。しかも、そのうちのいくつかは、所沢市の市税を使い、焼却炉を撤去したところです。
地域に廃棄物処理施設がある、ということは、焼却の被害だけにとどまるわけではありません。埼玉県は首都圏のゴミを最も多く受け入れています。それらを運び込む大型トラック、破砕による騒音、粉塵の発生、ごみ山の放置、等様々な問題が発生します。それは、地域環境に明らかな負荷を強いることは事実なのです。
焼却をやめた「新明」は、ごみ山を積み上げ、悪臭・大量の蠅を発生させ、挙げ句の果てに大火災を起こしました。2度と繰り返されてはならないことです。
焼却をやめたからといって、環境被害が全てなくなるわけではありません。今後、様々な被害が問題化してくる可能性もあります。ゴミには何が含まれているの?。破砕による粉塵の影響は?騒音はがまんしなければならないの? ゴミは山と積み上げていてもいいの?
これから、私たちは、そんな思いを業者や行政に伝えていく必要があるように感じています。
そのための調停案の詰めの作業です。業者がどれだけ地域住民の思いを受け入れるか、注視していく必要があります。また、私たち自身が、業者の操業を見つめ、地域への環境影響を少しでも減らしていくために、どこまでの約束をさせることが出来るのか、の困難な作業となります。
ぜひ、調停の場に多くの申請人が参加することによって、直接業者の意見を聞き、私たちの意見を伝えていきましょう。
2002年4月3日、所沢市南永井の産業廃棄物処理業者「(株)新明」が積み上げていた廃プラスチックのごみ山から出火、大規模な火災を起こしました。(株)新明は3000m2の敷地一杯に15mの高さにまで推定1万m3に及ぶ廃プラスチックのごみ山を積み上げていました。この火災により隣接工場が延焼、全焼するという甚大な被害が発生しました。
大量のごみ山が大量の黒煙を発して燃え上がり、消火活動も困難を極めました。完全消火に至るまで19日間にわたりくすぶり続けました。いわば大量の廃プラスチック類が野焼きされ、ひどい悪臭と共に、ダイオキシン類、重金属類を始めとする大量の有害物質が発生したと考えられます。消火用水、雨水の流出による水質汚染影響も心配されます。あとには不完全燃焼された黒ずんだ廃プラのごみ山約9000m3が残されたままです。今後の周辺環境影響が懸念されます。埼玉県は未だ調査に取り組む姿勢を見せません。
埼玉県は首都圏のゴミを最も多く受け入れています(平成13年環境省調査)。そのゴミが、山積みにされ、放置される例が跡を絶ちません。明らかな保管基準違反に対して効果のない指導に終始し厳しい対処をしない行政の責任が問う必要があります。新明のごみ山も2年以上も保管基準違反の状態を許したあげくに(行政の指導は60回以上。効果のない指導を繰り返し、ごみ山が大きくなるのを許しました)火災を起こしました。
●何が燃えたのか
新明は東京都で別会社名で事業系一廃、及び産廃の収集運搬の許可を得ていました。東京で集めたこれらのゴミを所沢に持ち込んでいたと考えられます。火災前後に私たちが新明のごみ山を調査したところでは、大量のベビーフードの廃プラケース、ビニル紐屑、包装材などまさに雑多な廃プラのゴミが大量に持ち込まれていました。また、処理困難物である大量のマットレスも積み上げられていました。これらが燃え上がり、くすぶり続けました。残されたものの中には、化学薬品の空ビン、大量の返品と思われる、毛染め剤、ペットボトル入り飲料?錆止め剤スプレー等、まさに、いつ火災が起きても不思議ではない化学系の廃棄物が搬入されていたことが解っています。今回の火災の延焼被害を受けた隣接工場にもたれかかるように積み上げられていたマットレスがに燃え移った後、あっという間に火が燃え広がりました。
東京の排出者の責任も問われなければなりません。排出者として自らの出した廃棄物がどのような処理をされているのか確認したのでしょうか。新明のごみ山は2年前から悪臭を放ち、蠅の発生はひどいものでした。住民はこの2年間苦情を申立て、我慢を強いられ、そのあげくの火事です。責任の所在を明らかにし、2度と繰り返させない対策を求めていくことが必要です。
今回の火災を契機として火災延焼被害者の損害回収のための支援、被害把握、未だ埼玉県内各地に残るごみ山の早急な撤去、首都圏のごみ対策を求めるための「ごみ山被害対策市民の会」(042-943-7578)を立ち上げました。ぜひ、多くの方の参加とご支援をお願いいたします(一般会員:年会費3000円、支援会員:年会費1万円。詳しくはごみ山被害対策市民の会のニュースをご覧下さい)。
新明の火事の延焼により、隣接工場「三王精密ネジ」(本間峰雄社長)が全焼。(株)新明は火災保険に入っていなかったため、工場再建に要する費用回収の目途は全く建っていません。私たちは、今回の火災により被害を受けた方々への支援カンパを以下のように呼びかけることとしました。
基金の名称は 「ごみ山火災被害対策支援カンパ」 。集められたカンパは、全て、ごみ山の火災の被害調査、被災者の支援に充てられます。会計報告は、公害調停をすすめる会のホームページ(URL
http://www3.airnet.ne.jp/dioxin/)及び会報にて行います。
振込先:郵便振替口座
口座番号 00580-3-76145
口座名 「ごみ山被害対策市民の会」
振込の際に、「ごみ山火災被害対策支援基金」と明記の上お願いいたします。
JR武蔵野線の新座貨物ターミナルの北側に、公害調停の対象で、現在も焼却を続けている「美山クリーン(有)」「(株)金龍土木工業」という二つの産業廃棄物処理業者が並んでいます。その南側の新座駅周辺の住民から、ここ数年間塩化水素に似た刺激臭を伴う事もある悪臭異臭についての苦情が市や県に多数寄せられました。行政指導や改善勧告・命令も何度か出されましたが、今年の3月には埼玉県の検査で塩化水素が規準の6倍近くも検出されました。
これに対して4月28日に新座・所沢・朝霞・清瀬の市民が70名以上集まって『新座駅周辺の悪臭異臭問題についての説明会』が開催され、新座市の住民からは悪臭異臭の被害状況、行政や議会に対する訴え。他市の環境団体からは活動状況、運動の進め方に対するアドバイス等が報告されました。5月5日には『環境公害を新座からなくす会(仮)準備会』を立ち上げ、8・9日には業者の見学と悪臭異臭に対する抗議、焼却の停止の申し入れと話し合いを行いました。
話し合いの中で、二つの業者からは「今年の12月からの基準値はクリアー出来る見込みであり、環境基準や操業条件を守って事業は継続していく。住民とはいつでも話し合いに応じる。」と言う表明がありまし ス。しかし、以前よりは改善されてはいるものの悪臭異臭は今も続いている事。焼却の炎が外気と接している事。塩化水素を減らす為に大量の消石灰を投入している事等、危険性や問題がなくなったとは言えません。
今後は操業状況のチェック、悪臭がした時の発生源の確認、環境調査のデータ集めと分析、これまでの操業状況(違反・指導等)のデータ集め等を続けながら焼却停止に向けて粘り強い運動が必要です。難しい状況ですが、私達も全面的にバックアップをしていきたいと考えています。