●第1部 3時半〜
スライド報告
「所沢はどう変ったか―調停申請3年を経て」
●第2部 4時15分〜 調停報告
事務局からの経過報告と弁護団からの報告
第1グループとの調停成立の評価と第2グループとの調停(佐竹弁護士)
埼玉県との調停の課題(秋山弁護士)
今後の調停の進み行きと課題と裁判への取り組み(釜井弁護士)
裁判報告(新明・クリーンサービス 鍛冶弁護士)
質疑応答/会計報告/他の環境団体の取り組み
*報告集会終了後、参加者交流会(会場の都合で今年は別会場となります)
11/29 読売朝刊
公害調停の申請から3年が経ちます。申請当初、公害調停には多くの意義付けがなされましたが、そのひとつに、迅速な問題処理がありました。一日も早く、私たちに不安な毎日をもたらしたダイオキシン汚染の状況を何とかしたいとの願いが、4000人を超える申請人の大結集となりました。2002年(平成14年)12月のダイオキシン対策の本格実施までの4年間の経過措置に対して、いかに迅速に所沢周辺の対策を取らせるかということが、私たちの公害調停の課題でした。
47社もの焼却施設の密集状況が、様々な経過を経て、現在は16社にまで減少しました。焼却炉数にして62炉が、22炉にまで減りました。所沢周辺で、焼却を止めたこれらの施設のほとんどは、私たちが公害調停の対象とした焼却施設です。完全勝利には程遠いですが、成果はあがっています。各種の一般環境調査の結果も、この3年間の大気中のダイオキシン濃度の低下を報告しています。
これからの公害調停では、これまでの成果をきちんと成果として法的に確認し、この地域に再び焼却施設の密集が起きないような枠組みを作ることが重要だと思います。具体的には、焼却を止めた業者とは、和解の作業を進めながら、少しでも住みよい環境を維持するための調停条件を追求してゆくことになると思います。
一方、どうしても焼却を止めようとしない業者に対しては、公害調停の限界を探りつつ、新たな裁判による焼却停止の運動を提起することが必要になってきています。〈クリーンサービス〉や〈新明〉などの業者が焼却を止めたのは、公害調停から発展して裁判にまで盛り上がった周辺住民の皆さんの粘り強い戦いがあったからです。今なお焼却を続ける施設に対しては、焼却を続ける施設周辺に住む住民の皆さんとの連携をさらに深めてゆく必要があります。運動には広がりよりも、深まりが必要になってきています。
国の新たな公共事業である自然再生型公共事業の有力候補地としてくぬぎ山一帯があがっています。これについて、すすめる会として、積極的にすすめてほしいこと、自然再生の大前提として、汚染の実態調査と浄化対策を第一に行うこと、処理施設の立地規制をとること、を環境省、埼玉県に要望してきました。
当日は、まず、実態を知ってほしいと、事務局で実際に歩いて作成したくぬぎ山現状マップと、これまでの施設操業実態を知ってもらうための63頁にわたる写真資料を提供しました。
国からは、実態調査と浄化を大前提に5カ年ほどの長期に渡る計画で考えていること、埼玉県が主体となって行う事業であること、など環境省担当者が応えました。また、くぬぎ山だけではなく、周辺の三富新田を一体として広い範囲で考えていくと、明言しました。これについて、周辺住民として協力していきたい、旨伝えてきました。
では、主体となるべき埼玉県は? まず、担当の緑自然課は、汚染調査がこの事業の範囲であるとは全く考えていない、と言う態度であったのに驚いてしまいました。では、何をするつもり??? 環境省が調査は大前提だと言っていた旨伝えると、驚いていました(こちらがびっくりしてしまう)。
そもそも、自然再生型公共事業の主旨は、「近年の急速な都市化による面積の減少、廃棄物の不法投棄や違法な焼却等により、環境が著しく損なわれた里山のうち、荒廃の程度が高く、国の観点からも自然再生の重要度が高く特に緊急の対策が必要な地域として大臣が承認した地域について自然再生事業を実施する」。国の補助率は1/2。「再生」のために、荒廃の浄化が必要であることは明らかです。子どもたちが土にまみれて遊ぶことのできる里山にしてこそ、「再生」がなされたといえるのではないでしょうか。
埼玉県に対して、今後、市民を参加させ、事業の内容を皆で考え、本当に必要なことを理解した上で、取り組んでいくよう、働きかけなければならないとしみじみと実感しました。
1998年調停申請時、47社64炉あった焼却炉群。狭い範囲の一地域にこれだけの焼却炉が立地していることはどう考えてもおかしい、と多くの市民が調停の申請に名を連ねました。3年後の今、このうちの、30社42炉が操業を停止、操業を続行しているのは16社22炉と1/3に減りました。
しかし、地図を見れば分かるとおり、インター周辺の所沢市内の焼却炉がかなり減ったのに比べて、くぬぎ山周辺では焼却炉集中立地状況が未だ改善されていません。三芳町から川越市にかけて、50t規模の焼却炉が3箇所(石坂産業、山一商事、東洋インキ)操業を続けています。また、所沢インターすぐのヤマ商物産が、大量の白煙を噴き出しているのを目にするたび、焼却に対する不安に駆られます。実際に今年度のすすめる会調査でヤマ商脇土壌で、760pgTEQ/gという高濃度のダイオキシン類が検出されました。未だに、周辺では灰が降ってくるのです(ヤマ商に対して、埼玉県から継続自主土壌調査の実施が指導されています)。
焼却をやめたからといって、問題が全て解決されたわけではありません。焼却をやめて、ゴミの山を堆く積み上げている業者、破砕の騒音、粉塵の飛散、そして、残された土壌汚染。大きな穴を掘っていた業者もあります。ゴミを放置している業者、焼却灰の管理がずさんな業者、ダイオキシン12000pgTEQの土壌汚染を出した業者、重金属汚染。これらによる汚染は、土壌、地下水を汚染し、今、きちんとした浄化対策をとらなければ、後々にまで禍根を残します。(調停成立の際に土壌サンプリング条項が入ったことは、今後の汚染把握と浄化へ向けての取り組みとして大変有意義なものです。)
埼玉県は、野放図に首都圏の廃棄物を受入れ、本来ならば、市街化を抑制するべき、市街化調整区域に廃棄物処理施設が乱立するのを許してきました。これはまぎれもない事実です。処分業の許可手続を取り、行政の審査の上で、この廃棄物処理施設の集中を招いたのです。しかも、「公害防止資金」、「彩の国環境創造資金」等の公的助成制度によって、施設設置を助けさえしています。これは大きな行政施策の誤りであった、と私たちは考えています。それを許してきたのは、行政であり、そして、私たち自身です。私たち自身が、この地域の施設の集中を知らずに、許してしまったのです。誤りを正すためには、その誤りを明らかにし、問題であったことが何なのかを徹底的に洗い出し、二度と繰り返さない体制を作ることが必要です。
ところが、残念ながら、埼玉県は自らの責任を未だ認めようとはしていません。要望に行っても、調停の場でも、訴訟の場でも、「仕方なかった」と主張しているのです。そして、今も「仕方のない」ことに、ゴミの山は積み上がり、廃棄物を受入続け、汚染の予防原則の立場に立った施策を全く取ろうとはしません。汚染を把握するための施設周辺実態調査にも取り組もうとしていません。そのような姿勢を続けていく限り、ダイオキシンだけではなく、第2,第3の汚染が繰り返され、残されていくおそれがあるのです。私たち自身が、実態を知り、浄化対策を求め、汚染予防原則にたった施策を求め、埼玉県を変えていくことが必要なのだと考えています。
私たちの地域が首都圏のゴミ処理場となることをもう許すことはできません。私たちの地域は、私たちが暮らし、子どもたちを育てる場なのです。
11月19日午前10時半より、埼玉県に対する石坂産業の産廃処分業更新許可取消請求の第2回公判、北田商事の許可取消請求第10回公判が「さいたま地裁」にて行われました。
原告側からまず、石坂産業の許可処分に対して。
原告適格について(県は、原告側の訴状に対して、「廃棄物処分業の許可は県と石坂産業だけの問題であり、住民には訴えの利益がなく原告適格がない」としています)廃棄物処理法が周辺住民の生活環境の保全をはかる趣旨をもっており、施設がもたらす災害や悪影響により直接かつ重大な被害を受けることが予想される周辺住民の生命、身体、生活の安全などに関する個々人の個別的利益を保護しようとしているのであるから、本件許可処分の取消を求める訴訟の原告適格を有することは明らかである、と主張しました。
また、石坂産業の設置する施設について、
「石坂産業の施設は、それぞれ、紙、木、繊維、ゴム屑、動植物性残さ、汚泥、廃アルカリ、廃プラスチック類、ゴム屑、感染性産業廃棄物を燃やす日量計50tの3基の焼却炉、廃酸、廃アルカリの中和施設(中和後、焼却炉にて炉内噴霧)、12t/日の廃プラスチック溶融施設、木くず、金属、ガラス及び陶磁器くず計752t/日の破砕施設、と各種多岐に渡り、当地域最大規模の施設であり、処理される廃棄物の種類も多種多様、そして大量であること、
各焼却炉からは1日当たり総量では約50万Nm3以上の排ガスが排出され周辺に撒き散らされ、煙の中には様々な有害物質が含まれること、その悪臭は日によって受忍限度を超えるものであること、各種の破砕は、すさまじい騒音を発生させ、破砕の際に出る粉塵の量は大量であり、周囲の植物が真っ白く粉塵をかぶるほどであること。」などを挙げ、これらからも原告らは全て原告適格を有するのは明らかであると主張し、住民の被害状況を詳細に述べた11名分の陳述書を提出しました。
また、県が、当時の石坂の炉は「産業廃棄物処施設ではない!?」から施設の変更許可はいらないと主張していることに対し、法文上、明確に「産業廃棄物処理施設」として、1日当たり5tの処理能力を超える焼却施設は「産業廃棄物処理施設」に指定されており、また、実質的にも、県のように解釈することは新設に著しく近い「変更」まで許可を不要とすることとなり、脱法行為を奨励するに等しく、許されるものではないと主張しています。
北田商事については、平成13年8月9日、所沢市が北田商事敷地境界の2地点において悪臭物質の測定を行ったところ、2地点とも硫化水素が規制基準を大幅に超えたことを指摘。硫化水素の規制基準は0.02ppmであるところ、汚水溜め場脇では、0.042ppm、ごみ貯め場脇では0.086ppmの測定結果でした。所沢市長が明確に「周辺の生活環境が損なわれている」としていることを挙げ、これまで、「悪臭はない」としてきた埼玉県に対して現在も悪臭が発生し続けていること、悪臭の主要な発生原因である古い廃棄物の撤去がなされないまま、許可処分を出した埼玉県の違法を主張しています。この安易な許可処分が住民の健康被害をもたらしたといっても過言ではないのです。
以上のような主張を原告側からし、これに対する県の反論を次回期日までに出すよう裁判官が指示し、公判は終了しました。次回期日は、1月23日午後4時半からとなりました。ぜひ傍聴に来てください。
くぬぎ山最大手廃棄物処理業者 石坂産業はここに来て、これまで全く使用していなかった3号炉を「改善」する、として、変更許可申請を出してきました。石坂産業の3号炉(1.28t/日)感染性廃棄物、廃アルカリ、汚泥、廃プラスチック、ゴム屑などを燃やす、という許可を得ています。しかも、感染性廃棄物は塩ビが多用されていますし、汚泥は水分を含み不完全燃焼を引き起こします。廃アルカリ、ゴム屑、プラスチック等、全て燃やせば有害な物質が生じることが予想されるものです。今回の申請はで、石坂産業は施設の処理能力は変更しない、としていますが、バッチ炉である4m3の炉に、新たに、12m3の乾燥炉、24m3の二次燃焼室を付ける計画です。容積にして6倍以上。これが能力増にならないとは考えられませんが、要するに、許可量しか投入しない、だから、処理能力は増えない、ということのようです。
現在、周辺住民(所沢・川越、狭山、三芳町市民)に計画を縦覧し、意見を求めています。
この計画に対しては、
1,既に汚染が心配される地域にこれ以上の施設拡大の計画を許すことはできないこと
2,燃やされる廃棄物種類から、様々な有害物質が発生するおそれがあること、
3,実質的な処理能力の拡大であること
などについて、意見を述べていく必要があります。意見書の提出先は西部環境管理事務所宛12月10日まで。
2001年維持賛助金・申請賛助金(2000円)と寄付金の会計報告
[1]収入の部
2000年度繰越金 -¥28,808
2000年「すすめる会」より補填 +¥28,808
賛助金(一口¥2000×315&1/2口) ¥631,000
寄付金(振替口座振込分) ¥313,248
雑収入 ¥10,159
すすめる会よりカンパ ¥306,000
収入 合計¥1,260,407[2]支出の部
弁護士費用 ¥1,000,000
(本来なら一人あたり50万×4で200万のところ半期分のみ支払い)
雑費(口座振込手数料など) ¥21,870
支出 合計¥1,021,870
収入 合計¥1,260,407-支出 合計¥1,021,870=差引¥238,537
ただし、弁護士費用はすすめる会からのカンパを受けても、半期分の支払しか終わっていません。2002年度の賛助金が集まり次第2001年度の残り半期分の弁護士費用をお支払いします。
2001年度公害調停をすすめる会会費(¥3,000の会計報告)
[1]収入の部
2000年度繰越金 ¥346,209
すすめる会会費 ¥405,000
(一口¥3000¥が135口)
寄付金(振替口座振込分) ¥359,192
雑収入(バザー売上など) ¥257,397
収入 合計¥1,387,898
[2]支出の部
ダイオキシン調査費(ヤマ商物産) ¥315,000
講師・陳述謝礼 ¥190,000
2000年度報告集会赤字分 ¥3,817
賛助金会計へカンパ ¥305,000
支出 合計¥814,817
収入 合計¥1,387,898-支出 合計¥814,817=差引¥552,881
第1グループとの調停を成立させましたが、まだ、残り約30業者、そして県との話し合いが続きます。
4人の弁護団の方々には、この調停のために、調査、監視活動、調停書面作成等、とても熱心に取り組んでいただいています。来年度も弁護士さんたちに安心して働いていただけるよう、引き続きご協力をお願いします。
会計報告にもありますように、弁護士費用のの支払は2001年度の半期分しか終わっていません。2002年度の賛助金が集まり次第、残り半期分の弁護士費用をお支払いします。つまり、本来ならすでにお支払いすべき本年度後半期分の弁護士費用を未だお支払いできていない状況なのです。
事務局では今年度の賛助金集金目標額を250万円として、ご協力をお願いしていきたいと考えています。
これは、賛助金1250口分になります。多くの申請人の方の息の長い支援を是非お願いいたします。大口寄付も歓迎しています。
(なお、申請人としての権利は支払いの有無にかかわらず調停が終了するまで、どなたも変わりがありません。)
●一般カンパも受け付けています。
調査などのために、同じ振込用紙でカンパを受け付けています。調停で業者敷地内土壌調査の実施が可能となりました。住民が積極的にきちんとした調査をすることによって、汚染浄化がすすんでいきます。そのための調査費用が必要です。みなさんの一人一人の厚意が集まってこれまでの様々な調査を実施することができました。引き続き調査活動を続けるためにも、協力をお願いします。申請人以外の賛同して下さる方にも声をかけていただければ幸いです。
●「公害調停をすすめる会」について
調停の中心的な推進力となる「公害調停をすすめる会」の会員を引き続き募集します。毎月1回の定例会を開いて調停の方向を決めていきます。入会ご希望の方は、同封の振り込み用紙に住所・氏名・連絡先と「すすめる会入会希望」と明記の上、年会費(3000円)を振り込んでください。登録会員は来年度の会費(3000円)をお振り込み下さるようお願いします。
FAXで広報誌が送信されます。
事務局では広報誌配布をポストボックス及び手配りボランティアに頼っていますが、作業軽減のため、FAXやE-mailによる通信ネットを利用していきたいと考えています。FAXやE-mailをお持ちの方は、住所、氏名、FAX番号を、以下宛FAXにてお知らせください(もしくは、振込の際に同封の振込用紙にご記入ください)。
●また、年間弁護団費用、調査費用等まだまだ足りない状況です……。
事務局では、弁護士費用、被害立証のための調査費用などを集めていくために、随時フリーマーケットに出店しています。ご自宅にある不要なもの、ありませんか。献品募集中です。(美品に限ります)息の長い運動を続けていくために、引き続きご協力をお願いします。(連絡先:北浦 042-943-7578)
一般カンパも随時、受け付けております.振込先は
郵便振替00530-0-40224「公害調停をすすめる会」宛
事務局では、広報発送、配布、資料収集、印刷、施設見学、ホームページの管理、その他、様々な作業を行っています。興味のある方、簡単なお手伝いなら……という方、ホームページのデータのチェックのできる方、自分の近所の焼却施設の見学がしてみたいという方、何でも結構です。ぜひ事務局までご一報ください。