● 子どもたちにきれいな水と土と空気を手渡し、いのちとくらしを守るために

HTML版第12号 2001年8月25日発行

◆編集・発行所
さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会
発行人:事務局代表・前田 俊宣
〒359-0041 所沢市中新井5-1-3-201 Tel 042-943-0295
E-mail HZE03164@nifty.ne.jp
URL http://www3.airnet.ne.jp/dioxin/


◆次回 ダイオキシン公害調停◆

●対象業者は、 自社工場の炉を廃止または休止した7社  (株)和光、(株)テネックス、(株)匠建工業、菊池建設(株)、(有)清水石産土木、(株)木村屋総本店、(株)鷺宮製作所です。実質的な調停作業の第一歩となるこの調停期日に、ぜひご参加ください!


◆第17回調停報告◆

▲意見陳述された青山貞一氏

 さる7月8日、埼玉教育会館にて行われた第17回調停では、数多くの申請人、被申請人企業、埼玉県が一同に会する中、申請人側がかねてより申し入れていた青山貞一・環境総合研究所所長の意見陳述が行われました。理路整然と展開される意見陳述は、調停委員に強い印象を与えたように思います。



青山貞一氏の所沢についての意見

 青山氏は流体解析が専門で、平成4年に所沢市より自動車の窒素酸化物の規制問題で調査を依頼されて以来、所沢の環境問題に関わるようになりました。

 青山氏はまず、日本の大気ダイオキシン濃度測定分析方法の課題として、窒素酸化物(NOx)のような大気汚染物質では、年間を通じ1時間単位で濃度を測定し、その実測データを基に年平均値を算出するのに対し、国、自治体の環境大気中のDXN(ダイオキシン類)測定値は、年に数日しか行われず、調査当日の気象状況や焼却炉の稼働率、焼却物の内容等によって著しく変化し、地域の汚染状況をほとんど把握できないと指摘しました。また、わが国では、ごく最近まで、現場サンプリング(採取)の際の、温度上昇などによるダイオキシン類の揮散を監視・補正するための「サンプリングスパイク」が米国やカナダのように義務づけられていないため、とくに夏期に適正な採取が不可能であることが学会発表されていることを挙げ、現行の環境大気中DXN測定法は、技術的のみならず、高額な測定費用に対する費用対効果の面からも大きな問題を抱えていると指摘しました。

 実際にこうした問題は、神奈川県厚木米海軍基地(NAF)を、隣接する産廃焼却施設の排ガスが直撃した問題で、日米共同のモニタリング調査が行われた結果、はっきりとしました。この問題ではクリントン大統領(当時)をはじめ、米国要人が来日の際に善処を強く要望したために実現し、1999年7月7日から9月1日までの約2ヶ月間、厚木基地内の3カ所で「サンプリング・スパイク」を徹底して行われたかつてない規模の調査でした。その結果、大気中ダイオキシン類濃度は、産廃焼却炉の風下のB地点で最高54pg-TEC/m3(速報値では58pg-TEC/m3)と、日本の環境基準(0.6pg-TEC/m3)の実に97倍を記録し、56日間の期間平均濃度でも6.6pg-TEC/m3(速報値では8pg-TEC/m3)と環境基準の11倍という高濃度が測定されました。注目されるのは、56日間の連続測定分析の結果、濃度の最高値と最低値の比が、最も少ない地点で40倍、最も多い地点では557倍にものぼった点です。同年12月27日から翌年2月21日にかけて連続56日にわたる環境庁と神奈川県による近隣地域の冬季調査でも、最高濃度と最小濃度の比は、少ない地点で15倍、多い地点で191倍と、夏期同様著しいことが分かりました。

 厚木基地の問題では、日米共同モニタリング調査以前に、米政府が米国の測定分析機関を用いて現地で試料採取し、ハワイの分析機関で測定分析した値(20数pg-TEC/m3)をもとに日本側に改善を要求しましたが、日本政府幹部は、米国環境保護庁方式の測定分析の方がおかしいと主張して、巨費を投じた共同調査となったのです。皮肉なことに、その結果は年間わずかに数日の測定で「年平均値」を出し「サンプリングスパイク」もおろそかにしてきたわが国の環境大気中のDXN(ダイオキシン類)測定のずさんさを明らかにするものでした。

 日本の焼却炉排ガス濃度の測定分析は、他にも大きな問題を抱えています。例えば環境庁が定めた分析法マニュアルでは、「ダイオキシン類およびコプラナーPCBの測定は、4時間平均を基本とし炉の燃焼状態が安定した時点から、最低1時間以上経過した後に試料採取を開始する」とありますが、排ガス中のDXN濃度は、燃焼温度が不十分で不完全燃焼を起こしやすい「たち上げ時」および「たち下げ時」にとくに高くなることが厚木基地の調査ではっきりしています。(54pg-TEC/m3の超高濃度が測定された日はいずれもお盆休み前後の「たち上げ時」および「たち下げ時」でした)。行政側のマニュアルでは最良の燃焼状態の排ガスだけしか測定されず、実態、現実にあった排ガス濃度の測定は不可能です。

 米政府(司法省)は、2000年春、厚木基地に隣接する産廃業者(エンバイロテック社)の操業差し止めを提訴するために、環境総合研究所に焼却炉の煙突出口のDXN排ガス濃度を推定する調査を依頼しました。コンピュータによる詳細な逆シミュレーションの結果、排ガス濃度は、業者側が測定し届け出た4〜22pg-TEC/m3に対し、夏期190〜230pg-TEC/m3、冬期280〜480pg-TEC/m3と最大数百倍にのぼることが推測されました。こうした結果から、業者の自主測定値はまったく信頼に値しないことは明らかです。

 厚木共同調査は、米側の強い圧力で実現したものでしたが、これだけの規模と費用の調査を全国的に実施することは現実的には困難でしょう。青山氏は、ハイボリュームサンプラー等を用いた従来の測定法に代わる方法として、宮田秀明・摂南大学薬学部教授との連携のもとにクロマツの針葉を分析して大気中のダイオキシン類濃度を類推する研究を試み、1999年、生活クラブ生協連合会などと実行委員会を組織し、全国3万人の住民が参加した松葉ダイオキシン測定調査を行いました。また1999年秋には厚木基地のモニタリング調査地点近傍にあるクロマツの針葉中のDXN濃度を測定分析し、大気中の最高濃度を観測したB地点近くの松の葉から53.1pg-TEC/gと所沢市で宮田教授が採取した松葉に匹敵する高濃度を検出し、全国調査との比較もあわせて、クロマツの針葉中のDXN濃度が大気中のDXN濃度と相関関係があることを明らかにし、その結果から「くぬぎ山周辺」の産廃焼却炉の風下では、平均値で3〜10pg-TEC/m3の超高濃度の大気汚染が推測される、と述べました。(こうした結果は平成9年度の環境庁による松葉測定分析で、秩父市にくらべ、くぬぎ山周辺の狭山市赤坂のクロマツから10倍近い高濃度のDXNが検出されたことからもうかがわれます)。

 青山氏は、くぬぎ山周辺の排ガスの逆シミュレーションから、業者側が自治体に届けている排ガス濃度が一部を除き実態を全く反映していないとし、くぬぎ山周辺の土壌中ダイオキシン濃度の深刻さ(100〜400pg-TEC/g)だけでなく、高濃度で検出されるクロム、亜鉛、ヒ素、カドミウム等の重金属汚染のリスクもあわせて重く考えられるべきだと述べました。

 青山氏は、国や関連自治体の測定分析値への不信があることは否めないとし、第三者機関による住民参加のダイオキシン調査を5年間継続して実施し、その結果をすべて公表することを提言し、あわせて根本原因である産廃対策について、総量規制や設備対策だけでなく、産廃の集中立地に対し、立地規制からの環境配慮をすべきだ、と提言されています。


◆裁判・調査などの報告◆

●北田新明裁判報告

 7月16日、北田商事と新明の許可取消を求める行政訴訟第8回公判が行われました。新明については、前号で報告しましたとおり、焼却を断念したため、許可は無効となり、実質的な勝利を得、行政訴訟は取り下げる旨を申し立てました。

 北田商事については、処理能力の虚偽について。北田商事では5t/dayの能力を遙かに超える大きな施設であるのに、業者が許可手続のがれのために、建設途中!(既に炉体は設置済み)で処理能力を6.4t/dayから、3.2t/dayに変更したとして、変更届を出しました。こんな馬鹿げた話はないはず!なのに、この変更届を鵜呑みにし、施設許可手続きをとらずに、業の許可を出しています。この許可について、焼却炉の専門家にも意見を聞き、排ガス測定結果からも、炉体の大きさからも、処理能力は5t/dayを遙かに超えると主張する準備書面を提出していました。今回は、これについての県からの反論の反論を提出しました(ややこし!)。

 焼却により、発生する排ガス量は、燃焼汚泥量によって決定します。燃焼物から発生するガス量は物質により一定ですから、排ガス量が多く出る、ということは、それだけ多くの物が燃焼したことになるのです。(もちろん、水分=水蒸気は別にして考えます)北田の排ガス測定では、届出値の2倍近くの排ガス量が記録されていました。これにより、届出より多くの汚泥燃焼が行われていたことが計算により明らかになってきます。少なくとも、それだけの燃焼が行える炉である、とのよい証拠になります。これに対する県の反論は、本質的ではなく、実際に燃やしてない、等という言い訳のようなものでした。

 今後、焼却炉の専門家にも相談しつつ、北田商事の焼却能力についてさらに、主張してゆく予定です。

次回公判は9月10日(月)4時〜です。

 石坂産業(株)の廃棄物処分業の許可の取消を求める行政訴訟の第1回公判も同日同時刻で行われることとなりました。こちらは、直近にお住まいの方の原告陳述を予定しています。是非、多くの方の傍聴をお願いします。


●クリーンサービス操業禁止仮処分申立
 狭山市上赤坂にある焼却炉設置業者クリーンサービス(株)に対して、周辺に居住する住民(狭山市・所沢市)38名が、焼却の操業差し止めを求める仮処分を7月13日に申し立てました。

 クリーンサービスの焼却炉は、民家のすぐ脇に設置されており、民家との距離は約2.9m幅の公道を隔てるのみの敷地内で、長年の間ひどい操業を続けてきました。クリーンサービスの焼却炉からの降灰、悪臭、ばいじんの飛散に、周辺住民は悩まされ続けてきました。黒煙を出しているのもしばしば。 ダイオキシン類の自主測定値も、H12年度測定は24ng/Nm3と、ひどい数値。煙突も低く、近傍に煙が降りかかっている状況。悪臭もひどく、窓を開けることもできません。また、灰出しの際に、周囲に灰が飛散します。

 焼却だけではなく、長年積まれたままの廃棄物から、粉塵が飛散してきます。周辺は、粉塵が白くたちこめるような状態で、周辺の住民は、粉塵をかぶり、大変な迷惑を受けています。呼吸器系への影響が心配です。ユンボの騒音・振動もひどい。民家と焼却炉の距離は約10m。そのような場所に焼却炉があれば、被害が出るのは当然予想できたはずです。このような実状を詳細な写真・ビデオ資料と共にさいたま地裁・川越支部に訴えました。

 裁判所の反応は早く、既に2回の期日を終え、次回、8月16日に、双方から意見を聞く第3回の審尋期日が決定しています。

クリーンサービス仮処分申し立てに対して、弁護団費用・調査費用カンパを是非、お願いします!

裁判を支える会 (00190-2-183281)に、
クリーンサービスカンパと明記の上、お願いします。


●くぬぎ山キャンプ報告●

 *さて、恒例の事務局・弁護団参加のくぬぎ山キャンプが7月20〜21日にかけて行われました。あのくぬぎ山にキャンプを張って、昼間は、被申請人焼却炉巡り、夜はくぬぎ山巡回と、かなりハードなキャンプです。実は、もう3回目。今回はくぬぎ蚊の襲来も予想され、参加者一同、決死の覚悟? くぬぎ山は、元々、周辺農家が守り育ててきた美しい森です。今回も、美しい林を一晩お借りしました。道を通るトラックとユンボの騒音に腹を立てながら、夜の巡回では、石坂産業が夜も操業中で、施設脇の公道を歩いただけで、ライトに照らされます。

 高く積まれたごみ山と、煙臭と、日栄の水蒸気に腹を立て、この森が何故、産廃に奪われてしまったのか、考えさせられた1日でした。

 焼却をやめた業者が多くなる中、くぬぎ山では、今も変わらずひどい操業が続いている。その周りを美しい林が囲い、なんかおかしい!でも、朝に聞いた林の虫の大合唱は本当に価値あるものでした。美しい林に煙臭とトラックとユンボの騒音は全く似合わない! 一度皆さんも参加してみては?


●北田の悪臭!

 6田商事が、卵の腐ったような猛烈な悪臭を発散させていました。硫化水素の臭い。急性毒性は人を死に至らしめるこわい物質です。キャンプからかえっても、自宅付近でも同じ悪臭が漂っていました。さっそく所沢市に対策の指導と実態調査を頼みました。

 すると、市の担当者は、「県の指導で、今、古い保管ごみを搬出している、その作業が終われば、悪臭も出なくなるから測定しない」というのです。

 結局、所沢市は、住民からの苦情もかなり多く寄せられたので、調査・実施し、北田商事には対策を指導する、ということになりました。しかし、長年、地域で悪臭の発生源となっている同社と、業者に妙にやさしい行政に対しても、不信感はつのるばかり。皆さん、苦情はどんどん言いましょう。


 ◆ボランティア、カンパ、献品募集中!◆

 事務局では、広報発送、配布、資料収集、印刷、施設見学、ホームページの管理、その他、様々な作業を行っています。興味のある方、簡単なお手伝いなら……という方、ホームページのデータのチェックのできる方、自分の近所の焼却施設の見学がしてみたいという方、何でも結構です。ぜひ事務局までご一報ください。

●また、年間弁護団費用、調査費用等まだまだ足りない状況です……。

事務局では、弁護士費用、被害立証のための調査費用などを集めていくために、随時フリーマーケットに出店しています。ご自宅にある不要なもの、ありませんか。献品募集中です。(美品に限ります)息の長い運動を続けていくために、引き続きご協力をお願いします。(連絡先:北浦 042-943-7578)

一般カンパも随時、受け付けております.振込先は
郵便振替00530-0-40224「公害調停をすすめる会」宛