5月29日、被申請人、申請人、埼玉県と一堂に会しての第16回調停期日が開かれました。
これまでの調停の内容が簡単に伝えられ、申請人側からは提出した書面の説明を行いました。ごみ山問題について、撤去のための専門委員会を設置し、調査、撤去に取り組んでほしい、ということや、調査について、クマクラ、ヤマ商脇の汚染土壌の例を挙げ、このような汚染が未だ各地に残されているおそれのあること、早急に調査、対策をとるべきだと主張しました。
また、被申請人のうち、既に焼却炉の操業を停止した業者、停止したが未だ廃棄物処分業を営んでいる業者、ごみ山を積み上げている業者、未だ操業中の業者、とグループ分けし、今後の調停進行や、操業を停止している業者との調停条項の提案などを行いました。
続いて現状報告として、前田俊宣事務局代表から、ヤマ商脇の土壌汚染報告が行われ、灰の飛散による汚染としては、760pgTEQ/gという汚染は深刻であること、このような汚染に日々さらされていることを心配していること、早急に対策をとってほしいことを訴えました。
また、ごみ山について、焼却を停止した(株)新明が、生ゴミを含むごみ山を積み上げ、大量の蠅を発生させている現状について前田妙子さんが発言。隣接する事業所では大量の蠅と悪臭に悩まされ、毎日蠅取り紙を作業場各所につるしています。100匹程の蠅がびっしりとした蠅取り紙(実物! 最終的に蠅取り紙は写真資料として提出)を示し、何故こんな現状が許されているのか、何とかしてほしい、と訴えました。
今後の調停の進行に大きく影響を及ぼす参考人の意見聴取に期待を持たせて、第16回調停が終了しました。
●ついに新明が焼却を断念 !!
●北田新明裁判報告
6月4日、北田商事と(株)新明の許可取消を求める行政訴訟第7回公判が行われました。
新明については、先に述べましたように、廃業が決定したため、県の許可が無効となり、実質的な勝利を得ました。今回は、廃業の確認のための資料と、これまでの県の指導状況の資料を求めました。また、ごみ山のひどい現状を写真資料として、提出しました。
北田商事については、遵法能力の欠如の一端として、悪臭を発生させ続けるごみ山を違法状態で放置していること、さらに、その業務に用いている敷地内事務所が都市計画法違反であり、所沢市から撤去するよう勧告が2度も出され、赤紙添付までされながら、無視し続けていること、などを証拠として提出しました。
埼玉県側はこれらを「軽微な違反であり、おそれ条項にはあたらない」としていますが、あまりの不誠実な態度に、あきれるばかりです。
私たちが問題としている悪臭については、業者に対し、「悪臭を全く発生させないこと」までも求めているのではなく、「悪臭が発散しないように必要な措置を講ずること」を求めている、そして、人の感じる臭気としての臭気判定により、明らかに悪臭があると判断されても(所沢市調査結果より)個々の悪臭物質測定により、基準を超えていないのだから、必要な措置が講じられていると判断している、と応えています。
また、保管廃棄物について「性状に変化を生じないうちに搬出すること」という条項が廃棄物処理法に規定されていますが、北田の山積みにされているごちゃ混ぜの廃棄物は真っ黒に変色し悪臭を発散させ、性状に明らかに変化が生じており、この条項に違反している、との原告側主張に対し、「ごちゃまぜで保管されていることは違法ではない」と、ずれた応え。
このような考え方で指導していたら、何年苦情を訴え続けても、よくなっていくはずがありません。次回公判は7月16日(月)11時半〜 さいたま地裁105号法廷にて。
●(株)石坂産業の許可更新取り消しを求める裁判提訴
去る6月8日、所沢市・三芳町・狭山市などの住民152人が三芳町の(株)石坂産業の更新許可の取り消しを求めて行政訴訟をさいたま地裁に起こしました。
所沢市内では大空リサイクル・木下フレンドなど大手が次々と焼却をやめ、くぬぎ山周辺でもクマクラが炉を撤去するなど炉の数は減ってきました。しかし、それが所沢市外であるくぬぎ山の大手業者にゴミが流れ込む現象を引き起こしています。石坂産業の炉は3基あって合計の焼却量は日量約50tですが、昨年は早朝から深夜まで操業しており、実際の焼却量は日量70tとも100tとも言われ、周辺には灰が降る・悪臭・騒音などの被害が生じています。ところが現在の炉が無許可でつくられていたという事実がわかり、あまりにも無責任な県の姿勢があらためて浮かび上がってきました。
今回の裁判の最大の争点はそこのところですが、県がどのような対応をしてくるかが見どころ、関東でも最大クラスの業者の許可に関わる重要な裁判です、周辺住民がこれからしっかりと行政の責任を追及していきたいものです。
●ヤマ商脇土壌調査の実施
6月18日、ヤマ商わき土壌調査が、埼玉県、所沢市、住民、ヤマ商、調査会社立ち合いのもと、行われました。調査ポイントの決定は、県の環境科学国際センターが電気伝導度を指標として行い、その指示のもとに、調査会社がサンプリングする、というものでした。
すすめる会調査地点と同地点からポイント決めが始まりました。灰は相変わらず降っていて、埋められた建設残土の方も、ダイオキシン濃度を測るよう、指示されていました。
*ヤマ商の焼却が続いているとはいえ、大空リサイクル、木下フレンズ、新明と、所沢インター周辺の業者が次々に焼却をやめ、この地域の空気は、調停を申請した98年当時(日常的に異臭が感じられた)に比べると、格段に良くなったと体感されます。そんな折り、「里山、再生作戦!! 新型公共事業 環境省が方針 」という朝日新聞の記事(朝日新聞 2001年 6月17日 朝刊1面)が報道されました。
「ダイオキシン汚染問題が起きた埼玉県南部の「くぬぎ山」一帯を全国のモデル地域に指定し、里山再生事業に乗り出す。小泉純一郎首相が重点政策と位置づける自然再生型公共事として、地元自治体との調整に入る」という内容。石坂産業許可更新取消訴訟とあわせて今後の展開に要注目!! 運動の成果が、着々と実りつつあります。
事務局では、広報発送、配布、資料収集、印刷、施設見学、ホームページの管理、その他、様々な作業を行っています。興味のある方、簡単なお手伝いなら……という方、ホームページのデータのチェックのできる方、自分の近所の焼却施設の見学がしてみたいという方、何でも結構です。ぜひ事務局までご一報ください。
●また、年間弁護団費用、調査費用等まだまだ足りない状況です……。
事務局では、弁護士費用、被害立証のための調査費用などを集めていくために、随時フリーマーケットに出店しています。ご自宅にある不要なもの、ありませんか。献品募集中です。(美品に限ります)息の長い運動を続けていくために、引き続きご協力をお願いします。(連絡先:北浦 042-943-7578)
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