● 子どもたちにきれいな水と土と空気を手渡し、いのちとくらしを守るために

HTML版第10号 2001年5月27日発行

◆編集・発行所
さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会
発行人:事務局代表・前田 俊宣
〒359-0041 所沢市中新井5-1-3-201 Tel 042-943-0295
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◆次回 ダイオキシン公害調停◆


◆汚染の現状と課題◆


●クマクラ焼却炉撤去!!
 前回9号広報発行後すぐに、県が三芳町焼却炉業者クマクラ周辺の土壌調査結果を公表しました。私たちが行った自主調査ダイオキシン類5100TEQpg/gの汚染報告を受けて埼玉県が緊急にクマクラ周辺を調査したものです。

 結果は深刻な汚染を示しました。土壌最高で12000pg-TEQ/g(すすめる会調査地点と同地点)、直近施設壁両わき11000pg-TEQ/gが検出。浸透升中雨水(クマクラが、調査時ホースを入れていた事務所脇の浸透升)2800pg-TEQ/l、1号炉スクラバー汚水1200pg-TEQ/l,1号炉スクラバー汚泥46000pg-TEQ/g、2号炉スクラバー汚水180pg/l,2号炉スクラバー汚泥5500pg-TEQ/g,破砕施設地下ピット汚泥1000pg-TEQ/g……などでした。重金属類も12地点の土壌で水銀、カドミ、鉛などが対策基準・環境基準を越えました。

 今後の措置として、汚染者負担の原則に基づき、クマクラに対し汚染土壌の撤去などの土壌浄化措置、場内に残る汚染物質の拡散防止措置の実施を指導する、としています。

 2001年1月24日、県の化学物質対策専門委員会が開かれ、以上のようなクマクラ周辺調査結果が報告されました。ダイオキシン類の異性体構成、重金属類、塩類の成分構成がクマクラ場内採取試料と高濃度汚染検出周辺土壌とで一致したことから、クマクラが汚染源であると県が確定しました。

 これを受け、クマクラは汚染土壌、汚水、焼却炉の撤去を開始、現在1号炉は既に撤去、2号炉一部撤去。汚染土壌はドラム缶に詰められ一時保管されている状態だということです。

 クマクラの焼却炉は4.8t/日の焼却炉2基と小規模です。また、木くず紙くずを燃やす、どこにでもある普通の焼却炉でした。にもかかわらず、このすさまじい汚染を引き起こしたことは、廃棄物処理の問題がいかに深刻であるかを示したものといえます。

 事務局では、今後もこのような杜撰な処理、汚染が引き起こされている可能性がどこにでもあると考えて、調停にあたってゆきたいと考えています。


●ヤマ商わきの汚染土壌
 すすめる会では、2000年年末、所沢市南永井インターチェンジ付近でいつも白煙をもうもうと噴き出している業者、「ヤマ商物産」のわきにある林の土壌を現地調査したところ、灰状の物質が林地に20cm近く堆積しているのを確認しました。また、林内は、灰をかぶり、葉が灰まみれ、樹皮にも灰がこびりついている状態であるのを確認し、隣のヤマ商からの灰の飛散による汚染である可能性があるとして、土壌をサンプリングしました。ところが、2週間後の1月中旬頃、ヤマ商物産がその林を突然塀で囲い、灰が堆積していた林の土壌が掻き出されているのを確認しました。

 汚染土壌がどこかへ持ち去られてしまった可能性があると考え、緊急に既にサンプリングしていた土壌を調査機関[グリーンブルー(株)]に調査依頼しました。その結果、土壌中ダイオキシン類が760pgTEQ/gという深刻なもので、環境基準1000pg/gは超えなかったものの、原因を調査し、継続監視の必要のある250pg/gの指針値(ダイオキシン対策措置法による)の3倍を超える汚染です。また、ばいじんの飛散による汚染としてはかなり高濃度であるといえます。

 この結果を持って、埼玉県と市に原因と周辺の環境調査を要望しています。また、汚染土壌がどこかへ運び去られてしまったとすれば、それは、汚染を撒き散らす悪質な行為です。そのような行為が今後繰り返されないためにも、業者に対するきちんとした指導を求めていきたいと考えています。


●石坂産業の許可は……
 去る3月11日、くぬぎ山最大の焼却炉設置業者石坂産業(株)の焼却業の5年の更新許可が出されました。石坂産業の焼却炉は3基あり、総計で約50t/日の処理量、感染性廃棄物、木くず、紙くず、汚泥、廃酸、廃アルカリ、廃油などの様々な焼却の許可を持ちます。それらを年中燃やし、朝早くから夜中まで作業を続け、周辺に悪臭、塩素臭、粉塵の飛散、騒音を撒き散らし周辺住民は大変な迷惑を受け続けてきました。周囲の林を歩くとその異臭、粉塵の量の多さに辟易とします。野焼きから始まり、徐々に規模を拡大し、今後も破砕等の拡張計画、敷地を拡張する計画が見え隠れします。埼玉県も業者も、これ以上、この地域で焼却を続けることをやめてほしい、という住民の要望に応えることはありませんでした。

 今回の許可には、これまでの杜撰な処理、周囲への配慮の無さ、書類上にも多々問題があるとして、更新許可取消の訴訟を提起する準備を進めています。「石坂産業の煙を止める会」をたちあげ、周辺の住民の方々に協力を呼びかけているところです。これ以上、くぬぎ山で焼却が続くことを許さないために、調停申請人の方々からも支援をお願いします。


●裁判ルポ
 北田商事と(株)新明の許可取消を求める行政訴訟第6回公判が3月11日に行われました。
 北田商事については、許可のがれを狙うための処理能力虚偽について、燃焼計算などに基づいて詳細な主張をしたところですが、埼玉県は、そんなに燃やしていない、という説得力のない反論。また、周辺住民の被害状況を示した各原告の陳述書、そして、北田の焼却によって引き起こされる可能性のある各種の化学物質による汚染について述べ、原告は取消を求める権利がある旨の主張をしました。引き続き、北田の保管積み替えのずさんさ、悪臭の発生、周辺住民がなぜ、それらの被害をうけつづけなければならないのか、今回の許可の問題点について主張、再反論していく予定です。

 新明では、今回は、煙がどの程度の範囲まで影響を及ぼすかについてシミュレーションによって示し、気象条件によって、4km範囲まで煙害が及ぶことを示しました。夜間、煙が遠方まで束になって延びていくことを目にすることがあります。煙の影響は測りしれません。その煙に有害物質がどの程度含まれているのか、わたしたちは全く知らされていないのです。

 また、県からの反論として、「廃棄物の処理はしなければならない、だから処理施設は必要なのである」との見解が示されています。「処理施設は必要である=周辺住民は被害を受けるのを我慢しろ」とでもいうのでしょうか。そんなことは許されない筈です。

 次回期日は6月4日10時半から、「さいたま地裁」105号法廷です。浦和市がさいたま市となるに伴い、浦和地裁も「さいたま地裁」となります。是非一度傍聴に来て下さい。


●「新明」焼却炉工事・操業の差し止めを求める裁判提訴
 去る5月2日、新明焼却炉周辺住民45名が新明の焼却炉工事・操業の差し止めを求める裁判を提起しました。これまで報告しているとおり、(株)新明は黒煙を出す、煙突から灰を撒き散らす、焼却灰を5m以上の高さに野積みする、許可外の廃プラスチックを分別せずに燃やす、暴力団がらみの事件の死体を気が付かないで燃やす、などのひどい操業状態でした。

 周辺住民は、生活環境の悪化を訴え、業者、県に焼却停止の要望を繰り返してきたが全く改善されることはありませんでした。ところが、1999年10月には、県から、「彩の国環境創造資金」制度の融資を受け、バグフィルター(排ガス処理設備)を付け、焼却を続ける施設の変更許可を受けました。

 これまでひどい操業状態であった業者が排ガス処理設備を備えただけで、今後きちんとした適正処理をするようになるとは考えられず、手続き上も納得できない点が多々あるため、周辺住民として、許可処分を取り消すよう求める行政訴訟を2000年2月に既に提起しています。

 その後、(株)新明の焼却炉工事はストップしている状態が続いていますが、いつまた工事が始まるかわからず、周辺住民は大変不安に思っています。地域に煙害をもたらす煙突をなくし、よりよい環境を取り戻すために、新明の焼却施設工事及び操業の差し止めを求める民事訴訟を提起することとなりました。
 所沢で初めての業者を相手とする民事訴訟の提起です。ご理解・ご支援をお願いします。


 ◆これまでの調停の進行◆

 2001年1月27日に第13回調停が開催されました。この日は被申請人会社に対する意見聴取が中心でした。

 2001年2月3日に行われた第14回調停期日では、申請人の意見聴取を中心に行われました。
内容としては 第12回,13回の調停の内容にについて調停委員長から手短に説明があり、ついで被申請人会社を操業実態に応じてグループ分けして整理について代理人弁護士からの説明。ついてH13年2月2日付けの準備書面についての説明(クマクラ関連問題。全体調査の必要性〜田中メディカルの例。ヤマ商の汚染土壌隠しについて等。詳しい内容については、本号および前号を参照)。ついで、放置されているごみ山撤去についての説明。また、「くぬぎ山公道への不法投棄について」の説明等、汚染や違法操業の実態を説明し、具体的かつ効率的に調停を進行させるための提言を行いました。

 2001年2月23日に行われた第15回調停期日では被申請人・埼玉県の意見聴取が中心となりました。
 内容は(株)クマクラ調査に至った経緯,クマクラ調査の結果について(株)クマクラ以外の焼却施設に対する県の対応について,等が聴取されました。


◆賛助金・カンパの振込引き続きご支援を!!◆

 

皆さんの暖かいご支援により、5月までに

   賛助金(258口)・カンパ(137口)
       計 704,628円
   また別途に、すすめる会会費(114口)+前年度繰り越し分+バザー他による収益
       計 703,792円

     が集まっています。

しかし、年間弁護団費用、調査費用等にまだまだ足りない状況です……。
事務局では、バザー・フリーマーケット等にも取り組み、費用捻出に四苦八苦していますが、息の長い運動を続けていくために、引き続きご協力をお願いします。あわせてバザー・フリーマーケットに出す献品を募集中です。(連絡先:北浦 042-943-7578)

◆振込口座◆ 郵便局 公害調停をすすめる会 00530−0−40224

 事務局では、弁護士費用、被害立証のための調査費用などを集めていくために、随時フリーマーケットに出店しています。ご自宅にある不要なもの、ありませんか。献品募集中です。
*美品に限ります*


◆ボランティア・スタッフ募集!◆

●事務局では、広報発送、配布、資料収集、印刷、施設見学、ホームページの管理、その他、様々な作業を行っています。
 興味のある方、簡単なお手伝いなら……という方、ホームページのデータのチェックのできる方、自分の近所の焼却施設の見学がしてみたいという方、何でも結構です。ぜひ事務局までご一報ください。


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