● 子どもたちにきれいな水と土と空気を手渡し、いのちとくらしを守るために

第7号 2000年8月19日発行

◆編集・発行所
さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会
発行人:事務局代表・前田 俊宣
〒359-0041 所沢市中新井5-1-3-201 Tel 042-943-0295
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◆次回 ダイオキシン公害調停◆


◆第10回調停を迎えて◆

●調停期日も10回を迎えます。この間、調停委員会、県、焼却炉設置業者に対し、焼却による環境汚染の心配、操業実態のひどさを訴え、焼却停止、汚染実態調査、原状回復を一貫して求めています。

 これらの訴えに対し、一部の業者では、焼却停止に踏み切るところも出て来ました。しかし、全く要求に応じようとしない業者もあります。また、野菜騒動以降、行政が出すデータは、どんどん低くなり、埼玉県は、くぬぎ山の汚染は改善された、と記者発表さえしていますが、後述するように、くぬぎ山では9つの民間の炉が煙を吐き続け、操業状態はひどいものがあります。

 行政の調査は、施設近傍でなされていません。今後の対応を迫るためにも、これらの施設の操業による汚染の実態を知る必要があると考えています。同時に、首都圏から押し寄せる産廃を経済原則として、野放しに受け入れ、ひどい操業の施設を許可してきた埼玉県の責任を明らかにし、2度とこのようなことが繰り返されないよう、真摯な対応を求めていきたいと思っています。申請人の方はぜひ調停に足を運んで下さい

●くぬぎ山はいま……
変わらない!ゴミがゴミを呼ぶ現象

◆所沢ではない悩み
 現在、所沢市内の業者が、市が撤去費用を出すことを条件に、焼却をやめることを検討していますが、相変わらずくぬぎ山の周辺の焼却炉は、毎日もくもくと煙を吐き出しています。 通称くぬぎ山といわれる雑木林は、所沢市、狭山市、川越市、三芳町にまたがっており、現在稼働中の焼却炉はすべて所沢市以外の地域にあります。この付近に、焼却による汚染が蓄積されていることは、今までの数々の調査で明らかです。埼玉県の事前協議書提出状況によれば、全県に持ち込まれるゴミの半分以上が、私たちの住む西部環境管理事務所の所管地域に入ってきており、このまま、くぬぎ山を放置しておけば、ゴミは次々と持ち込まれ、ますます汚染を深めてしまいます。 

◆てごわい大手業者
 狭山市にある佐藤建設工業、埼建、日榮興産、クリーンサービスは、あいかわらずの焼却を続け、周辺に塩素臭が漂ったり黒煙を出す、灰を降らせるなどの操業状態です。そして、いちばんの問題は、これからも焼却をずっと続けようとしている大手業者です。三芳町にある石坂産業とクマクラ、川越市の山一商事がそれで、石坂産業と山一商事は年間処理能力がともに1万トンを越えるものです。焼却が危険な行為であることを周辺住民が知り、もっと危機感を訴えなくては事態は変わりません。

◆膨らむゴミの山
 かつて真っ黒な煙を吐き出していたアーバンリサイクルは、炉が廃止されたものの何が混ざっているかわからない得体の知れない巨大なゴミ山を放置し、周辺に悪臭を漂わせています。許可違反で逮捕された常磐土木の敷地には、木屑のゴミ山がいくつもでき増え続け、もうこれ以上積めない様な状態にまで膨らんでいます。現在廃炉指導中の協和産業では、コンクリート殻のそそり立つような山ができ、いつ崩れても不思議はない状態です。このように焼却を止めた業者も、くぬぎ山からいなくなったわけではありません。ゴミ山を放置したまま、雑木林を汚染や火事の危険にさらしているのです。

◆灰の不法投棄も
 林道には業者がコンクリート殻、瓦などをばらまき、莫大な量の不法投棄となっています。これについては周辺の農家が県に訴えていますので、一刻も早い改善を期待したいところです。しかし、大型トラックのために道が広げられ、本来の林道と林の境に住民が打った杭も、平気でなぎ倒していく無法状態はあいかわらずです。最近では、林の入り口付近に、あきらかに建設廃材などを燃やした灰と思われる大量の不法投棄がありました。

◆最終処分場をつくらないで
 その上、三芳町では、今あるくぬぎ山内の最終処分場のすぐ近くに、あらたな処分場を検討中です。周辺自治会では反対の意志を持っていますが、三芳町では、生活環境調査を始めようとしています。(現在、町では調査計画に対する周辺住民の意見書を募集中です。詳細は事務局まで)。ゴミがゴミを呼ぶこの現象を何とかして食い止めたい。今後、三芳町に対する最終処分場の反対署名の協力をお願いします。


◆これからの闘いは……◆
裁判と調停の両面から

 所沢市内の焼却炉、大空リサイクルと佐久間工務店が、市から補助を受け、秋までに焼却炉を撤去する方針であることが明らかになりました。これにより、市内法対象焼却炉は今年中に3業者、4焼却炉となると市が記者発表しました。その中2業者は現在、許可取り消しを求めて係争中です。

しかし、これまで、法対象外であった処理能力が200kg/h未満の小型焼却炉が、市条例対象(30kg/h以上)で146炉、ダイオキシン措置法対象(50kg/h以上)では、25炉(もっと増えるはず……)が届出されています。今後、市にはこれらの小型焼却炉対策も合わせて取り組むことを求めていく必要があります。


 くぬぎ山南にある北田商事と、インター近くにある新明の許可取り消しを求める行政訴訟の第3回公判が去る7月10日、浦和地裁で行われました。 調停でこれ以上業者に対する焼却の許可を出さないよう求めているにもかかわらず、昨秋、県は「書類上整っていれば許可せざるを得ない」などとして、許可を出しました。これに対し、弁護団では、それらの許可申請書類等をチェックし、焼却炉の専門家に助言をもらい、いい加減な計算、矛盾など様々な違法な点を洗い出してきました。

 今回の公判は、まず、業者のいい加減な計算による申請を、県がそのまま認めた根拠を問うものとなりました。例えば、新明は、実際の炉の大きさから計算される処理能力は、50t/日はあると捉えられる程の大きな炉を2基持っています。

 ところが、県は、業者が出してきたいい加減な計算を鵜呑みにし、僅か、「4.8t/日の処理能力の炉が2基である」として許可。これについては、鍜冶弁護士が燃焼能力計算を基に、その矛盾を分かりやすく口頭で説明し、県のいい加減な書類審査を指摘しました。私たちが漠然とおかしい、と感じていた様々な点をこれから法廷の場で明らかにしていくことになります。なぜ、周辺の住民が業者操業による煙や灰の飛散、悪臭、騒音を我慢してこなければならなかったのか。それらは、私たちの健康・当たり前の暮らしを脅かしてきました。これらを知りながら、許可をし続ける県の手続き・姿勢を法廷で問うことになります。
 この2業者については現在焼却休止中です。これも裁判に踏み切った成果と考えていますが油断はできません。

 次回公判は少し間があき、10月30日午前10時から、浦和地裁で行われます。ぜひ傍聴に来て応援して下さい。


 豊島(てしま)と能勢の公害調停がこの夏に相次いで調停成立を迎えました。豊島は住民が反対運動を続けて20年以上(調停7年)かかった上でようやくの決着。能勢は調停2年目の成立です。どちらも公害調停制度を利用し、最大限の効果と対策を引き出した、大変意義のある調停であったと評価されます。豊島では、県の責任を明らかにした上で謝罪を引き出し、また、国、県の予算を使った、大規模な原状回復のための処理計画が提示されました。能勢では焼却炉メーカーが7億5千万円の負担をし、今後、対策協議会によって、住民参加の上での汚染土壌対策に取り組むこととなります。また、町の焼却炉であったこともあり、ごみの半減に取り組むことも同時に約束されました。

 どちらも、本当にねばり強い住民運動の成果であり、私たちに様々なことを教えてくれます。特に、豊島の産廃業者の違法操業と県の監督・指導不履行による汚染の拡大は、所沢にも当てはまります。豊島の50万トンの不法投棄は、所沢の数多い業者のごみの山と、煙・灰の山を合わせた姿である、と感じました。美しい島をあっという間に汚したごみの山。失ったものを取り戻すために、これから、気の遠くなるような歳月と費用をかけなければなりません。汚すのは本当に簡単です。しかし、その汚れを取り除く技術と知恵を人間は持っているでしょうか。

 それにしても、調停成立まで、そしてこれからの、地域住民の方々の粘り強い運動に、私たちは学ぶべき事がたくさんあります。地域を守ること、それが、地域に住む者の責任であると2つの運動は教えてくれます。
 事務局では、豊島と能勢の調停に学ぶ会を企画する予定です。詳細が決まりましたら、お知らせします。


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 事務局では広報誌配布をポストボックス及び手配りボランティアに頼っていますが、作業軽減のため、FAXによる通信ネットを利用していきたいと考えています。

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 興味のある方、簡単なお手伝いなら……という方、ホームページのデータのチェックのできる方、自分の近所の焼却施設の見学がしてみたいという方、何でも結構です。ぜひ事務局までご一報ください。

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