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● 子どもたちにきれいな水と土と空気を手渡し、いのちとくらしを守るために

第5号 2000年3月15日発行

◆編集・発行所
さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会
発行人:事務局代表・前田 俊宣
〒359-0041 所沢市中新井5-1-3-201 Tel 042-943-0295
E-mail HZE03164@nifty.ne.jp
URL http://www3.airnet.ne.jp/dioxin/


一般カンパも随時、受け付けております.振込先は
郵便振替00530-0-40224「公害調停をすすめる会」宛


◆第6回調停以後の経過報告◆

●昨年11月6日の第6回調停以降の動きを簡単に報告します。

1月26日(水)に、調停委員と双方の代理人を中心に、調停に関する「進行協議」が行われました。進行に関しての協議、問題点の整理などが行われました。

 次回調停については、事務を担当している埼玉県の人事異動と関連し、土日の開催にこだわると、大幅に遅れてしまうといった事情から、平日(3月28日[火])、埼玉県教育会館での開催となりました。


●被害の立証責任と人格権と・・・

 まず、所沢周辺施設の操業実態において、廃棄物処理法の処理基準、維持管理基準の各法令違反があります。また、これらの法令違反を見逃している県の責任を、問う必要があります。さらに、県の「あらゆる施策を通じて公害の防止に努めることにより、県民の健康を保護し、良好な生活環境を保全する」(埼玉県公害防止条例)責務を指摘した上で、各種調査の実施、ごみの山の撤去、監督指導強化、集中立地の解消を求めていきます。

 被害の「立証責任」については、「人格権」(=生命、身体、健康を害されない権利)のかけがえのない重要性を指摘し、これを侵害されるおそれがあるときは、その侵害行為の差し止めを求めることができる事。既に焼却行為において、周辺住民の生命、身体、健康が侵害されるおそれが生じており、それがない、というのならば、被申請人側が、その安全性を立証すべきであることを、最近の住民側勝訴の裁判例などを引用して、主張していきます。

 さらに、各種法令を遵守していると主張する被申請人らに対して、ダイオキシン類の有害性、当地域の異様な密集状況の特異性からすれば、たとえ各種法令を遵守していたとしても被害を及ぼしている恐れがあり、その安全性を立証したことにはならない、と指摘しています。


◆運動の成果と課題◆

 公害調停や市民の批判の高まりを受けて、焼却停止・廃炉にむかう業者がある一方で、なぜ新たな焼却許可が下りるのでしょう?

●インター周辺の焼却炉は…… 

 公害調停での焼却停止の要請・排出企業へのはたらきかけなどを受けて、昨年8月から焼却を自主停止していたインター付近の東明興業が、2月、所沢市の焼却炉撤去事業の助成金を受けて炉を撤去しました。

 それと同時に、所沢インター出口にある木下フレンド(木くず炉24t/day、廃プラ炉1t/day)も今年秋には撤去する方針であることも報道されました。また、松郷にある大空リサイクルセンターへ2月に見学に行った際、工場の責任者が「秋には焼却炉を撤去したい」と発言しました。これらの動きは、炉設置者が申請人4000人の焼却停止の願いを重く受け止めた結果です。

 インター周辺では、大手焼却炉設置業者が焼却停止に応じてきています。しかし、流れ込む廃棄物の量は減っていない、というのもまた実感です。大空リサイクルは、今も大量の煙を吐き続けています。まだ焼却をひどい状態で続けている業者もあります。ここで気を緩めず、1日も早く焼却を停止するよう求めていくことが必要です。

 また、所沢市内焼却炉撤去には、市税による撤去費助成が行われています。このことが、撤去への後押しになったのは事実でしょうが、真に適正な市税の使い道であったかどうかの監視もまた必要だと考えています。

●一方、くぬぎ山は

 インター周辺焼却炉とは裏腹に、くぬぎ山周辺では、未だ焼却停止の方向が見えてきません。現在、7業者11炉が操業中であり、周辺住民は今も煙に苦しんでいます。

 また、ここにきて、くぬぎ山大手焼却炉設置業者「石坂産業(株)」が埼玉県に対し「産業廃棄物処理施設設置等計画書」を提出していることが分かりました。感染性産業廃棄物を燃やす炉(処理能力1.28t/日)についての「改善計画」であるというこの計画書の内容について調べたところ、焼却炉の前処理として、ロータリーキルン(乾燥炉)を増設する計画であることが明らかになりました。焼却停止を求める住民の意思を無視した施設計画であり、とても許すことはできません。

 さらに、くぬぎ山北約1kmにある山一商事が、旧40t/dayの炉を廃止し、新設連続炉60t/日の設置する工事を始めました。60t/日といえば、小さな自治体の炉と同じ規模。この炉が、改正廃棄物処理法の生活環境アセスもされずに(施行前駆け込み申請)許可され、建設が始まりました。これらの焼却炉に対するためには近隣住民のねばり強い反対と、それを支援するたくさんの人たちの協力が必要です。

 また、くぬぎ山が、3市2町の市町境にあることも、対策が進まない原因となっています。川越、狭山、三芳、大井の方々に協力を呼びかけ、焼却停止の運動を広げていくことが課題となっています。


もうこれ以上くぬぎ山を汚さないで !

●三芳町がくぬぎ山第2最終処分場を計画

 さらに、三芳町が、くぬぎ山内の三芳町上富に、第2最終処分場を設置する計画をすすめている事が明らかになりました。今年度、その計画に基づき、生活環境アセスメントを実施する予定だといいます。この計画地周辺は、多くの既存小型焼却施設が密集しており、また、既に三芳町の清掃工場、最終処分場があります。97年以降実施されている三芳町の環境調査によれば、くぬぎ山脇の三芳町上富第一ゲートボール場の大気中ダイオキシン類濃度調査結果は1.5〜3.1TEQ-pg/m3と、大気環境指針値(0.8TEQ-pg/m3)を大幅に上回る状態が続いています。 ここになぜ、さらに作ろうとするのか、私たちはどうしても許すことができません。
 くぬぎ山は、ゴミ捨て場ではありません。もうこれ以上、くぬぎ山を汚させない。この計画を撤回させるために、地元の自治会を中心に広範な署名運動に取り組むことになりました。たくさんの人たちの声で、このひどい計画を撤回させましょう。是非、ご協力をお願いします。署名運動に協力いただける方は連絡下さい。(連絡先:井草042-942-2292) 


▲現在、もうすぐ一杯になってしまうという三芳町最終処分場。奥に見えるのが埋め立てる焼却灰を発生させる三芳町焼却施設(1974〜)


裁判ルポタージュ
◆北田、新明の行政訴訟始まる◆

●3月13日第1回公判

 3月13日、浦和地方裁判所にて、埼玉県に対する、北田商事株式会社の更新許可処分の取り消しと株式会社新明の施設変更許可処分の取り消しを求める二つの裁判の第1回公判が行われました。

 午後3時15分、同じ部屋で新明と北田の裁判が続けて行われました。内容は、それぞれ代理人弁護士の訴状説明のあと原告の陳述があり、すぐに裁判長が次回までの指示と日程決めをして終わるというごく簡単なものです。 二件とも、県側の出席は無く「本件訴を却下する」との答弁書が出されたのみでした。「原告らには訴えの利益はない」というのがその理由ですが、今までの県の一貫した無責任な態度をよく表しています。

 新明・北田ともに原告側の陳述は、本当に聞く人の心に迫るもので、特に北田商事の隣の農家の方の「私はただ、普通の空気が吸いたいのです」という言葉には、場内が静まりかえりました。この当たり前の願いを一日も早く、一刻も早くかなえたいものです。

 公判後の報告集会では「県の態度はあまりにもひどい」「訴状を読む限りでは勝訴は当然」「いいかたちでスタートが切れた」などの感想が出ました。今後の進み行きとして釜井弁護士からは、証拠となる被害実態の調査が必要であること、炉の構造などの勉強をして、弁護団・住民共に専門的な知識を持つことが大切であることなどがあげられました。鍛冶弁護士からは、「今後、県は、あの手この手で反論してくるだろうが、一つ一つ論破していきたい。とにかく、この裁判は、これから始まるたくさんの問題の入り口に過ぎない。頑張りましょう」と力強いメッセージ。「ついに、パンドラの箱を開けてしまった」と嬉しそうな?佐竹弁護士。その他ボランティア同然で関わって下さる総勢28人の弁護団とともに、北田新明訴訟団は元気に出航しました。原告の人も支える人も、勝訴の日まで力を合わせてガンバロウ!

 次回公判は、両裁判とも5月8日(月)午前10時の予定です。次回は県の反論があるかもしれません。ぜひ、みなさん傍聴に来て下さい。


◆裁判の支援カンパをお願いします。◆

 調停だけではなかなか解決の方向が見えてこない状況ですが、「一刻も早く煙を止めたい」という願いのもとに、私達は裁判に踏み切りました。ついに、北田商事は畑の真ん中で煙を高く上らせ始めましたし、新明の煙突からは今も灰が降り注いでいます。これからは、行政訴訟に引き続いて、業者に対する操業差し止めの仮処分などに取り組んでいく予定です。 

 現在、原告団でお金を出し合って住民の被害実態を立証ための化学的な調査に取りかかっています。また、調停弁護団に加えて埼玉弁護士会から多くの優秀な方々の協力も得ています。


●ありがとうございました!あと、もう一息

 今年度の調停維持賛助金を引き続き募集しています。これまで、申請人の約250世帯から約60万円の維持賛助金の入金がありました。今後、弁護士の方への支払いの他、被害実態調査や情報・資料の収集、また専門家の協力の要請などに多くのお金がかかり、残念ながら、これではまだ足りないのが実状です。 ぜひ、調停成立の日まで申請人の方々の息の長い資金援助をお願いいたします。


◆ボランティア・スタッフ募集!

●事務局では、広報発送、配布、資料収集、印刷、施設見学、ホームページの管理、その他、様々な作業を行っています。
 興味のある方、簡単なお手伝いなら……という方、ホームページのデータのチェックのできる方、自分の近所の焼却施設の見学がしてみたいという方、何でも結構です。ぜひ事務局までご一報ください。

一般カンパ、調停維持賛助金、「すすめる会」入会等
随時受け付けます。

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