第1回調停日から4カ月が経ち、再び被申請人との話し合いの場を迎えます。調停委員3名による所沢周辺の現地視察となった第2回調停(8月6日)以後、第3〜5回の公害調停は、調停委員が被申請人の個別の意見を聞きました。今回は第6回調停となります。所沢を会場に、という再三の要望にもかかわらず、またもや浦和会場となってしまいました。申請側が参加する6回目の調停は、公害調停全体を左右する重要なポイントとなります。ぜひ多くの方の参加をお願いします。
みんなで浦和までバスで行こう!
当日は、会場までのチャーターバスを出します。
●55人乗り●乗車料:一人1000円(往きのみ)
●運行時刻 11時:航空公園駅東口ロータリー集合(11時15分発)→11時20分:東所沢駅前集合(11時30分東所沢駅発)→会場到着12時30分
乗車希望の方は高橋桂子さんまで「どこから何人乗車」とお伝えください。
TEL 042-942-1737 FAX
042-943-4095
(*できるだけFAXで申し込みください。なお会場に食事のできる場所がありませんので昼食は各自バスにご持参ください)
最近、くぬぎ山では、朝方などすっぽりと煙に覆われる、という状況が再び見られるようになってきました。野菜騒動以来の行政側の出してきた「安全宣言」。それとは裏腹に、現地では休止していた炉が再開し、再び堂々と燃やされています。助燃バーナーや温度計を付けて800度以上の「完全燃焼」ができる炉になったうえでの操業開始だ、と県は言います。しかし、その実態は、どうでしょうか。蓋を開けたままでの焼却。黒煙。塩素臭。規制強化以前と全く変わらない状況を目撃する度、いったいどうなってるの?と言いたくなります。
くぬぎ山の炉は、地下式バッチ(一日8時間操業などの間欠運転)炉で、連続投入口や攪拌設備もついていません。そのような炉で、「完全燃焼」させるには、一日1回の適量投入。完全燃焼するまで、炉の蓋を開けない。助燃バーナーによる、こまめな助燃。最後は助燃バーナーによって、燃やしきる。といった細かな管理が必須になります。それがきちんと全てできていても、撹拌設備がついていないことは致命的で、炉内のもの全てが完全燃焼できないことは明らかです。(焼却灰の状態をみても、燃え残りが多く、基準をクリアできていないことが伺えます)
そのような炉を、「既存施設」として、法の適用猶予を与え、その炉で「完全燃焼」するよう、「指導」していくとする行政。その「指導」の実態は、といえば、数多くある施設に全く手が回っていない状況です。私たちが各業者の見学や維持管理記録閲覧に行き、温度記録などを見せてもらった範囲でも、以前と変わらず、燃焼途中で蓋を開け、一日何回も投入する業者もあります。燃やしきりの徹底など、全く行われていません。温度記録計を途中で切っている業者さえありました。煙突から飛灰をとばしている業者。燃焼物として積まれたごみの山は廃プラが混ざり、それでも年1回行った、ダイオキシン測定値だけは基準をクリアしている。温度記録紙をノートにつづって管理している業者が、「せっかくこうして記録しているのに、行政はちっとも見に来ない」と言っていました。
また、温度記録をみなくとも誰にも明らかな違反があります。ごみの山を積み上げる保管基準違反です。所沢周辺にあるごみの山。これらは、いっこうに減る気配はありません。くぬぎ山にも、学校の隣にも、畑の真ん中にも、何年も積み上がっているものもあります。県はこれらに対しても「指導」を繰り返すばかりで、決して改善されることはありません。
三芳町・長島総業の基準違反のごみの山
■火事を起こしたごみの山−−−廃プラ、ゴム屑500tが燃える。
10月4日午後6時過ぎ、くぬぎ山近くの三芳町の「大生商事」が積み上げていた廃プラスチックなどのごみの山(高さ10m弱)が燃え、鎮火まで約6時間、周辺ではひどい臭いの大量の煙が出続けました。焼却炉操業中、電気系統からの漏電が起こり、すぐ近くまで積み上げていたごみの山に火が燃え移ったようです。
その2週間ほど前、事務局で「大生商事」の維持管理記録閲覧に行っていました。焼却炉脇に積み上がったごみの山は異様で、温度記録計の蓋が開けられない状態でした。
県に対して、すぐに、「あの状態で焼却炉を操業すれば火事を起こすのは明らか。操業停止命令をかけるべきだ」と電話しました。担当者は「それは法律的に難しい。ごみの山は業者が片づけると言っている。片づけるよう指導している。」と答えました。確かに、今年3月にごみの山を片づけるよう勧告が出されています。それから半年以上、全く改善されることのないまま、「指導」を続け、結果は火事。ごみの山は少しスマートになり、汚染物質がばらまかれました。
■ 廃棄物焼却炉撤去
8月の武蔵野に続いて、10月7日には、加藤商事と和光が所沢市の焼却炉撤去推進事業による助成金を受けて、焼却炉を撤去しました。撤去費と残存価値算定額の合計の8割、武蔵野解体には4474万円(残存価値4800万円+撤去費780万円)、和光には167万円(残存価値150万円+撤去費60万円)、加藤商事には8684万円(残存価値8530万円+撤去費2323万円)が補助される予定です。
煙突が倒れました。しかし、市税の使い道として、これが本当に妥当なのか、厳しいチェックもまた必要だと考えています。
特に、これらの炉は全て、現行の法規制に対応していないため、何千万かの改善をかけなければ操業できなかった炉です。
残存価値というものがどのように算定されたのかこれまで全く公開されていません。現在情報開示請求中です。
■彩の国環境創造資金融資凍結の要望書について
埼玉県では、環境問題に取り組む企業などに資金を長期・低金利で貸す彩の国環境創造資金融資を行っています。ところがこの融資制度が所沢周辺では、焼却炉設置のための費用の融資として使われてきた経緯があり、焼却炉密集状況の一因となったことが分かっています。
所沢周辺の焼却炉9炉に対し、91〜99年にかけて計5億4500万円が融資されています。
これによって生じたのが焼却炉の密集によるダイオキシン汚染であったことを考えれば、この融資が環境保全に役立つどころか、逆に環境破壊を引き起こすものだったといわざるをえません。また、情報公開による県の資料によれば、現在、この地域の焼却炉に対してバグフィルターの設置などの「改善」工事のための融資が行われようとしています。所沢周辺の新設の焼却炉にも新たな融資が決定していました。
今止めなければ、過去の失敗が繰り返されてしまいます。これ以上汚染を長引かせてはならないと考え、9月24日、すすめる会より埼玉県知事あてに融資凍結の要望書を提出しました。要望は以下の2点です。
1,彩の国環境創造資金融資制度で、所沢周辺すべての焼却炉に対する融資斡旋を直ちに凍結すること。
2,焼却炉の数を減らし、集中立地を解消し、脱焼却を目指す方針を明確にすること。
■「ダイオキシン類測定に関する緊急提案書」を国に提出
行政が報告するダイオキシン測定値と、宮田秀明教授(摂南大薬学部)などによる測定値の開きは、私たちにとって今まで大きな疑問でしたが、最近、各研究者からの報告などでこの問題が取り上げられるようになりました。
日本環境化学会の第8回討論会でも、通産省が5月にダイオキシン類の測定標準化のために発表したJIS化原案の分析法では、毒性の強いダイオキシン類の多くが揮散するおそれがあることが指摘され、他にも日本のダイオキシン測定には、データの信頼性の低さなど、多くの問題点があることが報告されています。
ダイオキシンによる健康不安は、他の毒物に比べてけた外れに毒性が強いことによります。血液をはじめ、きわめて濃度レベルが低い母乳や食品、大気、土壌などの測定値が地域環境の汚染状況の重要な指標になり、対策や規制の科学的根拠となります。また、野菜騒動などでもわかるように、地域住民にとっては測定値の信憑性が死活問題となります。精度の高い測定技術、信頼のできる誰もが納得のできる測定システムを早急に確立することが必要です。第三者がその信憑性を客観的に評価できないデータは無効であるといわざるを得ません。
今回、すすめる会の測定問題チームでは専門的な資料をまとめ、いくつかの問題点を提起したうえで、測定方法についての今後の検討を求めて、10月7日、厚生省・環境庁に「ダイオキシン類測定に関する緊急提案書」を提出しました。WHO(国連世界保健機関)のインターキャリブレーション(統一測定)に定期的に参加し、測定法やサンプリング法を国際的な水準に合わせ、クロスチェックにより、国内統一法の厳密さと客観性を高める必要性を訴えたものです。
■市長選立候補者アンケートを実施 とにかくみんな投票に行こう!
10月24日に、所沢市市長選が行われます。当会では、現在立候補を表明している3名(斎藤博氏、安田敏夫氏、大久保賢一氏)に、環境問題に前向きに取り組んでもらおうと、投票の参考にするため、ダイオキシン問題についての公開質問状を送付し回答をいただきました。
アンケート項目が多く,記述式回答のために、短いスペースで要約することは出来ませんが、現職の立候補者の回答からは、これまでの市の環境政策の延長線上でダイオキシン規制を行って行こうとする姿勢が感じられました。当「すすめる会」のホームページ(http://www3.airnet.ne.jp/dioxin/)にアンケートとその回答の全文が掲載されていますので、ぜひご覧下さい(インターネットを利用できない場合は、北浦:FAX
042-943-7578までお問い合わせを)。
所沢市長選挙の投票率は、1991年の前々回が39.43%,1995年の前回が26.72%と目をおおうばかりの低投票率が続いています。ある意味でこうした市政への無関心が、所沢の環境悪化の原因であるといえるかもしれません。
今回の市長選挙は、環境問題に吹く風を変えるチャンスになるかも知れません。市民のための責任ある市政を実現するために、投票率を上げましょう。ぜひ、市民の権利を行使してください。
日 時:10月30日(土) 午後6時30分〜9時
場 所:所沢市文化会館 3F大展示室(旧市役所うら)
参加費:一般600円(資料代含む)、会員300円
パネリスト:
関口鉄男(財団法人日本農村医学研究所客員研究員長野県で焼却炉をいくつも倒してこられた運動家)
鵜飼照喜(信州大学教育学部教授・環境社会学・国民会議廃棄物委員会委員長)
釜井英法(さいたま西部ダイオキシン公害調停弁護団)
前田俊宣(さいたま西部ダイオキシン公害調停をすすめる会)
主催:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
今回の公害調停は、公害紛争処理法に基づいて設けられている「公害紛争処理制度」に則り申請されました。裁判などの司法的解決とは異なり、行政の分野において解決を図る制度です。
●私たちの要望
1.焼却施設の使用停止と新設・変更・更新の不許可
2.実態をあきらかにするための各施設の各種情報開示
3.施設内外の土壌・大気・地下水などについてのダイオキシン汚染実態調査と周辺住民および施設内の労働者についての健康被害調査
4.くぬぎ山および所沢インター周辺での汚染土壌の入れ替え、植林等の原状回復措置
●申請人
埼玉県西部地域(所沢・狭山・川越・大井町・三芳町・朝霞・新座・入間など)に居住もしくは通勤・通学していて焼却施設により生活や健康の被害が生じ、またそのおそれがある人
●被申請人
1 くぬぎ山から半径約3km内と所沢インター周辺半径約3km内で廃棄物焼却施設を操業する(していた)47社
2 上記施設の許可権限と監督指導権限を持つ行政当局である埼玉
・公害紛争処理制度とは
公害紛争処理制度は、公害紛争を裁判で争った場合、解決までに多くの時間と費用がかかることで被害者に大きな負担がかかり、その救済に問題があったことから生まれた制度です。当事者の経済的負担の軽減が図られ、費用も少なくてすみます。また、事件を処理する過程で、職権による調査、資料の収集などが積極的に行われることが期待できます。
公害紛争を処理する機関としては、国に「公害等調整委員会」が総理府の外局として設置され、都道府県には「公害審査会等」があります。私たちは埼玉県の公害審査会に調停を申請しました。埼玉県の公害審査会は、10名の委員で構成され、その中の3名が今回のダイオキシン調停の調停委員として決まっています。現在、埼玉県の公害審査会で取り扱っている調停は、この1件だけです。
今回のような申請人と被申請者の数が非常に多い大規模な調停は、今までに例がありません。
これまで市民が、国や県や市に何回も陳情や要望活動をしても効果の現れなかった問題ですが、実際の当事者(県・焼却業者・住民)が一堂に会して、公の場で話し合いを持つことができるわけです。
◆いまお読みいただいている広報紙『きれいな土と空気』は、公害調停の経過と結果を、ダイオキシン公害調停に関心のある方々に広くお伝えすることを目的に、調停の日程や進行にあわせて、発行していく予定です。現在の限られた予算では、郵送による配布を行うことは不可能ですので、申請人による手渡しネットワークの「POST BOX」をできるだけ活用して広報を配布したいと考えています。
◆『きれいな土と空気』は、「すすめる会」のホームページ(http://www3.airnet.ne.jp/dioxin/)にも掲載されています。印刷による広報では間に合わない臨時ニュースや、調停のスケジュールなどを、号外として掲載することも考えていますので、インターネットに加入している方、また身近にインターネットの環境がある方は、ぜひ、ご覧ください。