第8回 5月27日(土)さいたま共済会館 午前10時〜
第9回 7月8日(土)埼玉教育会館 午前10時〜
第7回調停は、3月28日、火曜日の午前10時開催、申請者側は、弁護士3人(秋山、鍜冶、釜井の3氏)を含めて23人でした。調停の場は非公開が原則であるため、ここでは、内容について触れることは出来ませんが、実りある調停となるよう、応援して下さい。
新聞等でも報道された通り、米軍厚木飛行場内の家族住宅地域を産廃焼却施設の排ガスが直撃した問題で、1999年7月7日から9月1日まで、日米共同のモニタリング調査が行われました。
大気中ダイオキシン類濃度は平均でも8pg-TEC/m3というわが国測定史上最も高い価が計測されましたが、注目されるのは、56日間の連続測定分析の結果、濃度の最高値と最低値の比が、最も少ない地点で38倍、最も多い地点では580倍にものぼった点です。現在、国や自治体が行っている大気中のダイオキシン類測定は、年間わずかに2〜4日の測定で「年平均値」としていますが、厚木の結果から見れば、ほとんど測定していないも同然の数値といわざるを得ません。
その他、現場サンプリングでのダイオキシン類揮散を補正するためのサンプリングスパイクが米国やカナダのように義務づけられていないなど、日本のダイオキシン類分析法の欠陥も明らかになってきました。
厚木基地の土壌汚染濃度の最高値(330pg-TEQ/g)は、所沢、竜ヶ崎、新利根町などでも検出されている数値。つまり、土壌のダイオキシン類の濃度からみれば、これらの地域の大気中の濃度も同程度ではないかと推定できるのです。
2000年3月28日、埼玉県がくぬぎ山近くの焼却処分業者「大生商事」の産業廃棄物処分業・収集運搬業の許可を取り消した、との新聞発表がありました。「大生商事」は、「保管積み替え」と称して巨大なゴミの山を積み上げ、長年放置してきた業者です。周囲に悪臭を発散させ、昨年10月には積み上げた廃プラスチックのゴミの山、500tが燃える火事を起こしました。
すすめる会では、この業者のゴミ保管状況が法違反状態であるとして、すみやかな許可取り消しを求めてきましたが、県は、やっと、業者の許可期限1日前に、許可取り消しの処分を行いました。しかし、積み上げられたゴミの山は残ったままです。今後、この業者に許可を与えてきた県の責任で、費用を業者や排出企業に負担させ、ゴミの山をすみやかに片づけていくことを求めていきたいと考えています。
また、インター近くの「サニテック」が、焼却を2000年4月から停止。焼却炉の改善の目途がたたなかったためということです。今後、業者によっては、バグフィルターなどの排ガス処理装置を付ける改善を施すことによって焼却を続けるか、それとも、焼却をやめるかの選択を強いられてきます。焼却をやめる方向をとるよう、働きかけ続けていきたいと考えています。
三芳町上富にある長島総業と、大生商事、この隣り合う2つの巨大なゴミの山を計測してみました。ゴミの山に登って、ふもとと頂上との距離・角度を計測器で測り、高さを計算しました。長島総業のゴミの山は高さ約20m。大生商事は、約10mと出ました。周囲の長さも測り、そのゴミ量は、合わせて、10万m3弱に達するとの計算結果。
このゴミの山を片づけるのに、一体いくらのお金がかかるのでしょうか。そして、このゴミを積み上げるだけで放置した業者はどれほどのお金を手にしたのでしょうか。この2業者は、それまでにあったゴミの山を片づける約束でそこでの業の許可を得たといいます。しかし、その約束は全く実行されることなく、ゴミの山は増え続けました。業者の言うままに許可を出し、積まれるままに放置してきた埼玉県の責任は重い……。
ゴミの山に登り、異様な臭いと、素晴らしい?眺望と、めったに出来ない体験をした事務局有志でしたが、所沢各地のゴミの山を測ってみようと張り切って?います……。
東京都環境科学研究所の三好康彦さんをお迎えして、「小型焼却炉」の勉強会を4月15日に行いました。実際に、裁判にかかっている2業者の焼却炉を見ていただいて、その問題点を指摘していただきました。三好さんは各地の焼却炉の差し止め裁判などで、焼却炉の問題点について証言をされたりしている方です。処理能力を過小評価している点、炉の計算の矛盾などを分かり易く教えていただきました。
「焼却炉の処理能力は、炉の大きさによる」という、当たり前のことが、ごまかされ、大きな炉が規制を逃れるために過小評価され規制対象外になっていた例が多々あります。県の言う、「書類上整っていれば許可せざるを得ない」という「書類」が実はおかしなところだらけ、という点を明らかにしていくために、勉強して行くべき事はまだたくさんあります。第2回も近日中に企画予定です。興味のある方は事務局まで。
去る4月5日、(株)新明施設内に、裁判官、書記官数名と弁護士、住民が立入り、施設の様子をビデオ・写真などで撮影、また、マニフェストなどの業に関係する書類を提出させ、コピーしてきました。
これは、住民の「証拠保全申し立て」に裁判所が応じ、「証拠を保全する」目的で、抜き打ちで業者施設へ立ち入ったものです。当日朝9時に裁判所から「証拠保全」手続きをとることが送達され、10時には立ち入り、証拠となるものを提出させる、と、まさに抜き打ちで業者施設へ立ち入ることが出来ました。これは、裁判を起こしたいが、訴訟手続きをとる過程で、その証拠となるものを相手側が改ざん・隠匿する恐れがあると申し立てたときに用いられる手続きです。よく使われる例としては、病院などのカルテを保全するなどに用いられることが多いようです。
(株)新明では、施設内にゴミを積み上げ、スクラバーなどの排ガス処理設備が腐食し穴が空いたまま、周囲には汚泥が流出する、というずさんな操業状態であったことを示す様子を撮ることが出来ました。また、マニフェストは、許可量以上を受けていたことを示す証拠となることが予想されます(現在資料分析中です)。法律で義務付けられていた帳簿類も付けていなかったことなどが分かる、など、様々な収穫がありました。
普段、全く手にすることの出来ない業者の操業の実態を知ることの出来る有効な手段です。今回は「新明問題を考える会」と弁護団で、(株)新明についての証拠保全手続きを申し立てました。参加した人たちは。「普段見ることの出来ない施設の操業状態を裁判官とともにじっくり見ることが出来た。とても貴重な体験だった」「裁判官も、施設内の状態に驚いていたようだった。今後の有効な証拠となることを期待したい」
5月8日午前10時より、浦和地裁にて、県に対して北田商事と(株)新明の許可取り消しを求める行政訴訟の第2回公判が行われました。
この日の参加者は、二件にかかわる原告、傍聴人ふくめて22名。弁護団は鍛冶氏、釜井氏、秋山氏の他数名。県側は2名の代理人弁護士が出席しました。
前回は北田、新明の原告代表からの陳述があり、今回も、こちら側は原告本人による口頭での陳述を希望していました。しかし、裁判長が準備書面のやりとりのみで進行しようとしたため、鍛冶、釜井両弁護士が「陳述の用意をしてきているのだから」と抗議しました。そして、「陳述は前回聞いたからもう必要ない」と強硬に言い張る裁判長に、新明弁護団の中山弁護士が「当事者の納得のいく裁判をして欲しい」と再度要望してくれたため、ついに裁判長から「では、意見として3分」と許可がでました。
意見陳述として立ったのは北浦恵美さん。内容は、施設の集中と汚染状況を詳しく述べたもので、とてもわかりやすく説得力のあるものでした。(書面が欲しい方は事務局まで)
最後に母親としてここで子育てをする不安を訴えて陳述は終わり、裁判長は途中で話を遮ることもできず、結局彼女の話した時間はなんと13分。結果的に当事者の納得のいく裁判になったのでした。たいへんたのもしい、わが弁護団に拍手。今後は書面のやりとりの裁判になりそうですが、あの手、この手を考えて攻めていきたいものです。皆さん、応援してください。
事務局では、北田・新明裁判の弁護士費用、被害立証のための調査費用などを集めていくために、フリーマーケットに出店します。ご自宅にある不要なもの、ありませんか。献品募集中です。*美品に限ります*
連絡先:ekitaura@tk.airnet.ne.jp
・カンパ振込先・連絡先
「北田商事裁判をすすめる会」
郵便振り込み口座NO
00580−8−61874
連絡先:tel 042-943-7226(利岡)
「新明問題を考える会」
郵便振り込み口座(裁判を支える会宛)NO
00190−2−183281
連絡先:tel 042-996-2106(吉野)
今回の公害調停は、公害紛争処理法に基づいて設けられている「公害紛争処理制度」に則り申請されました。裁判などの司法的解決とは異なり、行政の分野において解決を図る制度です。
●私たちの要望
1.焼却施設の使用停止と新設・変更・更新の不許可
2.実態をあきらかにするための各施設の各種情報開示
3.施設内外の土壌・大気・地下水などについてのダイオキシン汚染実態調査と周辺住民および施設内の労働者についての健康被害調査
4.くぬぎ山および所沢インター周辺での汚染土壌の入れ替え、植林等の原状回復措置
●申請人
埼玉県西部地域(所沢・狭山・川越・大井町・三芳町・朝霞・新座・入間など)に居住もしくは通勤・通学していて焼却施設により生活や健康の被害が生じ、またそのおそれがある人
●被申請人
1 くぬぎ山から半径約3km内と所沢インター周辺半径約3km内で廃棄物焼却施設を操業する(していた)47社
2 上記施設の許可権限と監督指導権限を持つ行政当局である埼玉
公害紛争処理制度とは
公害紛争処理制度は、公害紛争を裁判で争った場合、解決までに多くの時間と費用がかかることで被害者に大きな負担がかかり、その救済に問題があったことから生まれた制度です。当事者の経済的負担の軽減が図られ、費用も少なくてすみます。また、事件を処理する過程で、職権による調査、資料の収集などが積極的に行われることが期待できます。
公害紛争を処理する機関としては、国に「公害等調整委員会」が総理府の外局として設置され、都道府県には「公害審査会等」があります。私たちは埼玉県の公害審査会に調停を申請しました。埼玉県の公害審査会は、10名の委員で構成され、その中の3名が今回のダイオキシン調停の調停委員として決まっています。現在、埼玉県の公害審査会で取り扱っている調停は、この1件だけです。
今回のような申請人と被申請者の数が非常に多い大規模な調停は、今までに例がありません。
これまで市民が、国や県や市に何回も陳情や要望活動をしても効果の現れなかった問題ですが、実際の当事者(県・焼却業者・住民)が一堂に会して、公の場で話し合いを持つことができるわけです。
◆事務局では、広報発送、配布、資料収集、印刷、施設見学、ホームページの管理、その他、様々な作業を行っています。興味のある方、簡単なお手伝いなら……という方、ホームページのデータのチェックのできる方、自分の近所の焼却施設の見学がしてみたいという方、何でも結構です。ぜひ事務局までご一報ください。