被申請人県に対する調停案

(全て受け入れられないとの応えでした!)

 申請人らの被申請人県に対する調停案は、以下の通りである。

1 【埼玉県の謝罪】
 被申請人県は、廃棄物対策行政を誤り、埼玉西部地域(以下「当地域」という。)に産業廃棄物処理施設の異常な集中を許し、その結果、当地域にダイオキシン等汚染問題をもたらし、申請人らに長年にわたる苦痛と不安を与えたことを認め、申請人らに対し、心から謝罪の意を表する。
2 【焼却施設の使用停止の措置と今後の新設の回避】
 被申請人県は、申請人らに対し、当地域に過度の焼却施設集中を招き、その結果、歴年にわたり汚染を蓄積させた事実を重く受け止め、
(1)現在使用中の焼却施設について、上記現状及び現在のごみ処理における「脱焼却」の流れに鑑み、できる限り早期に焼却が停止されるよう法律上・事実上の措置をとる
(2)焼却施設の新設について、当地域の上記現状のもと、法令上、被申請人県に課せられた周辺住民の生命、健康維持の責務の行使として、これを回避する施策をとる。
ことを約する。
3 【各種調査の実施】
 被申請人県は、企画、立案、実施及び評価の各局面にわたって申請人ら代表を参画させた上、
(1)被申請人会社らの個々の焼却施設内外の土壌・大気・地下水等について、ダイオキシン類等有害物質による汚染状況及び汚染源解明の調査を実施すること
(2)被申請人会社の焼却施設周辺の住民及び同施設で働いている労働者について、血液・毛髪・母乳等のダイオキシン類等有害物質の調査及び健康被害調査を実施すること
を約する。
4 【汚染土壌の入れ替え、植林等の原状回復】
 被申請人県は、申請人らに対し、くぬぎ山及び所沢インターチェンジ周辺での汚染土壌の入れ替え、植林等の原状回復措置をとることを約する。
5 【ごみ山の早急な撤去】
 被申請人県は、申請人らに対して、廃棄物の山(いわゆる「ごみ山」)について、直ちに調査に着手するとともに、当該廃棄物処理業者及び排出事業者に対する撤去の指導、措置命令、代執行、廃棄物処理業の許可取消及び刑事責任の追及等のあらゆる法的手段を用い、すみやかな撤去に向け最大限の方策をとることを約する。
6 【ごみ山の汚染等調査】
 被申請人県は、上記ごみ山撤去の措置と平行して、その組成物、重金属類等汚染物質の内容や、周辺環境への汚染調査を行うとともに、ごみ山が完全に撤去されるまでの間、火災、崩落、悪臭等により周辺環境に被害をもたらさないための防止措置を実施する。
7 【その他の方策】
 被申請人県は、申請人らに対して、当地域における上記現状に鑑みると、焼却以外の方法による産業廃棄物処理業、施設についてもその集中を許すべきでないことから、現在でも産業廃棄物が首都圏から大量に所沢周辺に流入しており、地理的条件等から今後もそのようになり易い特性を深く見つめ直し、今後、廃棄物の流入規制、産業廃棄物処理に対する特別の税制その他あらゆる方法によって、廃棄物の当地域への流入を将来にわたり継続的に防止する措置を真摯に検討することを約する。
以上