やったぞ、第一グループとの調停成立!

[*第1グループ=自社工場の焼却炉をすでに廃止した被申請人企業]

1998年12月に所沢周辺に集中立地する焼却炉群の設置業者47社及びそれを許可、監督指導権限を持つ埼玉県を被申請人として、@焼却停止、A情報開示、B実態調査、C原状回復を求めた公害調停を申請して以来3年。申請人は4000人を超えました。この間、調停期日は20回を数え、規制強化、社会問題化したことに加え、私たちの願いを受け入れ焼却を停止した業者が30社を数えました。2001年11月28日、この焼却を停止した業者のうち、自社処分を行っていた企業7社と先行して一部調停を成立させました。これについての、弁護団見解、及び申請人の意見収集を担った「公害調停をすすめる会」事務局代表の前田俊宣氏の報告です。
一部調停成立とはいえ、まだ、約30社、そして埼玉県との調停へ向けての話し合いが残っています。これからも調停へのご支援をお願いいたします。


●第一グループ」との調停成立と弁護団の見解●

 秋山 努(申請側代理人弁護士)

 11月28日、被申請人会社のうち7社との間での調停が成立しました。公害調停を申し立てて早3年近く、一部の被申請人についてですが、終局的な調停としての戦果が得られ、大変感慨深く思います。
この7社とは、自社処分で焼却を既に停止しているものです。もはや、その敷地内で産業廃棄物処理をしていない会社ですから、被申請人会社の中では、比較的、汚染に対する関与が少ないといえます。

 調停委員会は、多様な立場にある被申請人会社をひとまとめに進めるのは困難であることから、立場に応じたグループ分けをし、調停が可能な被申請人会社については調停を積極的に進めたいと要望していました(昨年末のご報告で申し上げました)。そこで、これらの会社との間では、今後生じうる危険を回避するための手段が担保された内容の調停を成立させ、主たる問題の被申請人ら(劣悪業者が多数あります)に審理を集中させるべきと判断しました。

 もちろん、現時点では判明していない汚染等が発見された場合には、これら7社にも責任ある対応をしてもらわなくてはなりません。そこで、調停条項には、申請人は、今後も、資料の開示・立入調査・土壌採取の機会が得られることを盛り込んでいます(ただ、現実的にはこの条項を発動する機会は少ないと思います。我々としても、それを祈ります。)。現に、数社は調停成立前に資料開示や弁護士・申請人らによる立入り、敷地内の土壌の採取に快く応じました。
これらを先例として、とくに焼却を続行中の会社も、紳士的な資料開示・調査協力をするのが「常識化」してゆくことを望んでいます。

 次の課題としては、廃棄物処理業者で既に焼却を停止している各会社との間での調停が検討されています。しかし、これら業者は過去の焼却で深刻な汚染を引き起こしている「主犯」である可能性があり(敷地周辺での超高度の土壌汚染が発覚したクマクラなども含まれます。)、調査要求に抵抗を示すことも予想されます。
したがいまして、一部被申請人会社との間で調停が成立しましたが、公害停全体としては、これからが正念場と捉えています。

11/29 読売朝刊

▲第1グループとの調停成立を報じる記事
[*第1グループ=自社工場の焼却炉をすでに廃止した被申請人企業]



◆公害調停の運動面からの報告◆

公害調停をすすめる会事務局
前田俊宣

 公害調停の申請から3年が経ちます。申請当初、公害調停には多くの意義付けがなされましたが、そのひとつに、迅速な問題処理がありました。一日も早く、私たちに不安な毎日をもたらしたダイオキシン汚染の状況を何とかしたいとの願いが、4000人を超える申請人の大結集となりました。2002年(平成14年)12月のダイオキシン対策の本格実施までの4年間の経過措置に対して、いかに迅速に所沢周辺の対策を取らせるかということが、私たちの公害調停の課題でした。

 47社もの焼却施設の密集状況が、様々な経過を経て、現在は16社にまで減少しました。焼却炉数にして62炉が、22炉にまで減りました。所沢周辺で、焼却を止めたこれらの施設のほとんどは、私たちが公害調停の対象とした焼却施設です。完全勝利には程遠いですが、成果はあがっています。各種の一般環境調査の結果も、この3年間の大気中のダイオキシン濃度の低下を報告しています。

 これからの公害調停では、これまでの成果をきちんと成果として法的に確認し、この地域に再び焼却施設の密集が起きないような枠組みを作ることが重要だと思います。具体的には、焼却を止めた業者とは、和解の作業を進めながら、少しでも住みよい環境を維持するための調停条件を追求してゆくことになると思います。

 一方、どうしても焼却を止めようとしない業者に対しては、公害調停の限界を探りつつ、新たな裁判による焼却停止の運動を提起することが必要になってきています。〈クリーンサービス〉や〈新明〉などの業者が焼却を止めたのは、公害調停から発展して裁判にまで盛り上がった周辺住民の皆さんの粘り強い戦いがあったからです。今なお焼却を続ける施設に対しては、焼却を続ける施設周辺に住む住民の皆さんとの連携をさらに深めてゆく必要があります。運動には広がりよりも、深まりが必要になってきています。