1999.9.27
埼玉西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会
事務局代表 前田俊宣
所沢周辺では、約60炉もの産業廃棄物焼却施設が密集して立地し、首都圏の産業廃棄物が大量に持ち込まれ、山積みにされ、安易に燃やされている、という現状があります。そのことによる環境汚染が心配され、最近ではダイオキシン汚染野菜報道によって、当地域の農家が大きな被害を受け、全国的な問題となりました。
この地域に持ち込まれるゴミを大量に排出する企業は、この問題の解決に大きな責任を持つと私たちは考えています。
所沢周辺にある法規制対象の産業廃棄物焼却施設設置者25社が県に提出した処分実績報告書(H9年度)に記載された、排出者、廃棄物種類、量を当会にて集計した結果判明した多量排出者100社に対し送付した公開質問状の結果をまとめました。
尚、処分実績報告書集計の結果及び、公開質問状の回答結果は、全て、インターネットで公開しています。
さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会のホームページ
URL : http://www3.airnet.ne.jp/dioxin/
1 実施時期 7月20日発送 8月末日回答締め切り
2 質問事項・
委託量、焼却量、集中地域で燃やされていることについて、施設管理確認事項、
公害調停協力事項、県外物持ち込みについて、見学会参加有無、公開について
3 回収率
回答企業 34社/128社発送 26.5%
ゼネコン;鹿島建設(1)、清水建設(3)、竹中工務店(4)、熊谷組(5)、大成建設(6)、戸田建設(7)、飛島建設(14)、東急建設(20)、錢高組(27)、真柄建設(32)、淺沼組(44)、大木建設(48)、安藤建設(53)、村本建設(76)、三井建設(83)、長谷工コーポ(88)、フドウ建研(85)、日立プラント建設(89) *(
)内数字は委託量順位
ハウスメーカー;三井ホーム(29)、住友林業(62)、日本ホームズ(87)
解体・収集運搬業者;大空土木(2)、京葉興業(12)、協立商事(18)、松崎商事(97)、村上工業(71)
土木業者;日本道路(95)、湊川建設(23)、高陽土木(106)
その他;東武百貨店(10)、帝京大学付属病院(64)、丸美屋食品(67)、コニカ(78)、東京都水道局羽村取水所
4 回答結果
【委託量】
鹿島建設(1)、大空土木(2)、清水建設(3)、竹中工務店(4)、熊谷組(5)、大成建設(6)、東武百貨店(10)、京葉興業(12)、飛島建設(14)、東急建設(20)、真柄建設(32)、大木建設(48)、丸美屋食品(67)、湊川建設(23)、高陽土木(106)
・委託量報告が業者報告より多かったところ
錢高組(27)、三井ホーム(29)、淺沼組(44)、安藤建設(53)、住友林業(62)、村本建設(76)、三井建設(83)、日本ホームズ(87)、長谷工コーポ(88)、日本道路(95)、
・委託量報告が業者報告と同じだったところ
協立商事(18)、コニカ(78)、フドウ建研(85)、日立プラント建設(89)、東京都水道局羽村取水所
・委託量を答えなかったところ
戸田建設(7)、帝京大学付属病院(64)、村上工業(71)、松崎商事(97)、
【焼却量】
鹿島建設(1519t)、大空土木(5.23t)、飛島建設(23.4t)、真柄建設(80.1t)、大木建設(58.9t)、 安藤建設(928_)、三井建設(379.36t)、日本道路(4.7t)、東武百貨店(8.5kg)
竹中工務店、京葉興業、協立商事、帝京大学付属病院
コメント 排出企業が報告する委託量と処分業者が報告する委託受け量と食い違う例が多かった。正確な委託量、処分量、焼却量を把握する方策を求める必要がある。焼却量については業者報告による推計を報告しており、信頼できる数値であるか疑問。また、焼却されていない、と答えたところは、どのような確認を行ったのか不明。
【集中地域で燃やされていることについてどのように考えるか】
各企業とも、分別の徹底やリサイクル促進により、焼却量削減の努力をする、と回答。密集地域外への委託を検討する、等の回答もあった。
鹿島建設
3R運動の推進により埋立・焼却量を減らしていくことが排出事業者として最も重要な責務。しかし、どうしても発生してしまう混合廃棄物は優良処理業者への処理委託により、更に選別、リサイクル、適正処理を図ることが必要。東明興業を優良業者と判断し、その処理を委託している。東明興業の焼却施設については、法規制値(排煙中ダイオキシン類濃度)はクリアしているが、同社の焼却施設の停止に向け協力していきたい。
竹中工務店
現場分別を行い、品目毎に排出することによりリサイクルを推進。全てリサイクルしており、焼却はしていない。
大空土木
できることなら燃やさず全量リサイクルしたいが現状の利用先でも再利用できるものが限定されるためやむを得ずどうにもならないものだけを燃やすよう心がけている業者へ搬入するようにしている。
東武百貨店
本年9月以降、貴地域の環境に配慮し、貴地域の焼却施設には焼却処分の委託をせず、貴地域外の処理施設に処分を委託します。
【協力事項】
焼却停止に協力;鹿島建設、竹中工務店、熊谷組、大成建設、錢高組、真柄建設、淺沼組、安藤建設、村本建設、コニカ、三井建設、日本ホームズ、日本道路、
既に持ち込みをやめた;東武百貨店、帝京大学付属病院、松崎商事
当地域に持ち込まないよう努力;東急建設、熊谷組
情報公開;鹿島建設、大空土木、熊谷組、大成建設、京葉興業、飛島建設、東急建設、錢高組、大木建設、安藤建設、丸美屋食品、長谷工コーポ、湊川建設、フドウ建研、高陽土木
実態調査;大空土木、協立商事、三井ホーム、コニカ、湊川建設、日立プラント建設
コメント 焼却停止に協力すると答えた企業が多かった。多くのゼネコンが委託する1業者が焼却停止をする意向を示しているという。また、周辺環境を考慮し、既に持ち込みをやめた、とする企業も3社。公害調停の進み行きにより、協力を検討、とするところもあった。
【確認事項】
コメント 確認は未だ不十分。温度記録など施設へ行って直接確認する体制がとれているか疑問。排出者が業者処理状況を常に確認するべき。
【県外物の持ち込みについて】
いくつかの企業が、発生地域に十分な処理施設がないことを所沢周辺施設に持ち込む理由としてあげていた。また、委託業者の分散を今後検討する、としたところもあった。しかし、基本的には、発生抑制、リサイクル推進によって対応する、とするところが多かった。
以下は企業の回答内容
鹿島建設
弊社が委託している廃棄物の大半は都内で発生。都内に十分な処理施設がなく他県で処理せざるを得ない状況。排出事業者としては、排出廃棄物を削減、分別の徹底、リサイクルを推進することにより埋立・焼却量の削減に努めることを第一と考える。どうしても発生する混合廃棄物については、いくつかの優良な処理業者に処理委託することにより、過度な廃棄物の集中を避け、周辺住民の方々への影響を極力努める所存です。
熊谷組
排出事業者として副産物の処理を業者に委託することになる。委託先の処理方法、処理の質等については、地域、業者により大きな格差があり、場合によっては地域住民の生活環境に影響を与えることが十分に考えられると認識。
従って当社としては貴地域における主な委託先である(株)大進興業に対しては、環境への影響が大きいと懸念される焼却炉を停止し、リサイクル可能な副産物を仕分けする「選別施設」に変更するよう要請しているところであり、実現するまでは所沢工場への排出を極力抑えている。また東明興業に対しても焼却を控えるべく要請すると同時に、排出量も抑えている。
大成建設
建設廃棄物は発生する市内・都県内で処理を完結させることは非常に困難であり、他市・他県に移動し処理せざるを得ない状況。とはいえ、所沢周辺の環境が焼却によって大きな影響を受けている事態は認識しており、現行の法規制に適合しない焼却施設については施設停止などの措置を早急にとるべき。
当社の取り組みとしては発生抑制・分別・再資源化を一層進め焼却・埋立処分の量を減少させることが重要。
丸美屋食品
県内の廃棄物のみとし他県からの持ち込み規制。また、処理業者による基準値以下の処理施設の確立を行政指導で規制を強め被害大にならない処理を望む。
三井建設
関係法令並びに埼玉県の県外産廃の適正処理に関する指導要綱による事前協議を遵守し、行政の指導に従い、廃棄物の排出抑制、リサイクル化を推進し適正処理に努めるよう支店並びに作業所に指導。
地域の生活や農業・環境に大きな被害が生じているのであれば、焼却施設の改善などを行う必要があると思う。
【現地見学と周辺住民との意見交換会】
参加すると答えた企業;鹿島建設、大空土木、清水建設、熊谷組、大成建設、協立商事、東急建設、錢高組、真柄建設、淺沼組、大木建設、安藤建設、丸美屋食品、長谷工コーポ、日本道路、村上工業、日立プラント建設、高陽土木
不参加と答えた企業;竹中工務店、東武百貨店、京葉興業、飛島建設、三井ホーム、帝京大学付属病院、村本建設、コニカ、三井建設、松崎商事、湊川建設、フドウ建研
回答なし;戸田建設、住友林業、東京都水道局羽村取水所
コメント 多くの企業が見学会に参加すると答えたのは住民として歓迎。是非、当地域の状況を住民とともに見てほしい。10月に現地見学会を企画予定。参加を募りたい。
【集計及びアンケート結果公開について】
是定的・・・ 協立商事、村上工業、日立プラント建設、高陽土木
異存なし・・・鹿島建設、清水建設、竹中工務店、熊谷組、大成建設、京葉興業、飛島建設、東急建設、錢高組、三井ホーム、真柄建設、淺沼組、大木建設、安藤建設、丸美屋食品、村本建設、コニカ、三井建設、日本ホームズ、長谷工コーポ、日本道路、松崎商事、湊川建設、フドウ建研
否定的・・・ 東武百貨店、帝京大学付属病院
事実を公開してほしい・・・大空土木
無回答・・・ 戸田建設、住友林業、東京都水道局羽村取水所
コメント 公開には異存なし、とする企業が多く、廃棄物処理に関する関心の高さを反映していると考えている。