「ごみ山火災損害賠償請求訴訟」について   2002.11.25

 2002年4月3日、所沢市南永井の産業廃棄物処理業者(株)新明が保管場に高さ約15mに積み上げた「ごみ山」から出火、大規模な火災を起こしました。敷地いっぱいに積まれた大量のごみ山が燃え上がり、消火活動は困難を極め、有害物質を含んだ大量の煙、灰が周辺に飛散し続け、19日間にわたりくすぶり続け、周辺に甚大な環境被害を及ぼしました。
 この火災の延焼により、隣接工場有限会社 三王精密ネジ製作所(本間峯雄社長)が全焼。工場内の製造機械数十台も焼け、使い物にならなくなるという、多大な被害を受けました。(株)新明は火災保険に入っていなかったため、今後の工場再建に要する費用回収の目途は全く建っておらず、火事跡場を片づけることもままならない状況です。
 今回、有限会社 三王精密ネジ製作所では、火災を引き起こしたM新明を始めとする原因者に対し、被害の補償を求める損害賠償請求の裁判を提訴することとしました。裁判の進行状況については今後、随時報告していきます。

「ごみ山火災損害賠償請求裁判」の概要
1,提訴期日:2002年11月25日 さいたま地裁民事部
2,被告
1) M新明、M新栄、代表者 金貞雄氏

M新明は所沢市南永井窪野487番において、産業廃棄物保管施設を有し、業として産業廃棄物の収集運搬業(保管を含む)を行ってきた会社。「保管」と称し、2年以上産業廃棄物を運び込むのみで出すことのない状態を続け、約9000m3のごみ山を築き、2002年、ごみ山火災を引き起こすに至った。M新栄は新明と実質的に同一会社。同様に収集運搬業を行い新明敷地に廃棄物を運び込んだ。
2) 埼玉県
被告埼玉県はM新明に対して廃棄物処理法その他法令上の規制権限(許可、監視、指導、命令など)を有する。
3) 排出企業6社 (日本通運M、Mオリンピック、和光堂M、Mノバ・マネキン、Mインテリア・タマ、五光産業M )
本件火災に至るまでM新明に対してゴミを委託し続けた排出企業。大量の廃プラ。和光堂のベビーフードが封を開けられた状態で放置され、そこから大量に蠅が発生し悪臭を放ち腐敗していました。大量の廃プラゴミが山と積み上げられた状態が2年間続きました。

3,原告
有限会社 三王精密ネジ製作所、本間峯雄代表取締役、本間しげ子、本間一孝
 新明敷地に隣接し精密ネジ加工業を営んでいた有限会社。上記ごみ山火災により全焼。

4,請求額 90,788,810円

5,請求の主旨
 原告 有限会社 三王精密ネジ製作所らは、新明敷地に隣接し精密ネジ加工業を営んでいたが、2002年4月3日のごみ山火災によって、延焼、工場及び工場所有各精密機器等が全て焼損した。
焼損した工場

 被告M新明は敷地面積3000m2いっぱいに高さ10mを越すプラスチック、マットレス、ビニール類、スプレー缶等の可燃性不法堆積物を積み上げた上、放置、火災発生防止措置を何らとらず、上記火災を引き起こし甚大な被害をもたらした。

 被告埼玉県は、度重なる住民の苦情申立にも関わらず、明白な保管基準違反であるM新明のごみ山に対して、効果のない「口頭指導」を繰り返し、必要な規制権限の行使(事業停止、許可取消、措置命令等)を怠ってきた。

 被告日本通運他5社の排出事業者は、被告新明が保管基準に違反し、ごみ山を築いているにも関わらず、漫然と放置し、廃棄物の処理を委託し続けたため、本件火災を引き起こした。廃棄物処理法により、マニフェストにより、処分状況の把握、生活環境保全のための適切な措置を講ずべき義務が定められていたにも関わらず、廃棄物のごみ山をみすみす放置、増大してきた。

  本件火災は、産廃業者と、産廃業者を監督すべき県と、産廃業者に廃棄物を委託する排出事業者の3者が、それぞれ自らに課されている義務を怠ったため、起きるべくして起きた人災と言わなければならない。これによって、原告らは、生計手段の大部分を失うという甚大な損害を被った。そして、被告新明を含む、所沢市周辺の産業廃棄物関連施設の大規模なゴミ山は、判明しているだけで計6つに達するのであり、いつ本件火災と同様の事態になってもおかしくない状態にあるにもかかわらず、被告埼玉県は、必要な規制権限の行使を怠り、また被告日本通運ら排出事業者は、依然として杜撰な産廃業者に廃棄物を委託し続けた。被告らは、原告らの被害を救済しようとしないばかりか、自身らによって原告らに甚大な損害を与えたことについて全く反省するところがない。
かかる経緯を踏まえ、原告らは、新明、新栄、金貞雄に対してはもちろん、必要な規制権限の行使を怠った埼玉県と、杜撰な産廃業者に廃棄物を委託し続けてきた排出事業者らに対し、損害賠償を請求するものである。

◆◆◆  ◆◆◆
 新明、県、排出事業者らの行為によって、本間さんらは工場再建の目途がたたないという重大な損害を受けましたが、救済の目途はたっていません。この被害について、これまで新明の悪質な操業を見てきた周辺の住民らでホームページやチラシなどでカンパを呼びかけ、訴訟の準備をすすめてきました。
 これら埼玉県と各企業の責任を問い、2度とごみ山が積み上がることを許さない地域にしていきたいと考えています。
訴訟支援のためのカンパを引き続き募集しています。
   振込先:郵便振替口座
      口座番号 00580-3-76145
      口座名 「ごみ山被害対策市民の会」
 振込の際に、「ごみ山火災被害者訴訟支援カンパ」と明記の上お願いいたします。
 連絡先:北浦恵美 ekitaura@tk.airnet.ne.jp FAX:042-943-7582