ごみ山対策続報
●県がごみ山対策を強化することを発表しました
ごみ山被害対策市民の会では、新明火災発生以降、県に対して、ごみ山対策を要望し続けてきました。2週間に1回、県庁廃棄物指導課、ダイオキシン対策室の担当者と交渉を行い、まず、新明の火災後に残るごみ山の撤去、また、このような被害を繰り返させないための行政の施策、県内各地に残るその他のごみ山の撤去対策について要望し、行政の動きを聞いてきました。7月16日には第6回目の交渉を行いましたが、その席で、埼玉県が、「ごみ山対策について」の緊急対策をとることとなった報告がありましたので、簡単に紹介します。
県は、県内各地の不法投棄や保管と称する悪質な廃棄物の山積み(3000m3以上に上るごみ山は69箇所)を絶対に許さないという決意の下に、未然防止と今ある山の撤去・環境保全のための緊急対策を講じる。
●合同監視班(環境、農林、県警、市町村)を編成し、早朝、夜間を含めた監視体制の整備。
●火災や崩落の危険性など県民生活に重大な支障を来すような緊急性のあるごみ山については、措置命令、告発を行うとともに、やむを得ない場合には、県と市町村などが協力して撤去することも視野に入れながら対応を図る。
●撤去指導対象として、行為者、排出者、土地所有者への強力な指導、告発、措置命令などを行う。
県内69箇所あるごみ山は所沢周辺から県北地域の関越道周辺に集中しています。これまで、繰り返し県の指導体制の不備を指摘し、より効果のある対策を要請してきました。今回、ごみ山に対して効果のない口頭指導に終始してきた県が、明らかに方針を変え、法的措置をとる方向を明確に打ち出しました。流れ込む大量の廃棄物が不法放置を阻止するための対策が本格化されるよう、今後も引き続き訴え続けていきたいと思っています。
次回県交渉は10月15日(金)10時からです。
4月に火災を起こし、その燃え滓(ごみ山)を敷地内に放置している南永井の事業者M新明に関する続報です。県はM新明に対し、残されたごみ山を撤去するよう、措置命令を出す方針を発表しました。それに先立ち、新明に対して、既に収集運搬業の許可取消を行いました。現在残る火災後のごみ山は約9000m3と試算されています。暑い夏を迎え、残されたごみ山では、悪臭、害虫の発生、さらには、再火災の危険さえあります。早急な撤去を求めていく必要があります。
措置命令は、廃棄物処理法に基づき、ごみ山を積み上げた事業者などに対し、期限を付した上で生活環境保全上の除去を命ずるものです。期限内に措置命令対象者(今回の場合は新明)がごみ山の除去を講ずる見込みがないときは、行政が代執行(代わりにごみ山を片づける)を行い、その費用を事業者に請求することになります。新明は既に倒産状態であると繰り返し行政に対して申し出ており、ごみ山を片づける見込みがないときにあたることが予想されます。しかし、周辺の環境影響が甚大でありごみ山を早急に撤去することが必要であるとの判断から、措置命令を出す方針とりました。
M新明のごみ山では、いくつかの排出事業者が判明しています。排出事業者とはM新明にゴミの収集運搬を委託していた事業者です。ごみ山の現状を排出事業者は知り得たはずです。M新明の現地を見れば明らかであり、マニフェスト(廃棄物管理票)からも、自分の出したゴミがきちんと処理業者に廻され、処理が行われたかどうかを確認することが既に法律で義務付けられています。この確認がきちんとなされていなかったと考えられます。また、排出者が適正処理に充分な費用を負担していたかどうかの確認も必要です。新明は安価な料金で多量の廃棄物を引き受けていた疑いもあります。
新明は処理に廻す意志のないまま、自社敷地内にゴミを受け入れるだけ受入、ゴミ山を積み上げ、その後、会社を倒産させました。。そのような事業者にきちんとした適正処理を確認することなく委託した排出事業者の責任は追求されなければなりません。新明は東京でも収集運搬業の許可を取っており、その殆どが東京の企業です。措置命令対象者には、排出事業者も加えることが可能になっており、今後、県に対し、排出事業者に対する措置命令を出すことも求めていきます。排出事業者責任を追及することが、今後このような被害を繰り返さない有効な方法です。
同時に、今後、2度とこのようなゴミの山積みを許さない行政の施策もまた必要です。現在既にあるごみ山では、排出者も不明であったり、事業者や地主も資力を持たず、公費を使って撤去することはやむを得ない状況がありますが、私たちの税金で次から次へ出来るゴミ山を片づける羽目になってはなりません。今後は、ごみ山の元となっている排出事業者の責任、事業者の責任をきちんと追及し、ゴミを積み上げさせないために速やかな法的措置をとることを要求し県行政の失策を許さないことが必要です。