2002年4月9日
埼玉県知事 土屋義彦様

「ごみ山」火災被害についての要望書

ごみ山被害対策市民の会 北浦恵美
(株)新明問題を考える会 吉野きよ子
さいたま西部ダイオキシン公害調停をすすめる会 前田俊宣

既にマスコミなどで報道されているとおり、2002年4月3日、正午過ぎ、所沢市南永井の産業廃棄物処理業者(株)新明が保管場に堆積した高さ15mに及ぶ「ごみ山」から出火、大規模な火災を起こしました。周辺に引火し、隣接する工場が全焼するという重大な被害が生じました。敷地いっぱいに積まれた大量のごみ山が燃え上がり、消火活動は困難を極め、有害物質を含んだ大量の煙、灰が周辺に飛散し続け、現在も完全に消火することなく、くすぶり続けています。大量の放水はいわば大量の焼却灰に汚染され、周辺に流出しました。周辺環境への被害は測りしれません。
 「新明」に対する県の指導状況は、といえば、2000年頃から積み上がり始めた明らかな保管基準違反であるゴミの山に対して、立入の際に、効果のない「口頭指導」を繰り返すのみであり、結果的には、ゴミの山は拡張増大を続け、大量の廃プラスチック、ビニル類、マットレス、等を中心とするゴミが約3000m2の敷地一杯に15mの高さにまで積み上げられるという状況を招きました。その間、業者は県の許可により、ごみ山を積み上げ続け、県もそれを放置し続けたわけです。今回の火災により、隣接工場が全焼するという重大な被害が生じました。「ごみ山」が単なる保管基準違反にとどまらず、周辺の環境、周辺住民の生命・身体・財産の安全にまで影響を及ぼすことを改めて認識されたい。
所沢市周辺に数多くある「ごみ山」による、周辺への被害、火災の危険は、所沢市周辺における切実な問題であることを、これまで私たちは再三・再四にわたり調停の場や、要望、苦情申立などにより県に対し指摘し続けてきました。これら殆どが、埼玉県の許可した業者が「保管」と称して積み上げてきたゴミの山であるからです。業者に対する法的根拠のある是正命令、措置命令、代執行等の手段を用いることによる、早急なごみ山撤去対策の必要性を指摘してきました。実際に1999年以来、私たちが把握しているだけでも、所沢周辺にあるごみ山の大規模な火災はこれで3度目であるのです。
ところが、今回の新明の事実が示すとおり、県は何ら効果のある対策をとらず、これらの訴えを無視し続け、ごみ山を放置し続けました。この県の姿勢は理解し難く、今回の火災についても、埼玉県の責任は重大であると考えざるを得ません。
今回の火災被害対策、被害状況の把握を徹底的に行い、以上の様な被害を2度と繰り返すことなく、今後、適正な県の監督権限の行使をされるよう、以下のことを要望いたします。


1,今回の周辺の火災被害者支援対策をとること
2,今回の火災による周辺環境の汚染影響の調査、敷地内の汚染調査に早急に取り組むこと。
3,現在、火災後に燃え残り、積み上がっている新明敷地内の高さ10m近くに及ぶ「焼却灰状態となったごみ山」の撤去対策を早急にとること
4,所沢市各地に存在するごみ山の早急な撤去対策に取り組むこと
5,新明を始めとする保管基準違反のごみ山を積み上げる業者に委託した排出者を緊急に調査し、公表すること
6,各地のごみ山調査には、周辺住民の意見を聞き、ゴミの山の内容、規模、周辺環境への影響を調査し公表すること。
以上
以上の件について早急に文書にてお返事下さい。