円卓会議は、「市民が作る政策調査会」が主催し、環境庁、厚生省の担当課長補佐らを招き、コーディネーターとして、民主党国会議員が参加し、所沢市民と所沢のダイオキシン問題について討議したものです。ここでは、円卓会議の問題提起として、当会が作成に関わった資料をのせています。会議議事抄録等、詳しいものは市民政策調査会のホームページをご覧下さい。

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2回目の所沢ダイオキシン問題円卓会議98.11.9 議事録(99.3.8new)

所沢ダイオキシン問題円卓会議(98.5.20)

1. 所沢における廃棄物焼却施設立地状況

 現在所沢周辺には産業廃棄物焼却施設46炉、市町村焼却施設17炉(6市町村)が立地している。特に北部のくぬぎ山周辺(産廃26炉、一廃3炉)と東部の所沢インター周辺(産廃19炉、一廃8炉)に極端に集中しており、周辺の環境悪化が懸念されているところである。これは、これまで、周辺環境への配慮や、なんの地域計画もないまま、個々に許可がなされてきたため、建てやすい地域に集中してしまったという状態である。特に、産業廃棄物焼却施設では、ダイオキシン排出濃度規制値も10ng/Gと緩い200〜2000kg未満/hの小型焼却施設が34/46炉と大半を占め、今後、これらの小規模施設の動向が当地域の環境改善に大きく影響を及ぼしていくことが予想される。

2. 当地域に対する今後の法規制の効果

 今回の法改正により各施設の排出基準の濃度規制値が設定され、処理基準、構造基準なども強化されることとなった。しかし、既存施設については、5年の猶予期間があること、また、改善のみの変更については届けのみでよいとなったことなど、当地域のように小規模施設が既に多数集中して立地し、既に汚染が進んでいる地域においては、有効な対策とはならないことが危惧される。

 特に、施設が集中している所沢市東部、北部地域においては、このまま各既存施設が個々に改善をし、施設の集中立地が改善されないままでは(既に1施設が改善変更、1施設が許可、3施設が申請中、30業者ほどが改善の方向を相談中とのこと)、周辺住民の生活環境は以下の理由により、ほとんど改善されないことが予想できる。

ア) 各小規模既存焼却施設が、80ngの濃度基準を猶予期間中に守ったとしても、総量としては相当量のダイオキシンが発生してしまうこと。また、5年後の基準値が守られたとしても、濃度規制値が10ng/Gと高い小規模焼却施設が大半を占めることから、なお多量のダイオキシンが発生してしまうことが予想されること。また、施設数が多いことで、個々の施設の立ち上げや埋火時に発生するとされるダイオキシン量も多量に上ることが懸念される。

イ) 年1回の濃度測定では、実効性が信頼できないこと。

 例えば、所沢市焼却炉B炉においては1994年の測定では10000ng/NG だったが、その後施設になんの変更もないのに、運転状況により97年測定結果では9.5ng/NGまで抑えられている。このことは、測定時の運転状況次第で、ダイオキシン量がかなりコントロールできることを示唆している。

エ) 猶予期間中の各施設の対応について、殆ど把握されていないため、改善の方向のない焼却施設が5年間、操業を続けることがあり得ること。

オ) 施設数が多く、監視体制が整っていないこと(実効力のある立ち入り調査等が不十分)、処理基準違反があっても改善命令さえなかなか出されない現状であること。

 これらの現状を改善するために以下のような対策を取ることを提案する。

3. 改善の提案

1) 許可における産廃焼却施設の立地規制について

ア)  一定地域における排出ダイオキシン総量の上限を設定し、その基準を遵守することのできる規模の焼却量、排出ガス量、施設数を考慮した立地規制をとる。また、各施設における焼却量を把握し、適正規模に抑えるために各施設に搬入される廃棄物の量を管理し、流入規制を実施する。

イ) 一定地域内(半径1〜5km以内等)に各規模に応じた焼却施設の併設の禁止

  半径5km以内  100t/日以上の施設の併設を禁止

  半径3km以内  50〜100t未満/日の施設の併設を禁止

  半径2km以内  25〜50t未満/日の施設の併設の禁止

  半径1km以内  25t未満/日の施設の併設の禁止・・・等

ウ) 県の監視が行き届く範囲の施設数に抑えること

エ)既存施設の改善変更の際にも、周辺の生活環境調査などを実施し、環境指針値を達成できない等、既に環境悪化の影響が見られる地域については焼却炉を減らしていく方向を打ち出す

2)ダイオキシン類排出の総量規制について

 5年後までの間に排出が予想されるダイオキシン量は相当な量であり、それを許容することはできないというのが、周辺住民の一致した見解である。国の排出濃度規制の既設炉に対する猶予期間中のダイオキシン発生を抑える緊急対策が必要であると考える。

ア) 緊急の焼却量の規制、ダイオキシン排出総量の規制

イ) 改善の目途を立てない施設に対する焼却停止の指導

ウ) ア)を実施するために、当地域の詳細なダイオキシンシミュレーションを実施し、今後の影響を予測する

4. 個別事例について

 これまで所沢周辺3業者((有)協和産業、ヤマ商物産(株)、(株)木下フレンド)の改善変更の申請について県から説明を受けたが、それらに対する我々の感じている問題点を以下に列挙する。

ア) (有)協和産業とヤマ商物産(株)については、土台を残すのみで、ほとんど全施設の建て替えであり、新設と同然のものではないか、(これまでの設備では構造基準などに合致できないためか)と指摘してきた。

  新設と改善の解釈如何では、生活環境影響調査や許可判断、濃度規制値等、かなり法規制のかかり形も変わってくるものであり、どの様に解釈すべきと考えるか伺いたい。

イ) 協和産業、ヤマ商物産についてはこれまで、不適正処理が指摘されてきた業者であり(別紙のとおり)、今後の適正処理が本当に保証できるのか、疑わしい。

ウ)(株)木下フレンドについては、申請された焼却炉の構造自体に、ダイオキシン対策について不十分な点が見られ、容認しがたいものである。

エ)当地域の全体の改善計画もなく、また、周辺住民の生活環境影響の詳細な把握のないままの許可は周辺住民にとって容認しがたいものである。

  個々の施設の周辺住民の生活環境影響調査を実施した上で、今後の計画として、当地域全体のダイオキシン排出総量を限りなく減らすための施策の説明をしていただきたい。

 これらの改善変更申請がこのまま許可されていけば、今後他の多くの施設の改善も申請され、許可をとっていくことが予想される。3月末の省令改正において改善のみの変更は許可届けのみでよいとなったが、当地域においては、今後多くの問題を残すものであると考える。

 また、県で聞いたところによると、上記業者の申請受理にあたっては厚生省に問い合わせ、対応の方向を確認したということであるが、以上の私たちの見解についてどの様に考えるか、ご回答をいただきたい。


これに対する環境庁、厚生省の回答は、
厚生省「施設の改善をすることは悪いのですか」
環境庁「所沢周辺の環境が特に悪いという認識が正しいのかどうか疑問がある」

 の2言につきたようです。しばらく、彼らのこの言葉が頭の中でリフレインする、という最悪の状況がありましたが、気を取り直して、近日中に第2回をやる予定です。