調査主体:埼玉県

平成9年度環境大気中のダイオキシン類調査結果について

  平成9年度に実施したダイオキシン類環境汚染実態調査のうち、環境大気中のダイオキシン類濃度調査結果がまとまりましたので報告します。

 1 調査目的
 ダイオキシンによる環境汚染について県民の不安が高まっていることから、県内の一般環境中のダイオキシン類濃度を把握することを目的として調査を実施した。

 2 調査内容

 (1) 調査地点
 調査は埼玉県内6地点で実施した。調査地点を表−1に示した。
 調査地点の所沢市は畑地、住宅が混在し、戸田市は準工地域、草加市は工業団地内で、上尾市は住宅地域、熊谷市は市街地中心であり、東松山市は幹線道路近傍である。  

 表1 調査地点
調査地点 地域区分
所沢市(中富小学校) 無指定地域
戸田市(戸田・蕨保健所) 準工地域
草加市(工業団地公園) 工業地域
上尾市(浅間台第7公園) 住宅地域
熊谷市(熊谷市役所) 商業地域
東松山市(岩鼻運動公園) 道路沿道 

(2) 調査時期
 調査は平成9年8月4日〜20日及び12月2日〜11日の夏冬それぞれ2回、合計4回実施した。

(3) 調査方法
 有害大気汚染物質測定方法マニュアル(環境庁)に準拠して、試料採取及び分析を行った。

3 調査結果の概要
ダイオキシン類の調査結果を表−2に、ダイオキシン類の分析結果を別表に示した。 環境庁が示した大気環境指針値(年平均値0.8 pg-TEQ/m3以下)を超過した地点は、上尾市の1箇所であった。それ以外の地点は0.8 pg-TEQ/m3以下であったが、所沢市の0.79 pg-TEQ/m3は基準に接近する数値である。
 別表の分析結果を見ると、8月に行った6地点の2日間の調査結果のうち、最大は、2.46 pg-TEQ/m3で、最小は、0.40 pg-TEQ/m3であった。 
 12月に行った6地点の2日間の調査結果では、最大は、1.45 pg-TEQ/m3、最小は、0.21 pg-TEQ/m3であった。
 全試料の最高値は、上尾市(8月6日2.46 pg-TEQ/m3)であった。

 調 査 地 点 項 目

調査結果

8月 日 8月 日 12月 日 12月 日 平均
 所沢市
中富小学校
PCDDs 0.122 0.141 0.325 0.19
PCDFs 0.501 0.319 1.121 0.458
合計 0.623 0.46 1.446 0.648 0.79
 戸田市
戸田・蕨保健所
PCDDs 0.112 0.216 0.166 0.083
PCDFs 0.593 0.29 0.634 0.392
合計 0.705 0.506 0.8 0.475 0.6
 草加市
工業団地公園
PCDDs 0.193 0.122 0.212 0.193
PCDFs 0.434 0.281 0.857 0.708
合計 0.627 0.403 1.069 0.901 0.75
 調 査 地 点   項 目     調    査    結    果    
8月5日 8月6日 12月2日 12月3日 平 均
 上尾市
浅間台第7公園
PCDDs 0.127 0.828 0.066 0.084
PCDFs 0.346 1.636 0.244 0.18
合計 0.473 2.464 0.31 0.264 0.88
 熊谷市
熊谷市役所
PCDDs 0.267 0.244  0.048* 0.083*
PCDFs 0.48 0.669  0.163* 0.341*
合計 0.747 0.913  0.211* 0.424* 0.57
 東松山市
岩鼻運動公園
PCDDs 0.163 0.209 0.124 0.15
PCDFs 0.362 0.475 0.316 0.117
合計 0.525 0.684 0.44 0.267 0.48
 * 熊谷市の12月の調査は、試料採取装置の不良で、12月3日、4日に実施した。
 **上尾市、熊谷市、東松山市の8月の調査は、8月5日が降雨のため、1日置いて実施した。
 

4 今後の対応

 大気環境指針値0.8 pg-TEQ/m3を超過した地点については、今後も継続して調査を行う。また、その他の地点については、調査地域を変えて調査を行う。

 大気環境指針値を超えた地域については、地域の大気環境に影響を及ぼす可能性のある発生源の確認を行い、ダイオキシン類の排出抑制に努めるよう関係者を指導する。

※ 大気環境指針値の考え方

  ダイオキシン類による健康影響を未然に防止するために維持することが望ましい水準とした健康リスク評価指針値(5pg-TEQ/kg/日)等を踏まえて、設定されたもの。

  大気環境指針値は、一生涯という長期にわたる暴露を想定して示されたものであるので、大気環境濃度がこの指針値を上回る場合であっても、直ちにそれが人の健康に影響を及ぼすとは言えない。

  また、この大気環境指針値は、現時点における科学的知見を最大限活用して導き出されたものであり、今後の科学的知見の充実に応じて検証されるものである。

埼玉県報道発表資料より