北田商事裁判報告

 これまでも、北田商事裁判について随時お知らせしてきましたが、2003年8月、ついに、北田商事(株)が廃棄物処理業のすべての廃止届けを埼玉県に提出しました。これにより、北田商事は当地での廃棄物処理(運搬、保管、処理等すべて)は一切できなくなり、さらに、11月には、北田商事専務が宮城県でも不法投棄に関わる廃棄物処理法違反により逮捕され、また、栃木県でも無許可保管等により、廃棄物処理業許可の取り消しを受けました。これにより、今後5年間は、全国どこでも北田商事は廃棄物を扱う仕事を行えないことになりました。
 実に悪質な業者であったことが、一連のニュースから伺えます。宮城の不法投棄では、「肥料」と称して、大量の汚泥を投棄し、逮捕されるに至りました。これまで、訴訟手続きの中で、北田商事が「再利用」と称して、汚泥を不法に処理していることを告発してきましたが、まさに、その実行例が判明したわけです。
 北田商事については、96年頃から、その処理に伴う悪臭問題に端を発し、以降、新たに埼玉県より得た焼却炉の操業許可の取り消し訴訟、証拠保全手続き、再利用と称する汚泥の無許可処理等の告発に取り組んできました。
  現在、所沢市中富の施設敷地内事務所は引き払われ、実質上、北田商事としての業務は行われていません。跡に残る施設も撤去したい、との意向を埼玉県に対して表明しています。
 裁判による手続きの中では実質的な住民側の勝利となりました。精力的に証拠を集め、証拠保全、準備書面、告発等、次から次に北田商事を追い詰める策をとり、実質的に廃業に追い込んだ弁護団の方々や焼却炉専門家の三好康彦先生の御協力心から感謝しています。
 しかし、その後すぐに、北田商事が別会社を仕立てた上で、新たに収集運搬業の許可を得る、といった動きも判明しました。本当にいたちごっこの様ですが、このような悪質な脱法を許さないためにも今後も引き続き取り組んでいきます。


石坂産業裁判
2004年をむかえて、私たち住民が叶ホ坂産業の許可取り消しを求める行政訴訟を提訴してから、はや、2年半が経過しました。その間、焼却炉の撤去についで、プラスチック破砕・圧縮業のあらたな許可が下り、変更許可の取り消しを求めて第2次訴訟を提訴しました。本年も引き続き、原告の方々のご協力、支援をどうぞよろしくお願いいたします。

○ これまでの裁判の進み行き
2001年6月に原告152人で起こした第1次訴訟に加えて、2002年12月に原告73名で第2次訴訟を起こしました。その後、2003年に4回の公判が開かれ、
現在、二つの訴訟が平行して行われるかたちとなっています。

3月の公判では、住民が調査した、石坂産業搬入車両調査結果、周辺重金属類汚染調査結果などを提出しました。今後、さらに詳しい立証を行っていく予定です。

○ 今後の課題
・ 破砕機の処理能力について
破砕機の処理量の届出が非常にあいまいで、実際の処理能力を偽っている可能性が出てきています。これを立証するために、各機械製造メーカーに出向いて話を聞いたり、他の業者とのデータの比較したりして、書類上の数値を検証する作業を行っていきます。
・ 周辺地域の汚染調査について
大規模な破砕業にともなって発生する空気中の粉塵などの環境汚染について、農工大学環境研究室の協力のもとに調査していきます。
・ 処分実績報告について
焼却の終わった平成13年度から14年度の2年間にわたる処分実績報告を情報公開によって入手し、データを分析・調査していきます。
・ 搬入車の調査について
石坂産業の搬入車数を数ヶ月にわたってチェックし、実際のゴミの搬入量に問題がないか調査していきます。
このように、いまできる活動は、とても地道で細かく、面倒な作業のわりに、大きな成果を期待できるものではありません。しかし、大量のゴミが処理されていく限り、この地域の環境汚染はなくなりません。どのような方法で阻止できるかを粘り強く探っていく必要があります。