探査機「はやぶさ」救出機の開発に米ベンチャーが名乗り
宇宙開発先進国のアメリカでは、宇宙開発は国家から企業へと活動の主役が移りつつある。国家主導の日本の宇宙開発の
金字塔を、アメリカのベンチャー企業が救うという構図は、現状の宇宙開発勢力の縮図とも言えよう。
2007年4月1日 22:33更新
日本の宇宙開発機構が打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」のタッチダウンは未だ記憶に新しい。だが、この人類初の栄誉を成し遂げた探査機が、何一つ残さず燃え尽きてしまうと知ったら、貴方はどう思うだろうか。
小惑星探査機「はやぶさ」は、小惑星「イトカワ」に着陸し、その表面の塵を回収して地球に届けるという野心的なプロジェクトにより打ち上げられた。回収の可否はともかくとして、「はやぶさ」は地球と月以外の天体への離着陸に成功した初めての探査機となった。
しかし、着陸に際して「はやぶさ」は姿勢制御系、及び電源系に深刻なダメージを負ってしまった。残念ながら、これらの機能は、今後回復する見込みも無い。それでも同プロジェクトチームは「はやぶさ」の最大の目的、塵が入っている(と思われる)カプセルを回収する事を諦めていないが、その代償として、「はやぶさ」自体が大気圏内で燃え尽きる事を覚悟している。
■ 衛星回収技術で「はやぶさ」を救えるか
「本来ならスミソニアン博物館に展示すべき機体だ。」この報道を知り、カーバイン氏はそう語る。「回収を試みるべきだ。回収が無理なら地球の周回軌道に置いておくべきだ。少なくとも、燃やすべきではない。」
カーバイン氏はカリフォルニア州アナハイムにあるベンチャー企業のCEOだ。彼の会社は電子機器開発が主な事業だが、やはり宇宙開発にも興味はある。以前から独自のロボットアームを用いた宇宙事業への進出を考えてはいたが、今回は事業としては採算を考えていないと言う。
「以前から、衛星回収が事業にならないかと考えていたんだ。でも現在使われているロボットアームでは衛星を捕まえるには不自由すぎるし、かといって高速で飛ぶ巨大な衛星を、人の手で捕まえるのは危険すぎる。そこで、人の手のように動き、充分な剛性と装甲を持つロボットアームが必要だと考えたのさ。重すぎてコストがかさむのが難点だけど、今回はそれどころじゃないからね。」
現在ロボットアームは試作段階にある。人間の手と同じ5本の指を持ち、手首、肘、肩の関節を持つ。まだ片腕だけだが、いずれは2本そろえる予定だと言う。極めて人間に近い構造となるが、カーバイン氏によると、これには訳があるそうだ。
「やはり人間と同じ形が一番イメージしやすいんだ。地上で回収計画を立てる際も、人とミニチュアで簡単にシミュレーションできるし、作業者が回収手順を理解するのも早くなるようだ。何でも合理的が良いとは限らないようだね。」
カーバイン氏は、このロボットアームに人を乗せ、自立した宇宙船とするつもりらしい。計画では、事前に人とは別に打ち上げ、ISSにドッキング後に搭乗者が乗り込み、低軌道〜中軌道付近にて1日程度の自立活動が出来る能力となっている。計画通りに行けば、地球に接近した「はやぶさ」を捕獲し、大気圏突入という運命を変えてやる事は可能かも知れない。
しかし、最近カーバイン氏はこの計画の事で多いに悩んでいるという。
「私は手だけではなく足も付けた方が良いと思うのだが、若い研究員が、皆が皆、反対するんだ。一般社員は足など飾りだと思い込んでいる。これは非常に難しい問題だ。」
[ヤイター:Asyc Beeman]
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