もう一つのスクリーマー
−ゲームブック版の紹介−
80年代初めにテーブルトークRPGの入り口として普及したゲームブックについては
ここで、多くを語ることもないと思うが、パソコンやファミコンのゲームをゲームブック化した書籍が
多々あることは御存知かと思う。(双葉社の粗製濫造シリーズとか。)
ザ・スクリーマーもゲームブックが2種類出版されている。
JICC社とMIA社から出されたこの2冊、面白いくらい内容が異なっている。
「アドベンチャー・ノベルス ザ・スクリーマー」 著者:山本雅之 監修:田中潤司 |
JICC社のゲームブックシリーズ第1弾として「夢幻の心臓U」「アステカ」と共に出版された作品。
(JICC社のアドベンチャー・ノベルスシリーズはPCゲームをゲームブック化したシリーズ。)
基本はパラグラフ選択式のゲームブックであるが、戦闘シーンはサイコロを振って戦うようになっている。
ストーリー
第3時大戦終結後、軍隊から放り出されてその日暮らしを決め込んでいた元ポイントマンの主人公。
偶然会った戦友、ライマーからBIASの謎を探ってくれと頼まれる。
一度は断る主人公だが、ライマーの暗殺を目の前にして決意を固める。
途中、出会った美少女セイヤを道連れにビーストシティへと向かう主人公だが・・・
ストーリーは基本設定はほぼ同じだが、大幅に違うのはキャラ設定。
ガイア・ブラザーズのライマーは原作とはうって変わった色男。
デラーとガスターは政府の手先としてガイア・ブラザーズを操っている。
サブキャラとしてセイヤという少女がパートナーとして付く。
このセイヤがシナリオの重要な鍵を握っているわけだ。
特筆すべきは、ライバルスクリーマー。
一人一人の性格描写が綿密に描かれているのだ。
例えば、酒場において自分で考案したカクテル「サムライ」を勧めてくるサディストMM。
ちょっと頭のネジが外れてる国粋主義者ジパング。
まさしく誇り高きインディアンの勇者チーフ。
暴力バーに制裁にやってきたナチなど。
それ以外にも、こすっからい暴力バーのバーテンやオカマでゲイの技術者など
個性的で世紀末的に歪んでいるオリジナルの脇役が多々登場している。
システム
ゲーム部分のシステムはFFシリーズの亜流。
パラグラフ選択式のストーリーにサイコロの戦闘シーン。
ビーストシティの選択でストーリーが
「ナチと暴力バーを破壊」
「チーフとガイアブラザーズを撃退」
「MMとの出会い&ジパングとFRDの謎に迫る」
「浮浪者とオカマの技術士」
「スリの少女と老人」
と、分岐する。
そして、それらの情報を元にBIASへと突入する。
オチ
基本的なオチはパソコン版と同じ。
ただ、サムライが半機械化されて政府の手先としてBIASを管理しており、
ガーディアンはスクリーマーのなれの果てとしてパスワードドアを守っている。
あと、ラストシーンが映画「明日に向かって撃て!」みたいな感じで終わっている。
救いが無いのは変わらないけど。
おまけ
このシリーズ、あの星里もちる先生が「ロマンシア」でイラスト&マンガを担当していた。
「ザ・スクリーマー 魔塔BIASの謎」 ストラットフォード・コンピューターセンター 東本 昌平 |
MIA版の大きな特徴はストラットフォード社直々の制作であることと、 挿絵を全て東本修平氏が書いていることだろう。 冒頭でいきなり、あのプロローグ漫画が新たに書き下ろされている。 (1週間で仕上げなければいけなかった前回と比べ書き込み度が全く違う。) さらに、ビーストシティでの行動は全て東本氏の漫画付。 衝撃のラストシーンもしっかり書き下ろしてあるのだ。 ゲームの展開は、BIASに入るまでの選択肢型とBIASに入ってから後のRPG型の2章構成。 漫画の直後・ビーストシティへ到着した時点からストーリーは始まる。 |
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移動できる場所は以下のポイント。 「居住区」HPを無料で回復できる。50%の確率で有り金全部失うのでお奨めできない(笑) 「A.P.S」アーマードポリス駐屯所。情報入手に必要。 「闘技場」人間相手のバトリングで金を稼げる。 「酒場」ラットから情報を買う。 「医者」呼んで字の如く。 |
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ライバルスクリーマーで登場するのはラットのみ。 しかし、設定は全く異なり面相はネズミ面の中年の小男になり、 「BIASの中に入ったことはないくせにマスタースクリーマーよりBIASのことを知り尽くしている情報屋」 として登場。典型的な小悪党としていい味だしている。 このラットからBIASの情報を買い、タワーのマップを入手しないと BIASの中に入れないようになっている。 |
肝心のゲームブック部分はBIASの中のみ。
16X16型のダンジョンADVになっている。
キーアイテム方式を採用しており、
あっちの部屋で入手したカードを使ってこっちの部屋を開けて
そこでまた入手したアイテムを使って・・・みたいな感じでゲームは進行していく。
真面目に解くと難しい。
体力の回復が1ターン1ポイントづつしか回復できないのにたいして
2分の1の確率でモンスターが襲ってくるからだ。
おまけに、選択肢にミスがあってそのままでは解けないようになってたし・・・
死体
当たり前といえば当たり前なのだが、
BIAS内には死体がゴロゴロあり、キーカードはその死体から入手するのが
ほとんどだった。PC版には死体からアイテムを取るという概念は無かったので
そういう意味では新鮮。
モンスター
どうしても書きたかったので。
と、いうのもこのゲームではあのザコモンスターアシッドスライムが
最強のモンスターとして君臨しているからなのだ。
産廃処理用に作ったバクテリアが異常増殖した結果というのが面白い。
そして、倒すことが出来る唯一のアイテムが武器ではなく濃縮窒素カプセルというのも・・・
オチ
こちらはパソコン版とまったく同じ。
ただ、FRDが登場していないので、
「BIAS内のシステム変化はAPSのホストコンピュータによって
コントロールできないまでも常に監視されている」
ことになっている。
それで、最後のブツを手に入れたことがあっさり解ってしまうわけだ。
分かっているだろうが、これは生きるための闘いだぞ。
OK、Let's Go!