告白
ヴィランディス・アッシュ
いつ、どこで、誰が、私を産んだのかは知らない。自分が業魔ということ以外は何も知らない。
気が付いたときには、私は暗闇の中に一人でいた。
どうしてここにいるのか知らない。
ただ分かることは、今どうしようもなく腹が減っているということだけ。
このままでは、まもなく死が待っていようとしたとき、餌を見つけた。
定常種の奴らだ。奴らを見た瞬間、私は奴らに襲いかかっていた。
無我夢中だった。気が付いたときには奴らの上にのしかかり、精気をむさぼり喰ったいた。これが私の初めての狩りだった。
それ以来、幾度となく生きるために奴らを狩っていた。そのうち私の狩りとしての能力を買ってくれる人が出てきた。
そうこうしているうちに私も有名になり、影から忍び寄り、一突きで殺していくさまから「シャドウハンター」の名で呼ばれるようになり、
この名を聞けば、誰でも死を予感し、抵抗することすらもあきらめる。といわれるくらいまで有名になった。
だが、そんな私にも転機が訪れた。
ある一人の男に「エイジア=クロス(以下マスター)」の暗殺を頼まれた。だが、私は狩りに失敗した。
マスターを目の前にして狩ることが出来なかった。なぜなのかは未だに分からない。
それは、生まれて初めての狩りの失敗だった。そして、そのことが気になり、私はこの家業から足を洗った。
だが、生きていくためには朝が必要だ。そのため私は傭兵となり、ユーデクスを操り、新たな餌を求めて戦場に出た。
私は、傭兵としていくつかの戦場を移っていくさなか、彼、マスターの率いる傭兵部隊の噂を聞く。
私は、この道に入るきっかけとなった彼に会いたくなり彼の率いる部隊に所属する事を希望し、配属される。
初めてマスターをよく観察したが、そこら辺にいる定常種とかわりがなく、
なぜ私があの時マスターを狩ることを躊躇ったのかは、結局分からなかった。
しかし、マスターがいるとそこに一緒にいる定常種達のことを餌として見ることはなく、むしろ私と同じ者・・・・・仲間として見てしまうのだった。
そして、彼の部隊に配属されてからまもなくの作戦で、私たちの部隊は上層部の計略にかかり、解散しなければならなくなってしまう。
その後私は、傭兵を続けていた。餌を狩るために・・・・・
しばらくして、一通のダイレクトメールが届いた。マスターからの手紙であった、そこにはこう書かれていた。
海賊を始める。来てはくれないか?
マスター
私は、なぜか行かなくてはならないという衝動に駆られた。
なぜならこの前答えが出せなかった事に答えが出せるかもしれないのである。